ミニ・クーパーSコンバーチブル
英国イメージを継承しつつ、精緻な技術でクオリティを大幅にアップ、いまやBMWグループの一翼を担うプレミアムコンパクトとなったMINI(ミニ)が、先ごろ3ドア(F56)、5ドア(F55)、コンバーチブル(F57)の大幅改良を発表した。その日本仕様モデルの試乗会が行われたのでここに報告しよう。
まず、3つのボディに共通する外観の変更ポイントは、丸目ヘッドライトのLEDデイタイムランニングライトが切れ目ない楕円でつながり、リアコンビランプには「ユニオン・ジャック」が左右非対称にデザインされた。そして、前後エンブレムがソリッドでアイコンチックな意匠に改められている。この3つが従来モデルとの貴重な識別ポイントといえる。
ところが、中身の進化ぶりが著しい。特にパワートレインが大きく変わったガソリン仕様の上位グレード「クーパーS」を例に挙げれば、搭載エンジンは2リッター直4直噴ターボ(最高出力192ps/最大トルク280Nm)を継続採用するものの、組み合わせるトランスミッションが従来の6速ATから7速DCT(デュアルクラッチ式)に換装されているのだ。
この7速DCTの恩恵は多段化による燃費低減のみならず、走りの軽快感に大きく貢献している。走り出しはトルコン並みにスムーズで、Dレンジでいれば速度に応じた変速が適時行われ、そのショックを微塵も感じさせない。ステアリングパドルで任意のギアを選べば、ミニならではのスポーティなドライビングにも応えてくれる。こうしたメカと制御系の洗練ぶりは、FFコンパクトにも手を抜かないBMWグループの面目躍如といえるだろう。
年次改良の一端かもしれないが、ボディの剛性感は従来よりも高められた印象だ。オープンボディのコンバーチブルながら、ルーフ開放時でも「カチッ」とした頼もしさがあった。「ゴーカートフィーリング」を標榜するだけに、見るからにショートストローク風のサスと205/40偏平の18インチ・タイヤ(ランフラット)の組み合わせだが、これまで以上に快適で余裕すら感じさせる乗り心地を得たといえる。タイヤのグリップの影響かもだが、やや手応えが増した感のあるステアリングも好感触だ。前述の多段化と剛性アップとのマッチングが直進安定性の改善につながって、従来モデルよりも明らかに修正舵が少なくなった。つまり、これまでのミニではちょっと苦手だったロングツーリングだって気軽に行けるはずだ。
インテリアは、従来と同じく円をモチーフにした個性的なデザインで、多彩な加飾パネルやカラー&素材から選べるオプションが充実した。かつてのセンターメーター部にビルトインされた純正ナビ+インフォテイメントがタッチ式8.8インチ液晶に進化し、AIによる最新バージョンのボイスコントロールやヘッドアップディスプレイ、通信モジュールによるコネクティビティ・サービスなどは、同グループ旗艦の搭載機能に遜色ないレベルである。
チカラ強くて快適な走り、洗練されたデザインと機能がもたらす「おもてなし」感。これでソフトトップを開け放てば、「爽快ドライブ」のいっちょあがり。こんなクルマのキャラに合わせて生きるのも悪くないな、と感じさせる魅力的な1台だ。
MINI COOPER S CONVERTIBLE
【Specification】■全長×全幅×全高=3860×1725×1415mm■ホイールベース=2495mm■車両重量=1370kg■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1998cc■最高出力=192ps(141kW)/5500rpm■最大トルク=280Nm/1350-4600rpm■トランスミッション=7速DCT■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク■タイヤサイズ(F:R)=205/45R17:205/45R17■車両本体価格=4,250,000円(税込)■MINI公式サイト https://www.mini.jp