1982年式 アルピナ C1 2.3(E21型)
2025年11月29日に栃木県で開催された「ALPINA BUCHLOE FINAL MEETING」。ブランド統合を控えた記念すべきミーティングの会場には、新旧のアルピナが集結した。その中でも往年の輝きを放っていたのが、オーナーが自らの手で復活させた1982年式アルピナ C1 2.3だ。その情熱と愛車の詳細をお伝えしよう。
【画像6枚】E21ベースの傑作。アナログな魅力が凝縮された「アルピナ C1 2.3」のフォトギャラリー
映画『汚れた英雄』にも登場。希少な初期アルピナ「C1 2.3」
2025年に創業60周年を迎えたアルピナは、独立した自動車メーカーとしての活動を終了し、2026年からブランドがBMWに統合されることになった。まさにブランドの転換期だといえるが、その長い歴史を振り返ると、BMW アルピナ 3.5CSLでツーリング・カー選手権のチャンピオンになった1977年シーズンを最後にアルピナはレースから一時的に撤退。公道を走る高級車の開発に専念することになった、この時期も大きなターニングポイントだったといっていい。

“ます”さん(取材時57歳)が「ALPINA BUCHLOE FINAL MEETING」に乗ってきたアルピナ C1 2.3は1982年式で、アルピナ製ロードカーの起源に近い時代に生産されたモデルならではの、古典的なメカニカルチューンによる走りを楽しめる貴重な一台だといえる。日本映画史に詳しいクルマ好きは、角川春樹監督による『汚れた英雄』の劇中で、草刈正雄さんが演じる主人公の愛車がアルピナ C1 2.3だったことを憶えているだろう。
入手時は不動状態。自らの手で再生させた情熱のDIY
アルピナ C1 2.3のベースとなったのはBMWの初代3シリーズであるE21型の323iで、1977年にデビューしたが、吹け上がりのいいエンジンや俊敏なハンドリングなどを特徴としていた。BMW、アルピナを問わず、E21は年式的に完調を維持しながら現存している個体は少ないといえるが、ますさんのアルピナ C1 2.3も入手したときは不動だったのだという。

「前オーナーから買ってほしいと言われ続け、1年間は断っていましたが、5年前にこのC1 2.3を譲り受けました。しかし購入時は不動だったので、自分で修理して復活させました」
「ただのBMWに見える」ことこそが美点。通を唸らせるアルピナの真髄
ますさんはE34型のB10を2台乗り継いだというベテランのアルピナ・オーナーであり、C1 2.3だけではなくアルピナ全般の魅力についても話してもらった。
「C1 2.3はドライブするときに乗っています。ひたすら楽しいですね。あまり人と被らず、アナログなところが魅力です。その一方で、部品を手配するのが大変ですね。すでに、あちらこちらを直していますが、長く乗れるように、さらに整備していきます」

「アルピナはデコラインを外すと、ただのBMWに見えます。そのため、パフォーマンス、ラグジュアリー、コンフォートといった中身の魅力が付加価値であることを理解しながら乗っている人の心意気が僕は好きなんですよ。それがアルピナの美点ということにさせてください。最高のクルマです」
ますさんは以前BMW 335iカブリオレを所有し、現在F11型の523dもC1 2.3と一緒に愛用しているという根っからのBMW好きなので、これからもアルピナの伝道師として、その長所を伝えていってくれるだろう。
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