なぜメルセデスは商用車を作り続けるのか
ドイツ・シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ博物館は、2026年6月28日から2027年4月4日にかけて、特別展「商用車130年」を開催している。
【画像13枚】メルセデス・ベンツが誇る「商用車の進化」を体感! 特別展の全貌を垣間見る
経済と生活を支える商用車の歩み
1896年にカール・ベンツが最初のバンを販売し、同年ゴットリープ・ダイムラーが初のトラックを納入して以来、商用車は世界の輸送と物流を支え続けてきた。この展示ではその歴史を振り返りつつ、最新のバッテリー式電気自動車(EV)モデルまでを紹介する内容となっている。
特別展では、物資の供給や経済の循環を担い、都市部から建設現場まであらゆる場所で活躍する商用車の日常的な重要性に焦点が当てられている。
会場では、3つの時代にわたるバンとトラックが展示されるほか、広告塔(リトファスゾイレ)のような歴史的なコミュニケーション手法を取り入れたメディアステーションも設置。さらに、直径1.5mのアニメーションLED地球儀が用意され、130年にわたる同社の商用車の歴史に関するデータやストーリーが視覚的に解説される。
主な展示車両
コレクションルーム5には、異なる時代を象徴する7台の車両が展示される。
●ベンツ 1C(1922年):トラックの初期量産モデル。消防車として製造され、後に平床式ボディに改造された経歴を持つ。
●メルセデス・ベンツ 170 V パネルバン(1952年):メルセデス・ベンツのサービス部門でも使用されたコンパクトバン。美しいデザインの「ジンデルフィンゲン製ボディ」が特徴である。
●メルセデス・ベンツ O 319 D パノラマバス(1961年):ドイツの「経済の奇跡」と呼ばれる戦後復興期に活躍したコンパクトバス。

●メルセデス・ベンツ L 911(1966年):中型のショートノーズトラック。本展では当時の過酷な使用環境を物語るような、面影(パティナ)をそのまま残した状態で展示される。
●メルセデス・ベンツ eヴィトー(2023年):現代の都市物流やサービス業で活用されているバッテリー式EVバン。
●メルセデス・ベンツ eスプリンター(2024年):1995年に登場し、バン・カテゴリーの代名詞ともなった「スプリンター」の最新EVモデル。
●メルセデス・ベンツ eアクトロス 600(2024年):2024年から量産が開始された長距離輸送用の最新EV大型トラック。621kWhのバッテリーを搭載し、途中充電なしで500kmの航続距離を実現している。
アトリウム展示と関連企画
博物館のアトリウムでは、特別展の開催に合わせてクラシック商用車が期間限定で展示される。オープニング時には、1899年製「ベンツ コンビネーション・デリバリーバン」と1896年製「ダイムラー・トラック」の精巧なレプリカを展示、これらは各種イベントでも活用される予定であるとのこと。
また、メルセデス・ベンツ モデルカークラブの協力により、1/87スケールを中心とした180台以上のミニチュアモデルも展示され、スケールモデルを通じてその発展の歴史を俯瞰することができる。会場内には、バーチャルなトラックレースが楽しめるアーケードゲームや、商用車の歴史をモチーフにした神経衰弱ゲーム「VANtastic Memo」といった、体験型コンテンツも用意。
開幕日となった2026年6月28日には、クラシックカーミーティング「Classics & Coffee」にて商用車をテーマにした特別企画が行われた。また、7月5日に開催されるファミリーデーでは、クラシックカーへの同乗体験などの催しが予定されている。
【ル・ボラン編集部より】
メルセデスといえば高級車のイメージが先行しがちだが、その真の技術的基盤は商用車にある。本展は、1896年の黎明期から最新EVトラックに至るまで、実用車に注がれてきた同社の情熱を俯瞰できる意義深い試みだ。例えばVクラスにおいても、近年は乗用車的な洗練を深める一方、その骨格には130年にわたり物流を支え続けた質実剛健な哲学が息づく。プレミアムモデルの背後にある、偉大な歴史的系譜を再確認できるはずだ。
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