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濃厚アメリカンなピックアップを味わおう!メビウスモデル製プラモ「1965年型フォードF-100」【モデルカーズ】

ツインIビーム・サスを初採用した4代目

アメリカのピックアップ・トラックを代表する歴史ある車種、フォードFシリーズ。その誕生は1948年型でのことであるが、それ以前のフォード・ピックアップ(先代は1941-1947年型)が、パッセンジャーカーのフォードをベースに設計されていたのに対し、このFシリーズは、完全な専用設計となっていたのが大きな特徴である。初の戦後型として生まれたこのFシリーズは、同じフォードの乗用車が未だ戦前のままの2枚ガラスのフロントウィンドウであるのを尻目に、大きな1枚ガラスのウィンドシールドを装着して現れた。

また、前年にフォードに先んじて登場していたシボレーの戦後型ピックアップ“アドバンス・デザイン”に対抗すべく、キャビンもワイドに設計されていた。Fシリーズは積載量によってF-1~F-8と8種類に大別され、数字の一番小さなF-1が、積載量も最小の1/2トンだ。往年の歴代Fシリーズで特に有名なのは2世代目(1953-1956年型)だろうが、この世代から車名はF-100、F-250といったものに変更された。後の各世代で車名の数字やそれが示す積載量の種別は変わっていったが、今回採り上げた4代目(1961-1966年型)では、F-100が1/2トン、F-250が3/4トンとなる。

この4世代目最大の特徴は、いわゆるクーペユーティリティあるいはセダンピックアップにも似た、キャブとベッドを一体化したモデル(“ユニボディ”または“インテグレーテッド・トラック”などと呼ばれた)が登場したことである。初年度の1961年型で華々しくラインナップされたこのユニボディは、通常のモデルとはリアエンドのデザインも変えてその存在を大いにアピールしたが、耐久性の面での問題(あるいは、問題があるという「噂」)から、フォードの思惑ほどセールスは伸びず、1963年型を最後に消滅している。

フロントグリルなどの細部デザインは年々変更されたが、この1965年型ではフロントのターンシグナルが、それまでのグリル内からヘッドライト上へと移動。しかし最も大きな変化は、外見ではなく機構面にあった。以後、Fシリーズを象徴するメカニズムとなった、“ツインIビーム”式のフロントサスペンションが初めて採用されたのだ。これは前車軸をそれまでのリジッド式から一気に独立式へと進化させたものだが、構造的にはごく単純なもので、左前輪はフレーム右側が支点の、右前輪は左側が支点のIビームでそれぞれが懸架されるという、スイングアクスルの一種である。またこれに伴い、フレームも前年型とはガラリと変更されていていて、内容的にはフルモデルチェンジにも近かった。

搭載エンジンは2種類の直6があり、240-cid(3.9L)は最高出力150hp、300-cid(4.9L)は170hp。そしてV8が1種類、352-cid(5.8L/208hp)が用意された。ホイールベースは115インチ(2921mm)と129インチ(3277mm)があったが、作例のサービストラックのように社外で架装されるためベッドなしで提供されるタイプには、129インチのみが存在したようだ。

Fシリーズに注力するメビウスモデルの好キット
メビウスモデルはフォードFシリーズに力を入れており、特に5代目は近頃1968年型の発売がアナウンスされたことで、1967-1972年型の全年式が1/25スケール・プラモデルで揃ったことになるが、4代目も1965、1966年型の2種類をリリースしている。ここでご覧頂いているのは、その最初に発売された1965年型のサービストラックだ。4代目と5代目では共通のパーツが多く使われ、流用できるものも多いので、組み合わせを変えることで色々な仕様を楽しむことができるだろう。このキットは2019年に発売されたもの(品番1235)で、デカールは建設会社と溶接会社(作例で使用したもの)の2種、サイドミラーは3種が付属する。ホイールキャップも2種付くが、片方は1969年型用なのでオプションという訳ではない。

このホイールキャップのように他の仕様のF-100用パーツが色々と含まれているが、色々と応用できそうなので捨てずに保管しておくと良い。キャブのデザインはクラシカルでやや小ぶりな4代目もなかなか魅力的で、そのディテールはよく再現されている。この製品の特徴はピックアップのキットとしては珍しいユーティリティベッド仕様(サービストラック)であることだ。中央の積載フロアの左右に、工具などを収納するボックスと、そのドアが付く。

作例のボディカラーのブルーは、アクセルカラーのシアニンブルーにホワイト、バイオレットとマゼンタで調色して塗装した。ルーフはピュアなホワイトを使用したが、純正カラーではWimbledon White(M)となる。フロントとサイドのバッジはモールドではなくメッキパーツが付属。ミラーは大型の方を選択、ステーの一部を削って自然な形にした。

組み立てでは、フロントグリル上部が別パーツで(パーツNo.276)、塗装後に取り付けると継ぎ目ができてしまう。作例は塗装前に接着したが、先に取り付けるラジエーターサポート(No.275)がボディカラーでないため、塗り分け作業が厄介になった。しかも右側のホーン(No.294)もラジエターサポートと同時に取り付ける必要がある。作例ではうっかり見過ごしてしまい、後からホーンの取り付けはできなかった。この辺りの塗装と組み立てには深く配慮する必要がある。インテリアはボディカラーとホワイトのコンビ、シートのみセミグロス仕上げ。メーター類は光輝シルバーとブラック、ホワイトなどの筆書きによる。

フロントガラスは説明図のように前から取り付けるのは難しいので、下の接着シロの部分を少し取り除いて、横からスライドさせるように取り付けると良い。また、ステアリングホイールがコラムに垂直に付かない。色々と調べてみたが、コラムに対してステリングは垂直になるはずなので、作例ではそのように調整してある。ユーティリティベッドの部分は複数のパーツの組み合わせで構成されるが、接着面が表に出るところがある。貼り合わせ部分の隙間や段差を丁寧に消し、表面処理は注意深く行っておく。

細部で気になるところとしては、スペアタイヤのホイールナットがある。これが付いていては不自然なので、削り落としてボルト穴を開けておくと良い。キットに付属するエンジンは、スタンダードな240-cidの直6ではなくオプションの352-cidのV8で、それまでのメビウスのF-100には付属しなかったパーツである。

せっかくのサービストラックのキット化だけに、ベッド左右のドアを開けたり、工具や小物を載せたりと、夢は膨らむ。フィギュアを添えてジオラマに登場させるのにも、うってつけの1台だろう。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.281より再構成のうえ転載

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