コラム

今あえてE92型アルピナB3ビターボを選ぶ。「これが終のクルマ」というオーナーの美学【愛車群像】

2008年式 アルピナ B3ビターボ・クーペ(E92型):愛息の宗一郎さんとイベントを楽しんだ遠屋和浩さん。翌日に愛息が購入したいクルマを見に行ったらしい。
2008年式 アルピナ B3ビターボ・クーペ(E92型):愛息の宗一郎さんとイベントを楽しんだ遠屋和浩さん。翌日に愛息が購入したいクルマを見に行ったらしい。
2008年式 アルピナ B3ビターボ・クーペ(E92型):マーレ製スペシャルピストンを組み込み、ターボ最大過給圧を上げたエンジンは圧倒的なパワーを誇る。
チタンシルバーのE92型アルピナB3ビターボ・クーペは、日本に2台しか存在しないのではといわれている。
2008年式 アルピナ B3ビターボ・クーペ(E92型):スポーツカーを凌駕する動力性能を持ちつつ、インテリアはラグジュアリー。それがアルピナ流だ。
2008年式 アルピナ B3ビターボ・クーペ(E92型):リアまわりは、小さなスポイラーをはじめとする、あくまでも控えめなドレスアップとなっている。
2008年式 アルピナ B3ビターボ・クーペ(E92型):日本では非現実的だが、アクセルペダルを踏み込むとあっという間に200km/hオーバーでのクルージングを楽しめる。

2008年式 アルピナ B3ビターボ・クーペ(E92型)

2025年11月29日に栃木県で開催された「ALPINA BUCHLOE FINAL MEETING」には新旧さまざまなアルピナが集まった。同ブランドのメーカーとしてのラストイヤーである今年1月に、あえてE時代の名車、E92型アルピナ B3ビターボ・クーペを選んだというオーナーを紹介しよう。

【画像6枚】日本に2台の輝き。チタンシルバーを纏った「E92型アルピナB3ビターボ」の全貌を見る

E時代」の直6フィールを求めて

「直列6気筒エンジンを積んでいる最高のクルマに乗りたかったんですよ」

愛息の宗一郎さんとALPINA BUCHLOE FINAL MEETINGを楽しんだ遠屋和浩さん(取材時62歳)は、2025年1月にE92型のアルピナ B3ビターボ・クーペ(2008年式)を増車。通勤に使い、週末のツーリングも楽しんでいるのだという。

「E92でチタンシルバーのB3ビターボ・クーペは、おそらく日本に2台しかないと思います。以前E90のBMW 325iに乗っていたので、6発のスムーズさを再び味わいたくて買いました。型式がE時代のクルマに戻りたかったんですよね」

2025年はアルピナのラストイヤーだったこともあり、直列6気筒エンジンを積んでいるBMWではなくアルピナを探すことにしたが、選択肢を広げて、リムジン、クーペ、カブリオレの中から状態のいい個体を選ぶことにしたそうだ。

最新モデルよりも「味」を優先

「アルピナを買おうと思ったときにホンダ S2000とW205型のメルセデス・ベンツ C200に乗っていましたが、たくさん走ったS2000はもう手放してもいいかと思ったので2015年式のC200を残すことにしました。アルピナの傑作の系譜の最終章を飾るモデルとして登場したB3 GTにも試乗させてもらったのですが、B3ビターボ・クーペのほうが味があったので、あえて17年前のモデルを選びました」

そのように話してくれた遠屋さんは、かつてNA6CE型のユーノス・ロードスターに乗っていたことがあり、W123型のメルセデス・ベンツ 280TEやE46型のBMW 318iを所有していたこともあるのだという。そう、ちょっと旧いクルマに対する免疫ができているので、2008年式のB3ビターボ・クーペを迷うことなく購入できたのであった。

M3に匹敵する動力性能と、これから深まる絆

アルピナはB3ビターボ系各モデルのエンジンにマーレ製スペシャルピストンを組み込み、ターボ最大過給圧を上げ、インテークおよびエキゾーストを見直してマネージメントを適正化している。その結果、6速AT仕様のB3ビターボ・クーペは同世代のBMW M3と同等の加速性能を有していた。

「普通にドライブするとジェントルですが、ひとたびアクセルを踏み込むと2速ダウンして猛烈に加速していきます。まだ買ったばかりなので、これといった苦労話もなく、イジったり直したりした部分もありません。いろいろあるのは、これからですね。今後、ATF、エンジンマウント、ミッションマウントを交換することを計画しています」

まだまだお若いが、もう増車せず、アルピナは終のクルマになるであろうとも話してくれた。B3ビターボ・クーペをパートナーとした遠屋さんの自動車趣味生活は、これからさらに深遠なものになっていく。

【画像6枚】日本に2台の輝き。チタンシルバーを纏った「E92型アルピナB3ビターボ」の全貌を見る

フォト=宮越孝政/T. Miyakoshi

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