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欧州上半期の新車販売、SUV人気も衰えず上位コンパクトカーが軒並み増加

ゴルフ優位揺るがず

日本ではこのところメルセデス・ベンツやミニに押され気味のフォルクスワーゲン(VW)とゴルフだが、欧州での人気は全く衰えていないようだ。国際的な自動車関連リサーチ会社であるJATOによると、欧州27カ国の今年上半期(1~6月)の乗用車ブランド別販売台数ではVWが圧倒的台数でトップを維持。98万8507台と100万台に迫る勢いで、2位ルノーの62万4443台を35万台以上も引き離している。

日本でも人気のプレミアムブランドではメルセデス・ベンツが46万45台で6位、アウディが43万2191台で7位、BMWが42万8185台で8位と健闘。後述の車名別ランキングではプレミアムブランド車が上位に顔を出すことはないものの、ブランド力は根強い。ちなみに日本ブランドではトヨタがやっと11位に顔を出し、ニッサン14位、スズキ19位、マツダ20位、ホンダ24位となっている。スズキは前年同期比8%増と伸び率も大きく、欧州でもジワジワとブランド力を高めているようだ。

さて本題の乗用車車名別ランキングだが、こちらもVWゴルフが首位を維持して他を圧倒。前年同期比8.5%増の25万7550台と2位ルノー・クリオに7万台以上の差をつけた。JATOによるとゴルフはディーゼル車が26%ほど減少した半面、ガソリン車が29%増加し、電動化グレードも登録が増えているという。国別でもドイツはもちろんベルギーやラトビアでもトップセラーとなっており、モデル末期にも関わらず高い支持率を維持している。

その一方で、まだ新型車効果が続いているはずのVWポロが3位ながら減少傾向なのは気になるところ。クリオ、フォード・フィエスタ、プジョー208に加えてシュコダ、ダチアなどがひしめくBセグメント激戦区の欧州だけに苦戦しているものと思われる。東欧諸国やスペインなど伸び盛りの新興市場においては、Bセグ車としてはやや価格の高いポロよりクリオやフィエスタが台数を稼いでいる面もあるのだろう。

そして欧州でもSUV人気は衰えず、5位のニッサン・キャシュカイを筆頭にVWティグアン、ルノー・キャプチャー、プジョー3008、ダチア・ダスターなどがベスト20にランクイン。長らく上位にいるキャシュカイはやや減らしたものの、ティグアンやキャプチャーは増加傾向で順位を上げ、3008やダスターも下位から上がってきている。まだベスト25に入ってないが、VW T-ROCも71000台を販売して赤丸上昇中で、年間ランキングではベスト20入りを果たすと思われる。

ランキング上位はゴルフとコンパクトカーが占めるものの、SUVは着実に台数を伸ばしており、JATOによるとこの上半期に欧州で販売されたSUVは約292万台におよび、全体の3割を占めているという。

欧州全体では上半期だけで約868万台の乗用車が販売され、国別では英国とイタリアが減少傾向にあるものの、ドイツ、フランス、スペイン、スウェーデンといった大市場はプラス成長を保っている。ディーゼル車比率は2017年の46%から37%へ減り、ハイブリッドを含む電動化車両は4.3%から5.4%へと増えたが、まだ内燃機関主流の状況は変わらない。各国政府や自動車メーカーは電動化の旗を一所懸命振っているが、実際にクルマを買うユーザーがその動きにどこまでついてくるのか。そのあたりもウォッチしていくと面白そうだ。

LE VOLANT 2018年10月号 Gakken Plus
田畑修

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