海外試乗

【海外試乗】「アウディRS4アバント」アウディスポーツ謹製の高性能ワゴンがフェイスリフト

ある意味、アウディが持てる技術と信念の結晶といえるのがRS4アバント。ボディタイプは代名詞でもあるアバント=ステーションワゴン専用とし、高性能エンジンがもたらすハイパワーをクワトロを介して路面に叩きつける。昨年フェイスリフトを受けたA4ベースの最新RS4アバントをドイツ本国で試した。

内に秘めた高性能を隠そうともしない

アウディの高性能スポーツワゴンの源流は、1996年に登場したRS2にまで遡ることができる。アウディ80アバントをベースに、ポルシェとの共同開発で誕生した2.2L直列5気筒エンジンは230psを発生。0→100km/h加速は5.4秒、最高速度は262km/hにも達した。あれから四半世紀、アウディのハイエンドスポーツモデルをプロデュースするアウディスポーツは、RS4の2020年モデルをリリースした。

2.9L V6 TFSIユニットは48Vのマイルドハブリッドを新たに搭載。Vバンク内側に配されるツインターボの最大過給圧は1.5バールだ。

昨年、大がかりなフェイスリフトを受けたA4アバントをベースにした最新RS4には、ひと目でダイナミズムを感じさせるオリジナルデザインが与えられている。オプションの20インチタイヤを収めるべく左右それぞれ30mm拡幅化された前後フェンダー、ロー&ワイドになったシングルフレーム内にはブラック塗装されたハニカムグリルを装着。さらに、RS4の高性能を象徴するのがバンパー左右の大きな開口部で、中央にドライビングライトを、両端にエアスプリッターをレイアウトしたそれは、アウディの子会社ランボルギーニを思い起こさせるほどのインパクトを持つ。

4WDのクワトロシステムは前後のトルク配分がフルバリアブル。このほかトルクベクタリングやスポーツデファレンシャルも搭載。

インテリアはカーボンとレザー、そしてアルカンターラとアルミのコンビネーションで構成。ラジエターグリル同様のハニカムステッチの入った専用スポーツシートが身体をしっかりと快適にサポートする。ドライバーの正面には12.3インチのバーチャルコクピット、そしてダッシュボード中央には10.1インチのMMIタッチスクリーンが並ぶが、前者のディスプレイはRS専用でデジタルタコメーターなどスポーティなメニューになっている。

0→100km/h加速は4.1秒。トップスピードは250km/hでリミッターが作動するが、オプションで280km/hまで引き上げることも可能だ。

スターターボタンをプッシュすると、最高出力450ps、最大トルク600Nmを発生する2.9L V6ツインターボは瞬時に目覚める。スロットルを踏み込むると、オーバルの大径エギゾーストパイプからは、ややバラついたV6独特の低音が耳に届く。8速ATとクワトロ4WDを介してのダイナミック性能は0→100km/h加速が4.1秒、最高速度は250km/hでリミッターが作動するが、オプションで280km/hまで引き上げることが可能だ。

チーフデザイナーのマーク・レヒテがデジタルデザインと名付けた、前後ライトユニット内の破線状デイライトもなかなかのインパクト。

実際、アウトバーン上でのRS4の振る舞いは、まさに自由自在。必要な時に必要なだけの加速を瞬時に引き出せるのはもちろん、盤石のスタビリティと充実したドライバーアシストにより、4名のパッセンジャーを速く、快適に、そして安全に目的地まで届けることができる。そしてパッセンジャーとラゲッジを降した後、オーナーはドライビングを楽しむためにワインディングへ向かうのだ。

レザーとメタルが調和したコクピット回り。フラットボトムステアリングや、バーチャルコクピット内の表示はRS専用だ。

ここでRS4はまったく別の顔を見せる。ステアリング上にある2種のRSボタンを押してドライブモードをスポーツにセットすると、スロットルとステアリング特性、さらにシフトタイミングがそれぞれシャープに変化。そうしてRS4は、超高速エクスプレスから究極のドライビングマシンに変身するのだ。精緻なステアリング、最適なギア比、そしてタイトコーナーではスポーツデファレンシャルがリニアに後輪へ最適なトラクションを与え、電光石火のコーナリングを可能にする。
逞しく実用的なワゴンボディとポルシェ718並みのダイナミック性能を備えたRS4アバントは、家族思いのお父さんには絶好の4ドアスポーツといえるだろう。

「RS」のロゴが刻まれたスポーツシートは、サポート性とクッション性を見事にバランス。トリムにはハニカム状のステッチが施される。

ルボラン2020年7月号より転載

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