



















顧客の熱望とブガッティの流儀が交錯する、シュール・ムジュールの到達点
ブガッティは2026年2月26日、8.0L W16エンジンのフィナーレを飾るオープントップモデル「W16ミストラル」のビスポーク車両、「ラ・ペルル・ラール」を発表した。同社のパーソナライゼーションプログラム「シュール・ムジュール」を通じて製作されたこの車両は、顧客の個人的な要望とブガッティのデザイン技術を組み合わせたワンオフモデルだ。専用のボディカラーや内装の仕様変更が施されたこの特別なハイパーカーの詳細をお伝えしよう。
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ペブルビーチでの対面から始まった専用プログラム
この「W16ミストラル・ラ・ペルル・ラール」の製作プロセスは、2023年8月に開催されたペブルビーチ・コンクール・デレガンスにおいて、ブガッティのシュール・ムジュールおよびインディビジュアライゼーション部門マネージャーを務めるヤシャ・ストラウブ氏が顧客と初めて対面したことから始まった。初期の協議段階から、W16ミストラルの造形に流線型のデザイン要素を加えるという方向性が両者間で共有された。その後、ブガッティのチームは顧客の要望を反映させるため、車両の細部における仕様決定に向けた調整と改良を重ねた。
専用開発されたゴールドとホワイトのツートーンカラー
外装デザインのインスピレーションの源となったのは、光の反射を表現するブガッティの手描き塗装「ヴァーグ・ド・ルミエール」である。車体の上部と下部を視覚的に分割し、地面と空の関係性に呼応するツートーンカラーの構成が採用された。配色の検討はシルバーを起点とし、明るいメタリックフレークを加えたホワイト系の色調へと移行していった。
最終的に、ボディ上部には温かみのあるゴールド系の色合いが、下部には温かみのあるホワイトがそれぞれ専用色として開発された。ホワイトとゴールドを分ける境界線は、手作業によるマスキングや塗装など数百時間を費やして施工されている。また、ダイヤモンドカットのアルミホイールにも、車体の色合わせに連動したゴールドとホワイトの特注塗料が施されている。
外装の配色を反映したインテリア設計
内装も外装の配色に合わせた仕様となっている。室内のカーボンパーツはすべてホワイトに塗装されている。ドアパネルにはホワイトとゴールドのラインが交互に配置され、その曲面的な形状を強調している。さらに、パネルを照らす温かみのあるアンビエント照明が組み込まれた。
ステアリングホイールのアクセントやセンターコンソールのダイヤル、ドアハンドルには、機械加工と研磨が施されたアルミニウム製トリムが採用されている。これらの表面処理により、外装と同様に光を反射する設計となっている。
車両に刻印された特有のサインとモチーフ
このワンオフモデル独自の仕様として、ストラウブ氏の筆跡による「La Perle Rare」のサインが車両の複数箇所に配置されている。具体的には、センタートンネルのステッチ、ホワイトとゴールドの専用エンジンカバーへの刻印、そしてリアウィング下部のペイントとして施されている。
さらにブガッティの豊かな歴史への敬意として、レンブラント・ブガッティによる「踊る象」の彫刻モチーフが、ギアセレクターのケースや前輪後方のボディパネルに採用されている。
【ル・ボラン編集部より】
内燃機関の終焉に際して、ノスタルジーに浸る過剰な装飾は、かえって雑味を生む危険性をはらんでいる。しかし本作は違う。8.0L W16エンジンの暴力性と、工芸品のような繊細さが見事に両立されており、ここにブガッティの真価が宿る。光を反射する専用塗装や踊る象のモチーフには、単なる特注を超えたブランドの哲学を感じる。自動車という枠を超越した動く芸術品を求める真の好事家には最適だろう。W16の系譜を締めくくるに相応しい歴史的傑作である。
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