コラム

「これだけではパスはお渡しできません」――厳格化するF1日本GP・鈴鹿、メディアパス取得の長く険しい舞台裏【渡辺慎太郎のツベコベイワセテ その5】《LE VOLANT LAB》

SNS時代の弊害か。厳格化するF1日本GPのメディアパス審査

久しぶりにF1の取材をすることになった。舞台はもちろん、鈴鹿の日本GPである。

F1取材はいろいろと面倒なことが多いのだけれど、最難関なのが“メディアパス”を取得することだ。世界各国で開催されるモーターショーでもメディアパスは必要だが、F1はとにかく審査が厳しい。それ自体は決して悪いことではない。昨今ではSNSの普及により、実態のよく分からない人物や団体によるメディアパスの申請が増えているという。YouTubeやTikTokやInstagramなどにアカウントさえ持っていれば、それだけで“メディア”を名乗り、でも実際には“タダ”でF1観戦しようと試みるよろしくない輩が少なくなく、審査がより厳格化されているのだ。

申請から1カ月。開幕直前にFIAから届いた“呑気なメール”

自分のようなフリーランスのジャーナリストは、取材記事を掲載予定の媒体と紐付けて申請する必要がある。申請書類には自分のプロフィールや過去の取材実績に加え、「この人物は確かに弊誌で記事を掲載する予定です」というル・ボラン編集長のサイン入りのレターが必須となる。これらすべてを揃え、鈴鹿の約1ヶ月前にFIAへ送った。

ところが待てど暮らせどFIAからはなんの連絡もこない。自分はF1の取材実績に乏しいし、ル・ボランはモータースポーツ専門誌でもないから、ひょっとしたら却下されたのかもしれない。でもそれなら“却下”の返信くらいくれてもいいのに、などモヤモヤしたまま刻一刻と鈴鹿の開催日へ近づいていったのである。

F1日本GP2026 パドッククラブ

今年の日本GPは決勝が3月29日の日曜日だったが、各チームは3月25日の水曜日には鈴鹿入りして、3月26日から取材対応をしてくれることになっていた。「今回は万事休すか」と諦めかけた3月23日、突然FIAから“受理”のメールが届いた。しかし、メディアパスの具体的な受け取り方法などは一切記されておらず、でも「お会いできるのを楽しみにしています!」なんて呑気な文言は書かれている。やれやれである。

鈴鹿・クレデンシャルセンター到着。待ち受けていた予想外のトラブル

この業界に入ってかれこれ35年以上も経っているがゆえ、それなりに人脈も構築されてきた。もつべきものはやはり友である。F1を追いかけている友人に連絡すると、鈴鹿サーキットの近くに“クレデンシャルセンター”が設けられ、そこでメディアパスが受け取れることを教えてもらった。

3月26日に鈴鹿へ辿り着くのは時間的にもう無理だったので、翌27日にクレデンシャルセンターに到着。FIAからの受理書を提出してちょっとワクワクしながら待っていると「これだけではパスをお渡しすることはできません」と非情な宣告を受ける。

F1日本GP2026 GPスクエア

パス自体は確かに用意されていて、自分の顔写真や名前が入った実物を見せてもらった。同じ顔の本人なんだから渡してくれればいいじゃんとも思ったけれど、さらに2種類の書類にサインが必要とのこと。

この記事はLE VOLANT LAB会員限定公開です。
無料で会員登録すると続きを読むことができます。

AUTHOR

1966年東京生まれ。米国の大学を卒業後(株)立風書房に入社、ル・ボラン編集部に配属となる。後に転職してカーグラフィック編集記者、カーグラフィック編集長などを歴任。現在はフリーランスの自動車ジャーナリストとして活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。英国「The Guild of Motoring Writers」会員。

注目の記事
注目の記事

RANKING