海外試乗

【試乗】ただの“大きなパンダ”にあらず。フィアット「グランデパンダ」新採用6速DCTと小気味よいハンドリングが証明する、本物の“相棒感”《LE VOLANT LAB》

フィアット・グランデパンダ BEV
フィアット・グランデパンダ BEV
フィアット・グランデパンダ MHEV
フィアット・グランデパンダ BEV

「吾輩は◯◯である」とかけて「熊猫」と解く! トリノでフィアット・グランデパンダに乗ってみた

ジョルジェット・ジウジアーロが手がけた初代の誕生から40年以上。フィアットの大衆車を牽引してきた名車「パンダ」が、ファッショナブルなBセグメントSUV「グランデパンダ」へと劇的な進化を遂げた。復古ではなく“再構成”されたという遊び心あふれる内外装のデザインから、新採用の6速DCTを搭載するMHEV、そしてEVモデルがもたらす小気味よい走りの実力まで。イタリア・トリノの地で新たな“相棒”の真価を紐解く。

【画像174枚】プレス成形の「PANDA」ロゴが大胆不敵! 遊び心と機能が融合した新型「フィアット・グランデパンダ」のディテールをすべて見る

プレス成形で大胆に主張! 現代版パンダの「ふてぶてしい」エクステリア

復古ではなく再構成、といえばしっくり来るだろう。ジョルジェット・ジウジアーロが手がけた初代の設計思想、すなわち簡潔にして機能優先の意匠や造形そして雰囲気は、フィアットの大衆車の伝統に則っていて好感がもてる。とはいえ、これまで庶民のアシとしてAセグメントを担ってきた「パンダ」と一線を画すというか、昔のままじゃいられないのは、「グランデ」と付く通り、ファッショナブルな存在感をもまとったBセグのSUVクロスオーバーとして、方向づけられたことだ。

だからグランデパンダの、どことなくふてぶてしいキャラクターは早速、エクステリア・デザインに見てとれる。ボディ側面にプレスラインと一緒に入れられた「PANDA」の穴無しフォントの凹凸は、グラフィックのようでプラスチック(造形)という、このクルマのこだわりどころを見事に表している。ドアパネルを補強する意味も無論あるだろうが、プレス一発で作れるディテールだからこそ大胆にやる、そんなサービス精神でもある。

リアハッチゲートのインサートにも、同じく穴無しの車名ロゴが樹脂成型プラスチックで覗いているし、ハッチゲートの反対端には「FIAT」が大胆にプレスされている。ついでにいえば、リアドア後端部の四角い樹脂製インサートは、光や見る角度によってFIATロゴもしくは4本の斜め線ロゴが浮かび上がるトロンプ・ルィユ(騙し絵)効果になっている。後者はもちろん、昔のパンダやウーノがグリルに採用していた5本の斜め線フィアット・ロゴを彷彿させるし、よく見たらそのものが前後フェンダーアーチにも、入っている。さらによく見れば、ルーフキャリアにも例の穴無しロゴが認められる。純粋に非・成形によるグラフィックのロゴは、フロントグリル左端のFIATロゴのみだが、これとてグリル内のピクセルパターンのついでに入っているものだ。

要はバッジのようなアドオン・パーツで車名やグレードを示す、そんな手法やコストのかけ方を一気に古いものとし、プレス成形や射出成形レベルから現代のパンダであることを主張しまくる。しかも、それらが左右非対称で配されるものだから、さりげなく気にかかる細部になる。なかなか賢くてスマート、かつ量産性の高い主張なのだ。

竹素材から旧本社屋のテストコースまで。フィアットらしさ全開のインテリア

インテリアにも「らしさ」は多々、見られる。今回はEV仕様が「ラ・プリマ」、MHEV仕様は「イコン」に試乗したが、前者のダッシュボード上の収納ボックスと加飾パネルには、竹由来の素材が用いられている。無論、竹は成長が早くて繊維やプラスチックに混ぜ込みやすい素材だが、エコだけでなくネタとしても最大限に活きるのは、“パンダ”との組み合わせなのだ。

またホワイト&ブルーのツートーンでワッフル状のクッションを備えたシートには、差し色で蛍光イエローのステッチラインが走り、「PANDA MADE WITH LOVE IN FIAT(愛を込めてフィアット製パンダ)」と、ちょっとラブリーなメッセージが控えめに記されている。

対して後者の「イコン」は、ダッシュボードには織り柄、シートはPANDAの各アルファベットが踊るエンボスのファブリック仕様で、蛍光イエローのステッチラインと前席シート間のエルボーレスト兼小物入れは、プリマと同じくだ。

イエローのアクセントでさらに目を引くのは、シフトコンソールを囲む水平の楕円と、10.25インチのタッチスクリーンからインストルメントパネルまでほぼ垂直に覆う、同じく透明プラスチックの楕円だ。これはフィアットの旧本社屋、トリノの「リンゴット」をイメージしたもの。リンゴットはコロナ禍の直前にリニューアルされ、現在はホテルとして宿泊も可能なほか、ショッピングモールのテナントや多目的ホール、アニエッリ家の絵画コレクションを収蔵する博物館などがある。

ラ・ピスタ500

この建造物がモダン建築の傑作といわれるゆえんは、バンクのある1.1kmのテストコースを屋根の上に実装し、そこに入退出するための、まるで大聖堂かと見紛うような見事なランプまで備えるなど、働く人々に合理的で快適な動線と環境を実現していたがためだ。その落成は1923年、つまり日本で言ったら大正時代に社内エンジニアの手で作り上げられたのだから、当時のフィアットの底力とイタリアン・モダン・デザインの先進性をうかがえるというものだ。もちろんグランデパンダはここで実験を重ねたわけではないが、屋上のテストコースは現在「ラ・ピスタ500」として一般公開されている。

新採用6DCTがもたらすダイレクトな走り。街乗りに最適なフットワーク

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