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なるほど納得、あのキットのパーツが使えるのか!タミヤ製「P10プリメーラ」JTCC仕様をノーマル戻し【モデルカーズ】

欧州車を凌駕したコンフォート・パッケージセダン

「スポーティセダンとは何か?」と問われた時、日産プリメーラの初代モデル(P10型)を思い浮かべる人は少なくないだろう。1990年2月に登場したP10プリメーラは、「卓越した走行性能」と「高い快適性の室内空間」を高次元でバランスさせたスポーティ・セダンだった。「コンフォート・パッケージセダン」というコンセプトで生まれた初代プリメーラはモデル末期まで好調なセールスを記録し、1995年9月まで、5年半という長期間、販売された。
発売時のカタログには、「アウトバーンでの高速走行で、鍛え抜かれた走りのテイスト」のコピーと共に、メルセデスベンツ190やBMW 3シリーズ、アウディ80と一緒に走行しているシーンがあり、これらをベンチマークとして開発されたことが想像される。「901活動」(1990年までに世界一の運動性能を実現するという日産の社内目標)のもと生まれた新型フロントマルチリンクサスペンション、およびそれによるハンドリングは、「欧州車を凌駕」したとも言われたほどである。

合理的な「プリメーラ・パッケージ」により、コンパクトな車体にもかかわらず室内空間はクラス最大級の広さを誇った。ダブルリンク式の大きく開くトランクも話題となったものである。オーソドックスな4ドア・セダンでありながら、外面をフラッシュサーフェイス化して、優れた空力性能を実現していたのも特筆すべきポイントであろう。スポーツセダンとして高い評価を得たP10プリメーラは、レースでも活躍。1993年から英国ツーリングカー選手権(BTCC)、1994年から全日本ツーリングカー選手権(JTCC)に参戦したのである。

JTCCにはNISMOのカルソニック・プリメーラ(星野一義)とカストロール・プリメーラ(長谷見昌弘選手)がエントリー。激しいバトルを演じながら、同年のJTCC最終戦インターTECではカルソニック・プリメーラが優勝。また翌1995年も参戦したプリメーラは、シーズン中1勝を挙げている。舞台は同じく最終戦インターTEC、そして同じく星野一義のカストロール・プリメーラによる勝利であった。

初代プリメーラのプラモデル化は、オーソドックスなセダンゆえか、あまり恵まれず、このJTCC仕様のみがキット化されている。タミヤによる1/24スケールの、カルソニックとカストロールの2種類がそれである。ここでご覧頂いているのはこのレース仕様のキットをノーマル化して制作したものだ。

制作にはカストロール仕様を使用したが、レース仕様を市販車化するのはハードルが高く、大径タイヤを収納するため膨らんだ前後フェンダーなどのボディ修正のほか、純正ホイールや大半のインテリア部品、フォグランプなどの外装パーツ、シャシー周りなどの自作が必要となる。幸いハセガワのU12型ブルーバードから流用できる部品が多く、助かったようだ。

フェンダーを引っ込めるには!?
キットのボディはレース仕様のため、フェンダーがノーマルより張り出している。まずアーチ周辺裏側に貫通防止のためパテを盛った上で、削るべき部分を実車写真を参考にマーキング。余計な部分を削らないようマスキングテープで保護し、平ヤスリでガシガシ削る。大まかに削ったら、調色スティックに240番ペーパーを貼ったものと、スポンジヤスリ320~600番で形状を均し、さらにセラフィニッシャーで削って、ボディとの段差がほぼなくなったら、スポンジヤスリ320~600番で仕上げる。フロントも同様に作業。

サイドシルもホイールアーチに向けて拡がった形なので、真っ直ぐに修正する。まず、膨らみの開始点をマジックでマーキング。サイドステップはハイパーカットソーで切り離してしまい、ボディ裏側に、曲げやすいように縦スジを彫り込む。サイドモール部を先ほどのマーキング箇所まで切り込み、縦スジ部を重点的に、定規を当てて直線になるよう、折れないよう注意しつつ指で擦って曲げる。直線になったら裏に1.2mmプラ板を接着して形状を保持。この後、切り離したサイドステップも真っ直ぐになるよう再接合した。

ホイールの自作も必要だ。初期のカタログにホイールの線図があったので、スケールを合わせて縮小コピー。そのディスク部を1.2mmプラ板に貼りつけ、サークルカッターで丸く切り出す。これを電動ドリルにはめて回転させ、中心部が凹となるようセラフィニッシャーで削った。きちんと固定しないと飛んでいくので要注意。BMCタガネ0.2mmで放熱孔を貫通するまで彫り込み、ヤスリで形状を整える。2mm径ドリルでナット孔を4か所開け、スポンジヤスリ320~600で全体をサンディングして、ディスク面の完成。リム部は14インチに合うジャンクホイールから流用、ディスク面をプラリペアで複製して組み合わせた。

前述の通りインテリアの部品はハセガワ製U12型ブルーバードから色々と流用、ダッシュボードは空調・オーディオ部などをU12から複製、グローブボックスはプラ板で自作した。計器類のデカールもU12と配置がほぼ同じなので、流用している。また、シャシー裏面もミッションや排気系のパーツをこのブルーバードのキットから移植した。この他燃料タンクの不足部分を自作するなど、シャシー関連もレース仕様から市販車にしっかりと改められているので、上に載せた画像をじっくりとご覧頂きたい。

作例制作=飯尾寿樹/フォト=服部佳洋 modelcars vol.289より再構成のうえ転載

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