






























ニュルとWRCが鍛えた、マスタードライバーと絶対王者の結晶
GAZOO Racingは2026年5月27日、最新型となる「26式」GRヤリスをベースとした2つの特別仕様車、「GRヤリス MORIZO RR」および「GRヤリス Sébastien Ogier 9x World Champion Edition」を発表した。それぞれ国内限定100台という極めて希少なモデルであり、同日より専用スマートフォンアプリを通じて抽選応募の受付が開始されている。モータースポーツの現場で鍛え上げられた最新モデルの進化を土台に、マスタードライバーと世界チャンピオンのこだわりが惜しみなく注ぎ込まれた究極の2台。その詳細をお届けしよう。
【画像31枚】モリゾウこだわりのカーキと絶対王者の漆黒。究極のGRヤリス限定車2台のディテールをすべて見る
闘うマシンの洗練。日常と非日常を繋ぐ「26式」の深化
今回の特別仕様車のベースとなっているのは、今年3月に発表された通称「26式」GRヤリスだ。「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を体現するこのモデルは、極限の環境で鍛え上げられ、年次改良のたびに着実な進化を遂げてきた。前モデルの25式ではボディのスポット増しや構造用接着剤の塗布面積拡大による剛性向上、フロントサスペンションのアッパーマウント3点締結化などを実施し、盤石の基礎を築き上げた。
さらに26式では、現場の声を活かして粘土から削り出された新意匠のGRステアリングを初採用している。操舵レスポンス向上のための小径化と、コーナリング時に手のひらにフィットする左右グリップ形状を実現し、スイッチ類も独立配置に変更された。くわえて、電動パワーステアリングの設定変更による操作性の向上や、上位グレードへの新開発ハイパフォーマンスタイヤ「ブリヂストン POTENZA RACE」の標準装着、これに合わせたショックアブソーバーの減衰力特性最適化など、極限の旋回性能を追求している。
その一方で、日常使いに配慮して縦引きパーキングブレーキとシートヒーターおよびステアリングヒーターの共存が可能になるなど、大人の余裕も併せ持つ至高のホットハッチへと深化しているのである。
ニュルを“安心して踏む”ための50:50。モリゾウの哲学が宿る「MORIZO RR」
この26式の卓越したポテンシャルをベースに誕生したのが、「GRヤリス MORIZO RR」だ。マスタードライバーであるモリゾウこと豊田章男氏とともに、2025年に6年ぶりにGRヤリスでニュルブルクリンク24時間耐久レースへ参戦した挑戦から生まれた特別仕様車だ。
ニュルブルクリンクでの学びを活かし、専用チューニングが施されたショックアブソーバーや電動パワーステアリングを採用している。最大の注目は、モリゾウとともに開発したオリジナルの4WD制御モードである「MORIZOモード」の搭載だ。これはニュルブルクリンクを安心して走り切るために最適な駆動力配分となる前輪50:後輪50の設定となっている。
エクステリアは、モリゾウこだわりの特別設定色であるグラベルカーキを身に纏い、マットブロンズ塗装のBBS製18インチ鍛造アルミホイールの奥には、専用のイエローキャリパーが覗く。さらに可変式カーボン製リアウイングやダクト付きカーボンエンジンフードなど、空力と冷却性能を極める装備が奢られている。
インテリアにおいても、ウルトラスエードを用いた専用ステアリングやシフトノブ、パーキングブレーキグリップにイエローステッチがあしらわれ、特別な空間を演出。価格は900万円(税込)に設定されている。
WRC9冠の業をインストールする悦び。「オジエ9x」が示す絶対王者の四駆制御
もう一台の特別仕様車、「GRヤリス Sébastien Ogier 9x World Champion Edition」は、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamに所属するセバスチャン・オジエ選手のWRC2025におけるドライバーズチャンピオン獲得を記念したモデルだ。
ベースとなるRZ High performanceにAero performance packageを組み合わせた上で、オジエ選手とともにつくり込んだ専用の四駆制御モードを採用している。前輪の旋回性を確保しながら後輪の駆動力で車両をコントロールする「SEB.モード」と、トラクション性能と旋回性能を両立させるために加速時の前後輪拘束力を最大とする「MORIZOモード」を選択可能としている。
ボディカラーには、マットな仕上がりと独特の輝きを放つ特別設定色グラビティブラックを採用。特殊表面処理であるTMコートを施すことで、マット塗装でありながら持久力のある防汚性と汚れ除去性を実現している。エクステリアにはラジエーターグリル加飾のトリコロールや、左右ドアのTOYOTA GAZOO Racingデカールなどが配され、足元はマットブラック塗装のBBS製アルミホイールとブルーキャリパーで引き締められている。
インテリアには競技中の使用性を向上させる本革巻き縦引きパーキングブレーキを備え、ステアリングにはトリコロールステッチが施されている。こちらの価格は845万円(税込)となる。
究極の2台が週末を熱くする。ラリージャパン、そして「ル・ボラン カーズミート2026横浜」で実車展示へ
これら2つの特別仕様車はそれぞれ国内限定100台という限られた生産台数となり、その応募はスマートフォン向けアプリ「GR app」を通じてのみ受け付けられる。受付期間は2026年5月27日13時30分から6月9日23時59分までとなっており、7月1日に当選発表が行われ、8月上旬の発売を予定している。なお、発表資料には「本抽選は完全無作為ではなく、応募内容を踏まえ、所定の方法により当選者を決定します」との記載がある。これはいわゆる「転売ヤー」などの手に希少なモデルが流れることを防ぎ、真にこのGRヤリスで走りたい人に届けるための、苦肉の策であろうと推察される。
さらに、2026年5月28日から31日にかけて愛知県・岐阜県で開催されるWRC日本ラウンド、フォーラムエイト・ラリージャパン2026の会場において、これら2台の実車展示が行われる予定だ。会場では特別仕様車を精巧に再現した1/43スケールのオリジナルモデルカーも販売されるというから、ファンにとっては見逃せないイベントとなるだろう。
そして5月30日から31日に横浜赤レンガ倉庫で小誌ル・ボランが主催する「ル・ボランカーズミート2026横浜」においても、これら2台の実車展示が決定している。
進化を止めないGRヤリスが辿り着いた究極の形を、ぜひその目で確かめていただきたい。
【ル・ボラン編集部より】
限界で鍛えられた競技車両が、乗り手を選ぶピーキーな存在になるとは限らない。今回の「26式」特別仕様車はその最たる証明だ。過酷な現場で「安心して踏める」ことを追求した結果、日常域でも驚くほど素直で快適な乗り味が実現している。専用の四駆制御や小径ステアリングといった過激な武装は、タイムを削るためだけでなく、ドライバーとの対話を深めるためのインターフェースなのだ。極限の追求が、結果的に大人の日常にも寄り添う至高のホットハッチを生み出した事実に、トヨタの特異な哲学を見る。
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