声高に主張しない“本物のラグジュアリー”
ベントレーは2026年5月13日、ソーシャルメディアパーソナリティとして有名なグシュタード・ガイとのコラボレーションによる特別仕様車「ベンテイガ EWB シャレー・エディション」を発表した。
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風刺と洞察の背後にある敬意
“究極のアルパインラグジュアリー”(アルプスの高級山岳リゾートを思わせる世界観)をテーマに誕生したこの特別仕様車は、マリナーのクラフツマンシップと、グシュタード・ガイの美意識を融合した、特別な一台であるという。
彼が自身の美意識を反映した限定コレクションをベントレーとともに手掛けるのは、今回が初めてのこと。彼は超富裕層のライフスタイルを風刺的かつ洞察的に描いたコンテンツで世界的に人気を集めており、その表現にはユーモアだけでなく、卓越した体験や豊かな人生を送る美学への敬意が込められているとされる。ベンテイガ EWB アズールをベースとするこの特別仕様車は、彼のそうした側面を自動車として昇華したものと言えるだろう。
控えめな美しさを体現したエクステリア
シャレー・エディションの特徴について具体的に述べていこう。エクステリアには特別開発された専用カラー「ライト・チューダー・グレー」を採用、約60時間をかけて手作業で塗装されるという。
さらに、ブロンズ仕上げのスタイリング・スペシフィケーション、そしてロワートリムには「ファイヤーグロウ」のピンストライプを施すことで、全体の落ち着きを損なわずに存在感を演出した。フロントフェンダーには「Chalet Edition」専用バッジを配し、専用トレッドプレートも装備。「ファイヤーグロウ」バインディングとアルパイン刺繍を施したサドルレザー製の専用ブーツプロテクターも設定されている。
細部に宿る、比類なきこだわり
インテリアはその名の通り、シャレー(アルプス地方の高級山荘)から着想を得たデザインを採用。4座のコンフォートシートは、ドライバーと乗員双方の疲労軽減を目的に設計され、さらにリアセンターコンソールが移動時間をより快適で上質なものにするという。車内は温かみのあるカラーリングや天然素材、さらに繊細なライティングによって、繭(コクーン)に包まれたような心地よさを演出したとのこと。
上質なサドルレザーやツイードディテール、ダイヤモンドキルト加工に加え、「リキッドアンバー」オープンポアウッドヴェニアを採用しており、温もりを感じさせるインテリアが目指されている。さらに「ファイヤーグロウ」アクセントが、過度な主張を避けながら空間に奥行きを演出。サドルカラーのスピーカーグリルが、最高峰仕様の「Naim for Bentley」オーディオシステムを自然に溶け込ませている。
また、グシュタード・ガイのエンブレムや専用シャレーグラフィックを、シートインサートやフェイシアパネルに、レーザーエッチングや控えめなバッジとして配置。彼のお気に入りとされるアルパインフラワーモチーフは、赤とグリーンの刺繍としてヘッドレストやクッションに施され、スイスの伝統や家族の価値観を象徴させているという。さらに、専用アニメーション付きウェルカムランプが“まるで我が家に帰ってきたかのような感覚”を演出している。
グシュタード・ガイのコメント
ベントレー・マリナー限定で展開されるこの特別仕様車について、グシュタード・ガイ本人は以下のように述べている。
「私は“グシュタード・ガイ”のストーリーを描くとき、現実に存在する“グシュタード・ガイ”像を思い浮かべています(“グシュタード”とはスイス・アルプスの高級リゾート地の名)。彼は、あらゆる体験において“最高の中の最高”を求める人物です。最高のバケーションや住まい、そしてその間をつなぐ移動体験にまでこだわる、真に上質なものを知る人物です」
「そして常に、“グシュタードの価値観”である、人とのつながりや温かさ、さらにはあらゆる移動体験における卓越性を大切にしています。マリナーによるベンテイガは、そんなグシュタード・ガイにとって最高の選択肢であり、まさに唯一無二の存在でした。だからこそ、『The Chalet Bentayga』というアイデアが生まれたのです」
また、ベントレー・マリナーのリードデザイナーであるヒューゴ・R・チズレット氏は以下のようにコメントした。
「グシュタード・ガイは、シャレー・エディションで実現したい世界観を明確に持っていました。私たちは、彼の個性を表現しながらも、“ベントレーらしさ”を損なわないよう、さまざまなビスポーク素材や仕上げを探求することができました」
「この車は、過度な主張ではなく、クラフツマンシップ、素材、そして空間の雰囲気を重視しています。カラーや素材、仕上げに至るすべての選択には、“本物のラグジュアリーは声高に主張しなくても認識される”という静かな自信が込められているのです」
【ル・ボラン編集部より】
超富裕層を風刺するインフルエンサーとの協業と聞けば、奇をてらった意匠を想像するかもしれない。だが、この「シャレー・エディション」に宿るのは極めて静謐な哲学だ。ベンテイガEWBが登場した折には、リムジンに匹敵する後席の快適性と、ドライバーを鼓舞するダイナミクスの高次元な共存に驚かされた。今回、60時間を費やす専用塗装やアルプスの山荘を思わせる仕立ては、過度な自己主張を退けている。膨大な手間暇をかけながらも声高に誇示しない姿勢こそ、真に成熟した大人のラグジュアリーの極致である。



















