国内試乗

BMW X2【国内試乗】小型車の新しい地平を開拓

BMWを初購入する方なら満足度の高い一台

さて、このほど日本に導入されたX2のパワーユニットは1.5リッター3気筒と2.0リッター4気筒のガソリンターボという2種。ギアボックスと駆動方式は前者が7速DCTとFF、後者には8速ATと4WDを組み合わせて「スタンダード」と「MスポーツX(MスポーツよりSUVらしい外装を持つ新種だ)」というグレードがそれぞれに用意される。今回の試乗車は2.0LのMスポーツXだったが、その走りはSACを名乗るに相応しい仕上がりだった。

ボディカラーは新色のガルバニック・ゴールド(写真)のほかに8色を用意。

走り出して最初に気付くのは、カッチリとした剛性感の高さ。これにはX1より小さくなった開口部や絶対的なマスの小ささも貢献しているはずだが、上質さはもとより、日常的な速域でも背の高さを忘れさせる一体感が得られることが好ましい。この点は、X1を筆頭とするエンジンを横置きにしたBMWの中でも屈指の出来だ。その前後重量配分は、車検証の記載値ベースで約57対43。絶対的にフロントが重くなるのは仕方がないが、旋回時の荷重バランスがそれを意識させないこともX2における魅力のひとつ。もちろん、FRのBMWのごとき風情は期待できない。しかし、SUVとしては異例なほど曲がりたがる性格であることは確か。また、攻め込むとリアの踏ん張りがあと一歩という印象もあったX1と比較するとX2は安定感も秀逸だ。例えば、うねりがあるコーナーを強行突破するような場合でも不安感は皆無。高負荷時でも漸進的にロールする足回りは、荒れた路面もしっかりと捉えてくれるからだ。

その一方で乗り心地はソリッド、というよりハッキリと硬い。日本仕様はスポーツサスペンションが標準で、試乗車はオプションとなる20インチタイヤ装着車とあって最初から安楽なライド感は期待していなかったのだが、現状は特に後席での長距離移動に多少の覚悟が必要そうな感触。スポーティなクーペだと思えば苦痛なほど硬いわけではないが、SUV用途にはもう少し路面からの入力を抑えた方がユーザーに好まれるだろう。

で、残るは2.0Lエンジンの動力性能だが、これは必要にして十分というところ。車重が1620kgに達するだけに特別速くはないし、近年のBMWで主流のディーゼルと比較すれば加速に線の細さを感じる場面もある。しかし、パドルシフトを駆使して積極的に走らせると“回す歓び”が得られるのも事実。もちろん、日常の音や振動はそれを上回る質感が備わるだけに、クーペ風SUVという役どころを思えば日本仕様のガソリンのみという設定にも納得がいく。

日本仕様はガソリン仕様のみだが、本国に は2種類のディーゼルもある。

そこで結論。クロスオーバーというニッチな位置付けのX2だが、スポーティで気の利いたSUV、あるいは初めて購入するBMWとしてはX1を凌ぐ可能性を秘めた選択肢であることは間違いない。

Specification
ビー・エム・ダブリューX2 xドライブ20i MスポーツX
車両本体価格(税込):5,150,000円
全長/全幅/全高[mm]:4375/1825/1535
ホイールベース[mm]:2670
トレッド(前/後)[mm]:1575/1570
車両重量[kg]:1620
最小回転半径[m]:5.1
乗車定員[名]:5
エンジン型式/種類:B48A20A/直4DOHC16V+ターボ
内径×行程[mm]:82.0×94.6
総排気量[cc]:1998
圧縮比:11.0
最高出力ps(kW)/rpm:192(141)/5000
最大トルクNm(kg-m)/rpm:280(28.6)/1350-4600
燃料タンク容量[L]:61(プレミアム)
燃費(10・15/JC08)[km/L]:-/14.6
ミッション形式:8速AT 変速比:1)5.519、2)3.184、3)2.050、4)1.492、5)1.235、6)1.000、7)0.801、8)0.673、R)4.221、F)3.200
サスペンション形式:前 ストラット/コイル、後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 前/後:Vディスク/Vディスク
タイヤ(ホイール):前225/45R19(8J)、後225/45R19(8J)

 

フォト:松本高好T.Mtsumoto /ル・ボラン 2018年9月号より転載
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小野泰治

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