国内試乗

【国内試乗】「BMW 330i M Sport」期待の少し先にある世界

“ズバッ”と効果音がしそうな、猛烈に鋭い勢いで向きが変わる

2L直列4気筒エンジンは、F31型330iツーリングが搭載する同系ユニットより最大トルクが50Nm上乗せした400Nmを発揮。

もちろん、コーナリングそのものも刺激的だ。試乗した330i Mスポーツは、19インチタイヤとダンパーの減衰力を可変制御するアダプティブMサスペンション、リア左右輪の駆動配分を可変制御するMスポーツ・ディファレンシャルを組み合わせたオプション、「ファスト・トラック・パッケージ」を装備。それだけに、走行モードで「SPORT」もしくは「SPORT+」を選べばステアリングとペダル操作に対する応答性がMモデルのように鋭くなる。コーナー進入時にステアリングを素早く大きく切り込めば、それこそ“ズバッ”と効果音が聞こえそうな勢いで向きが変わる。
ステアリングを切り込む過程ではロールが進んでいるはずだが、その実感はほとんどない。横Gだけが、鋭い方向変化の具合に合わせて立ち上がる。こうしたダイレクト感に、Mスポーツ・ディファレンシャルが威力を発揮している。だからこそ、正確なハンドリングを実現しながら、高いスタビリティが確保できるわけだ。

標準装備のブルーにペイントされた対向4ピストン式Mスポーツ・ブレーキが強力な制動Gを立ち上げる。試乗車はオプションの19インチタイヤを履く。

コーナリング中は、舵角が大きさに合わせてギア比がクイックになる「バリアブル・スポーツ・ステアリング」からシッカリした手応えが伝わる。なおかつ、ロールを最小限に抑えながらサスペンションがスムーズにストロークしていることがわかる。強い横Gが発生している状態で路面のうねりを通過しても、弾かれて姿勢が乱れることがないから、狙った走行ラインを寸分違わずトレースすることが可能なのだ。
コーナー脱出時は、アクティブに制御されるアダプティブMサスペンションに加えて新採用のストローク依存型ダンパーがパッシブに減衰力を制御。フロントは伸び側の減衰力、リアは縮み側の減衰力が高くなるのでステアリングを戻しつつアクセルを踏み込んでもボディはフラットなまま。
このリポートを記しているいまも、コーナー脱出時に腰に伝わってきた押し出されるようなGの感覚が残っている。330iは、走りの余韻を残してくれる。だから何度でもコーナーを駆けぬけたくなるのだ。

 

リポート|萩原秀輝|H.Hagihara フォト|柳田由人|Y.Yanagida  BMW COMPLETE 2019 VOL.71 より
BMWコンプリート編集部

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