いまや、ミドル級以上なら400km以上の航続距離は当然のEV。だが、その数値はあくまでカタログ上のスペックに過ぎない。ならば、ということで今回は最新の輸入車EVで走れる距離を比較してみた。
EVには過酷な条件下で航続距離を徹底比較
すでにEVライフを経験済みの方ならご存じの通り、EVは走らせる環境、走らせ方によって航続距離が大きく変わる。そこで今回は比較の条件を揃えるため、電力消費に響くエアコンの設定温度は統一。最初からエコランをする気はなかったので、走行モード切り替えは通常時の「コンフォート」が基本。EQCとIペイスに用意される「エコモード」は封印している。また、バッテリーの大容量化で航続距離が大幅に伸びている近年のEVだが、公共の急速充電器だと1回の充電では十分に電力量が回復しない。そこで、比較の行程は“使い切り”の日帰りドライブを前提とした。
さて、取材当日。事前の予報では雪の可能性すら示唆されていただけに雨で済んだのは幸いだったが、外気温度は当然低い。これでナイトドライブだったら、EVを走らせる環境としては最悪だったはずだ。とはいえ、撮影の都合で頻繁にクルマを止め、かつ走らせる際の“やせ我慢”はナシという前提なのでエアコンの設定温度は情け容赦なく24℃とした。
スタート地点は公共の急速充電器、CHAdeMO(チャデモ)と、それよりも高出力なテスラ用充電施設のスーパーチャージャーがある東雲。まずは、ここで全車満充電にする。その際、改めて気付かされたのはモデル3、というよりテスラの充電作業がスマートなこと。専用設計なのだから当然ともいえるが、ケーブルが太くて取り回しが面倒、なおかつ充電用ソケットも大きくて重いチャデモと比較すると、これだけでもちょっとした優越感に浸れるのは本当の話だ。たとえば自宅で普通充電、という状況ならEQCやIペイスでもなんら不満はないが、今回のような寒空の中でチャデモの急速充電器を操作するのは、決して嬉しいことではないのだ。