コラム

ステーションワゴン市場で精彩を放ち続ける【ボルボ・エステート】が「定番」に至る系譜

いまやボルボのキャラクターを象徴する存在、といっても過言ではないエステートモデル。その半世紀以上におよぶ歴史をすべて紐解くには到底誌面が足りないが、ここでは主要モデルのビジュアルを紹介。あわせてステーションワゴン市場で精彩を放ち続ける理由を考察してみる。

それはアクティブな要素を持つ知性派の選択

日本ではもはやニッチな存在ともいえるステーションワゴン。だが、そんな中にあってもボルボのエステートが安定した支持を集め続けているのはなぜかといえば、答えはこのブランドならではの立ち位置に求められるかもしれない。プレミアムではあっても、それをひけらかさない奥ゆかしさと真面目な作り、安全性向上に長年取り組んできた真摯な姿勢は、充実した生活を送る知性派の選択というキャラクターを醸成。主流のドイツ勢に対する、手堅いオルタナティブという絶妙なポジションを確立するに至った。

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この知性派の選択、という評価は世界的なもののようで、少し古い映画を見るとインテリな主人公の伴侶となったボルボを見かける機会は少なくない。たとえば今年、トランプ政権の暴露本で再び脚光を浴びたジャーナリストのボブ・ウッドワードが暴いたウォーターゲート事件を描く「大統領の陰謀」にはアマゾンが登場。「危険な情事」でマイケル・ダグラス演じる弁護士の主人公が劇中前半に乗っていたのは、240シリーズのエステートという具合だ。

240SERIES

そんな持ち前のイメージにアクティブな要素を持つワゴンボディと組み合わせれば、それだけでも強力なコンテンツになることはいわずもがな。また、850以降は真面目なだけでなく時代に即したブランド力の強化にも余念がない。この、堅実にしてしたたかな系譜を見れば、ボルボのエステートが「定番」である続けていることにも納得がいくというものだ。

 

フォト:宮門秀行、ボルボ・カーズ/ル・ボラン 2018年12月号より転載
小野泰治

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