













オペル、モータースポーツ初勝利から125周年
独オペルは、モータースポーツにおける公式戦初勝利から125周年を迎えたことを発表した。1901年にハイデルベルク近郊で開催されたヒルクライムレースでの勝利を皮切りに、世界ラリー選手権やツーリングカーレースで数々の栄光を手にしてきた同社。近年は世界初の電動ラリー・ワンメイクカップを主催し、来シーズンからは「ABB FIAフォーミュラE世界選手権」への参戦も決定するなど、電動化の未来へ向けて新たな歴史のページをめくろうとしている。
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黎明期の挑戦と記念すべき初勝利
オペルがモータースポーツへの挑戦を開始したのは19世紀末にまで遡る。創業者アダム・オペルの息子であるハインリッヒ・オペルは、1899年にドイツ初の国際モーターレースに出場したが、この時は技術的な問題で完走を果たせなかった。しかし、兄弟は諦めることなく自動車の改良と信頼性向上に努め、その経験が後の大きな成功へと繋がっていくこととなる。
記念すべき初勝利の瞬間は、1901年3月31日に訪れた。ハインリッヒは、ハイデルベルク近郊のケーニヒスシュトゥールで開催された山岳ロードレースに、軽量化と空気抵抗低減の改造を施した5hpの「モトールヴァーゲン」で参戦した。最大勾配16%を含む全長4.5kmの過酷なコースを23分で走り抜け、見事にライバルたちを圧倒したのである。さらにレースカーを輸送するのではなく、彼自身が自走して会場を往復し、当時としては驚異的な平均速度45km/hを記録したことで、その高い信頼性をも見事に証明した。
ラリーとサーキットで築き上げた黄金時代
初勝利によってモータースポーツの可能性を確信したオペルは、その後も快進撃を続ける。翌年には同コースでさらなるタイム短縮を果たして優勝し、1921年にはベルリンの伝説的な市街地サーキット「AVUS」の開幕戦において、フリッツ・フォン・オペルが平均速度128.84km/hという猛スピードで勝利を収めた。これらの初期の成功は、市販車の信頼性向上にも大きく貢献していくことになった。
1970年代から90年代にかけて、オペルのモータースポーツ活動は黄金期を迎える。ラリー界の伝説であるヴァルター・ロールは、1974年にアスコナを駆ってヨーロッパラリー選手権を制覇し、1982年には260psを誇るアスコナ400で世界ラリー選手権の王者となった。サーキットにおいてもその強さは健在で、1996年には500hpの2.5L V6エンジンを搭載した「クリフ」カリブラが国際ツーリングカー選手権でタイトルを獲得している。
電動化の未来へ、フォーミュラEへの新たな挑戦
輝かしい内燃機関の歴史を持つオペルだが、現在のモータースポーツの舞台は電動化へとシフトしている。同社は過去5年間にわたり、世界初となる電動ラリーのワンメイクカップを開催し、局所的排出ガスゼロのレースがいかにスリリングであるかを証明してきた。間もなく開幕する新シーズンには、新たな「モッカ GSEラリー」が投入される予定だ。同時に、207kW(281ps)を発揮する市販モデルの「モッカ GSE」を通じて、完全電動のラリーフィーリングを一般のドライバーにも提供している。
そしてオペルは次なるステージとして、来シーズンから世界で最も急成長しているレースシリーズ「ABB FIAフォーミュラE世界選手権」へファクトリーチームとして初参戦することを発表した。125年前のヒルクライムでの初勝利から始まったオペルのモータースポーツへの情熱は、最新の電動レーシングカーへと受け継がれている。完全電動化ブランドとしての未来を見据え、オペルはフォーミュラEの舞台で新たな歴史を刻もうとしているのだ。
【ル・ボラン編集部より】
125年に及ぶ輝かしいモータースポーツ史の提示は、決して単なるノスタルジーではない。5hpのモトールヴァーゲンからWRCを制覇したアスコナ400まで、オペルの真骨頂は「過酷な舞台で実用性と速さを証明する」質実剛健さにある。次期フォーミュラEへの参戦と「モッカ GSE」の投入は、かつての高性能エンジンの魂を電動化時代へと接続する歴史的アンカーだ。ステランティス内でフランス勢とは一線を画す「ドイツ車らしい堅実な走り」の系譜は、モーター駆動となっても色褪せることなく継承されているのである。
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