国内試乗

【試乗】新型GRヤリス“26式”最大の驚きは「乗り心地」。派手なMORIZO RRが日常使いに最適な理由《LE VOLANT LAB》

トヨタ GRヤリス “26式”
トヨタ GRヤリス “26式”:RZ“High performance”
トヨタ GRヤリス “26式”:RZ “High performance” + Aero performance package
トヨタ GRヤリス “26式”:MORIZO RR
トヨタ GRヤリス “26式”:Sebastian Ogier 9x World Champion Edition

ガチな足回り……と思いきや極上の快適性!? 新型GRヤリスの進化に驚いた理由

トヨタがWRCで勝つために生み出したホモロゲーションモデル「GRヤリス」。モータースポーツでの学びを生かし改良を受けた最新の「26式」は驚くべき進化を遂げていた。3児の母でもあるモータージャーナリストの竹井あきらが公道試乗を敢行。新採用の縦引きサイドブレーキとシートヒーターが同時装着可能になった実用性から、限定車「MORIZO RR」が魅せた極上の乗り心地まで、日常の視点で徹底レポートする。

【画像55枚】派手なカーボン製リアウイングが目を惹く「MORIZO RR」や、屹立する縦引きサイドなど、26式GRヤリスのディテールをすべて見る

「やだ、これガチのやつだよ」と委縮した過去。WRCのロマンと現実が交錯する圧倒的な硬さ

「BORN FROM WRC」をコンセプトとするGRヤリスだが、その実、WRカーとして公認を取得するために生まれた「BORN FOR WRC」とでもいうべきホモロゲーションモデルだ。筆者の唯一のGRヤリス体験は、2024年に初の、そして大幅な変更を受けた「24式」の「RZ “High performance”」MT仕様だったが、あまりのハードなセッティングに「やだ、これガチのやつだよ」と心底委縮したのを覚えている。運動性能はすごいのだろうが、4WDとはいえきちんとトラクションをかけながら走らないとドキドキするような足の硬さ。私とてランチア・ストラトスやデルタ・インテグラーレに陶酔したWRCロマンを共有する者ではあるが、これを日常生活に使うなんて酔狂だわ、と思った。

トヨタ GRヤリス “26式”

翌2025年、8速AT「GR-DAT」のスポーツ走行時のギア選択制御が熟成され、締結剛性向上ボルトを採用して応答性と直進安定性を向上、それに合わせてショックアブソーバーと電動パワステのセッティングにも手が入った。この「25式」と呼ばれるモデルは乗り心地が良くなったらしいという噂を聞いたものの試乗の機会はなく、半信半疑だった。

ロマン装置? いや実用装備! 小柄な女性や五十肩にも優しい「縦引きサイド」

そして3度目の改良を受けたのが今回試乗した「26式」である。まず乗り込んだのは「RZ “High performance”」のMT仕様。操作パネルとディスプレイはドライバー側に15度傾けられ、まさにコクピットというにふさわしい運転席には、新開発の小径ステアリングホイールが備わる。そしてシフトレバーとステアリングホイールの間に、縦引きサイドブレーキのレバーが屹立している。サイドターンに使う用のアレだ。ラリーカーらしいロマン増強装置としては効果抜群の存在感。およそ4割のGRヤリスオーナーが縦引きサイドブレーキを選んでいるというのも納得である。同時に軟弱なドライバーをひるませもする。

トヨタ GRヤリス “26式”:RZ“High performance”

だがしかし、使ってみると便利なことこの上ない。特に小柄な女性には絶対オススメしたい。筆者は身長157cmの昭和女性らしい体格を誇るので、シートはもっぱら最前で、シート高も結構上げないことにはまともなドライビングポジションが取れない。これにバケットシートの組み合わせだと一般的なサイドブレーキのレバー位置では手が届かず、サイドを下ろしてからシートを前に出さざるを得ないのだが、縦引きなら楽々いける。しかも引き代が少なく、力も要らないから五十肩にもやさしい。

今回の変更で、縦引きサイドブレーキとシートヒーター+ステアリングヒーターの同時装着が可能になったのも朗報だ。小径ホイールも腕の短さをフォローしてくれるからハンドル捌きも快適。限界を極めるレースで磨かれた操作系は、使いやすさの極みだった。

最高出力304ps、最大トルク400Nmを発生する1.6Lターボはよどみなく吹け上がり、競技までカバーする足回りとステアリングを得て峠を駆け上がる。四輪はしっかり路面を捕らえ、安心してアクセルを踏み、ハンドルを切ることができた。

8ATGR-DAT」でペダルワークに全集中! 抜かりなく進化したEPSの恩恵

短い時間ながら三国峠を楽しんでから、8速ATの「GR-DAT」仕様「RZ “High performance” + Aero performance package」に乗り換えた。今回の試乗は一般道での中低速域ということもあり、リアウイングはじめエアロのダウンフォースが十分に効くほどの速度域に達していない条件下ではあるが、クイックイッとつづら折りをクリアしていく小気味よさでは、鼻差でエアロなしのMT車に軍配が上がる印象を持った。とはいえ「GR-DAT」ならスポーツモードに入れておけばシフトタイミングのストレスもなく任せられるから、小径ステアリングの操作とペダルワークに集中してコーナー攻略を楽しめるのはありがたい。

トヨタ GRヤリス “26式”:RZ “High performance” + Aero performance package

電動パワーステアリング(EPS)についても今回手が入っていて、トルクセンサー内トーションバーの剛性が最適化され、加えてソフトウェア制御も変更されてノーマルモードとスポーツモードの差が大きくなった。また、よりハイグリップなタイヤに履き替えた場合や高負荷な旋回をする時でも、EPSアシストが適切に稼働するようになっているという。この辺りはさすがサーキット走行を見据えた抜かりなさだ。

胃下垂のパートナーも安心!? 最も乗り心地が良いのは、まさかの限定車「MORIZO RR」だった

で、乗り心地はどうだったのかというと、驚くことにすごくよかった。これなら十分日常使いできるし、嫌々ガチなクルマに乗せられたパートナーの胃下垂が悪化して関係も悪化するという心配もない。今回試乗した3台を比べるなら、特に秀逸だったのは100台限定の特別仕様車「MORIZO RR」。次いで「RZ “High performance” + Aero performance package」、そして「RZ “High performance”」という順になる。

トヨタ GRヤリス “26式”:MORIZO RR

一番派手なカーボン製リアウイングが付いた「MORIZO RR」が一番乗り心地がいいとは、まさか! という思いだった。訊けば「MORIZO RR」は「RZ “High performance” + Aero performance package」をベースに、スポーツ走行性能と日常での乗りやすさを両立したモデルとして開発されたとのこと。なぜその両立が可能になったかという種明かしは少々お待ちを。

この記事はLE VOLANT LAB会員限定公開です。
無料で会員登録すると続きを読むことができます。

注目の記事
注目の記事

RANKING