今年は初春の沖縄が楽しめる3月に開催
十数年前では中々考えられないことだったが、現在日本では春になると毎週同時多発的に各地でクラシックカー・イベントが開催されている。その中身は、サーキットでのシリアスなレースから、大きな会場を使った展示イベント、さらにクラブ単位や仲間同士のミーティングやツーリングなど様々だが、中でも未だ根強い人気と盛り上がりをみせているのが“レギュラリティラン”と呼ばれる公道を舞台としたラリーイベントだ。
競技自体は、事前に設定されたルートに沿って走行し、途中に設けられたPC(パス・コントロール)と呼ばれる競技(指定された距離をいかに設定タイムどおりに走れるかを競う)などで獲得したポイントによって争われるのだが、なにも血眼になって勝負をするだけでなく、風光明媚なコースやディナーパーティー、豪華な宿泊施設など、夫婦や仲間同士でちょっとしたツーリング気分を味わえるのも、こうしたイベントの魅力のひとつである。
そんな日本のクラシックカー・ラリー・シーズンの開幕を告げるイベントが、さる3月3日(土)から4日(日)にかけて行われた“クラシックカーラリー沖縄2018”だ。“沖縄が誇る美しい海と歴史、文化を体感し、地元の人々との交流を深め、自動車とともに沖縄独特の文化を後世に継承、発展していくこと”をテーマに掲げスタートしたこのイベントも今回で3回目。例年は他のイベントのオフを狙って1月に開催されてきたが、今年はより沖縄らしい温暖な気候が味わえる3月に日程を変更して行われることとなった。
しかしである! なんとも運の悪いことに初日は朝からの雨。スタート地点となった宜野湾港マリーナには1938年型のMG TAから1973年型のディーノ246GTまで32台のエントラントが集まったが、1951年型のジャウル・タラスキ750スポルトなど、バルケッタ・スタイルのクルマたちには、過酷な状況となってしまった。特に沖縄自動車道を名護方面に走る時間帯は、地元の人に聞いても「こんな凄い雨は滅多にない」というほどの豪雨に見舞われてしまい、現在車で追走していてもヒヤっとするようなコンディションであった。
でもそこは様々なイベントに参加しているベテラン揃い。どのエントラントも無事にこの難関を走り抜け、次々と設定されたPCもクリア。そして沖縄本島北部の本部半島に着いた頃には雨の上がり、夕日の照らす海岸線を延々と走るという絶好のシチュエーションに恵まれた。このようにたった1日で愛車とともに、これだけ非日常のドラマを体験できるというのも、クラシックカーラリーの魅力といえるかもしれない。
さらに宿泊場所となったホテルオリオンモトブ・リゾート&スパでは、地元の食材を使った豪華なディナーやお酒、そして歌や踊りで“色々な沖縄”を満喫できたのも、エントラントには好評だったようだ。
宿泊ホテルも車両移動も手配は万全
続く2日目は、朝から絶好のクラシックカー日和。このイベントの名物といえる古宇利大橋の雄大な眺望を堪能したり、大保ダムでの連続PC競技に緊張したり、東村文化・スポーツ記念館で地域の皆さんからの心づくしの歓迎を受けたりと、2日間約430kmの行程を思いっきり走りきった面々は、無事に宜野湾港マリーナへとゴール。待ち構えていた多くのギャラリー、地元のエンスージァストたちから熱烈な声援を受けた。
合計で30ものPC(大雨の中でもひとつもキャンセルせずに行ったオフィシャルの皆さんにも拍手を送りたい!)をこなし、2位に596ポイントもの大差をつけ総合優勝を飾ったのは、ヴィンテージ・クラスでエントリーしていた1957年型アルファロメオ・ジュリエッタSVザガートの岡野正道/大介ぺア。そして2位には1937年型フォード・モデル78の山﨑学/正芳の親子ペア、3位にはヒストリック・クラスの1964年型ポルシェ356Cの倉島理行/美保子ペアが入賞した。
そのほか、「ヴィンテージ」「ヒストリック」「モダン」の各クラス・ウイナーにはメインスポンサーであるショパールジャパンのトーマス・ドペリ社長から、副賞として限定のクロノグラフや各種豪華商品が贈られたのである!
ちなみにこのクラシックカーラリー沖縄は、沖縄外からのエントラントのために関東、関西、九州発のフェリーによる車両移動の手配など、エントラントの目線に立った様々なホスピタリティが充実しているのも魅力のひとつ。もし貴方が1973年までのクラシックカーをお持ちなら、春の沖縄を舞台とした“ちょっとした冒険旅行”に参加してみてはいかがだろうか?
クラシックカーラリー沖縄実行委員会 http://www.ccr-okinawa.jp/
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