コラム

レクサスが定義する次世代高級車。新型「TZ」同乗試乗で驚愕した“頭の揺れない”後席制御と、走りの極意《LE VOLANT LAB》

レクサス TZ

世界初公開された「TZ」プロトタイプに同乗

2026年5月7日、愛知県の「Toyota Technical Center Shimoyama」で世界初公開されたレクサスの新型BEV「TZ」。単なる3列シートSUVの枠を超え、移動時間そのものを価値に変えるというブランドの最新思想が具現化された一台だ。現地取材を敢行したモータージャーナリストの野口優氏が、同乗試乗で驚愕した革新的な後席制御や走りの極意を詳細にレポートする。

【画像193枚】流線型を避けたエッジィな造形美。竹素材やリサイクルアルミを採用した新型「TZ」プロトタイプの全貌を見る

単なる3列シートSUVではない。「ドライビングラウンジ」という新たな価値

レクサスが世界に向けて初公開したTZは、単なるBEVの“3列シートSUV”ではない。そこには、“移動時間そのものを価値へ変える”という、近年のレクサスが描く思想が具体化されていることを、発表の場であったトヨタ テクニカル センター下山で実際に感じ取ることができた。

そのコンセプトは、運転する歓びとラウンジのような快適空間を両立させる“ドライビング ラウンジ”というもの。しかし、もっとも重要なのは、この“ラウンジ”というキーワードが単なる快適装備の充実を狙ったものではないところだろう。もちろん、大型パノラマルーフや高級オーディオ、香りや照明演出といった装備は申し分ないほど充実しているが、TZはそれらに加えて“静粛性”を新たな価値観の上に成立させている。

全席がラウンジになる空間設計。「カックン現象」を抑え込む高度な統合制御

言うまでもなくBEVはエンジン音を発さないゆえ、ロードノイズや風切り音が相対的に目立つのが難点。それだけにこの手のハイエンドな電気自動車では“静粛性”が新たな技術競争の領域になっているが、TZはさらに一歩踏み込み、単純に音圧を下げるのではなく、音の方向性にまでこだわり、前方からの自然な音は残しつつも、後方からの不快音を抑えるという思想を元に開発している。これは単なる遮音技術ではなく、“人間の感覚”を重視した音響設計であり、近年のレクサスが示す、感性工学に基づいたものだ。

また、3列目へのこだわりも相当だ。多くの3列SUVのサードシートは、ほぼ“緊急用”的にも映る、比較的簡素な出来のものが多く見られたが、TZは明確に全席がラウンジであることを目指しているだけに一枚上手。しかも、サードシートの視界やヘッドクリアランス、乗降性にまで細かく手を入れているから、その思想は徹底している。

無論、それだけではない。中でも特に興味深いのは、「リヤ コンフォート モード」の装備。すでにLMでも採用され好評を得ているが、LMの制御内容が、電子制御サスペンションの減衰力変更や加減速時のピッチ抑制、アクセル&ブレーキを統合制御することで後席の乗員の頭が揺れないことを重視しているのに対して、TZは一歩踏み込み、ドライバーが気を遣わずに同乗者が快適に過ごせる走りを実現させるべく、後輪操舵とブレーキ制御、前後駆動力配分に加え、BEVのメリットでもある回生ブレーキ制御まで行うことで、いわゆる同乗者の“カックン”現象を抑え込んでいるうえ、レーンチェンジや旋回時などでも横揺れの低減まで実現している。

この記事はLE VOLANT LAB会員限定公開です。
無料で会員登録すると続きを読むことができます。

フォト=LEXUS

注目の記事
注目の記事

RANKING