






















独自のPHCサスと小排気量ターボ。フラッグシップSUVが魅せる真のツアラー性能
2026年4月に日本での発売を開始した新型シトロエンC5エアクロス。1630kgという巨体をわずか1.2Lの3気筒ターボ+マイルドハイブリッドで、新世代シトロエンは一体どう走らせるのか。その疑問に答えるべく、モータージャーナリスト斎藤慎輔氏が東京〜山形間の往復を含む約1100kmの長距離テストを敢行。独自のサスペンションがもたらす極上の乗り心地からリアルな実燃費までを紐解く、6000字超の徹底レポートをお届けする。
【画像23枚】フランス流の快適SUV。新型シトロエンC5エアクロスの独創的な内外装とサスペンション機構を写真でチェック
立体駐車場で突きつけられた「全幅1905mm」の壁
先日、行きつけのショッピングセンターの駐車場で感心させられることがあった。そこは、近年はル・ボランでも「EV:LIFE」などのイベントを開催している二子玉川ライズ(東京都)だったのだが、私は日常の買い物をこの中のスーパーで済ますことが多い。
近隣ということに加えて、地下駐車場のひとつが、スライドベルトにより車両が横に移動し立体駐車場に格納されるタイプで、超扁平タイヤを装着した車両でもホイールリムを傷つけるような恐れがないし、ドアパンチの心配も一切しなくて済むからだ。
そこにこの新型シトロエンC5エアクロスで出かけたところ、駐車場の係員から「このおクルマは車幅が1900mmを超えるので平面のほうにお願いします」と言われたのだった。しかも「これ幅が1905mmなんです」と正確な数値まで記憶しているではないか。
いつ行っても輸入車のほうが多いと思わせるこの駐車場ではあるが、さすがに発売間もない、それも言っちゃなんだが、マイナーな車種であろう新型シトロエンC5エアクロスを一目見てボディサイズまで覚えていることには「プロだね」と脱帽せざるを得なかった。
それから数日後、この時とはボディカラーの異なるC5エアクロスで行った際にも同じことを言われた(係員は違う方だった)が、「5mmくらい(本国スペックでは全幅1902mmなので正確には2mmだが)なら問題ないのでは」と試しに立体駐車場のスライド式フロアに入れさせてもらった。
すると、前面の電光表示板に「規格外車両」だったか(文言までは正確に記憶していないが)大きく表示されてしまい、スゴスゴとバックで出して、平面駐車場に移動することになったのだった。
ちなみに、ステランティスで同じプラットフォームを採用している新型プジョー3008でも同5008でも普通にこの格納式駐車場に案内されたことを思い、調べてみれば3008も5008も全幅は1895mmだった。係員がよく勉強していることにも、いまどきの駐車場設備の車種/車幅(?)判定にも驚かされたという話。
妥協なきフラッグシップ。新生シトロエンの現在地
さて、シトロエンは、かつての超個性的かつ先進感あるクルマを造るメーカーのイメージがいまだ残っている感があり、またそれを期待するクルマ好き層が一定数いることも確かだ。だが量産で成り立つブランドとしては、それが足かせになっていたことも否めない。
DSブランドがそのイメージを引き継ぐことになったものの、シトロエンブランドには差別化や方向性が明確に与えられずにいた感もあった。だが、最近ではステランティスの中のフランス勢として、少し抑えられた価格、快適かつ実用的といったところでの特徴を見出しつつある。その典型として新型C3があり、パッケージングとしては高効率を追求しつつ、仕様、装備内容の思い切った割り切りぶりはちょっとした驚きだった。
ただ、車名から「SUV」の呼称が消えた新型C5エアクロスは、シトロエン自身がフラッグシップだと宣言していることもあって、さすがに装備面での割り切りなどは見られず、むしろ価格を考えるとかなり充実した内容となっている。
この新型シトロエンC5エアクロス2台に試乗し、6月下旬~7月上旬に例年行っているさくらんぼ狩りに山形に出かけてみたり、その後もう1台では都内を主に乗り、合わせて約1100kmほど走らせてみた。
巨体に1.2Lエンジン――異例の組み合わせの背景は
日本向けのパワートレインは、いまのところ1.2L 3気筒ターボ+48Vマイルドハイブリッド(ë-DCS6=6速DCT)の1種。ちなみにこの駆動用バッテリーはわずか0.9kWhだから、効率よい域での駆動と効率的な回生が肝となる。ハイブリッドとしての本来の姿は、欧州向けには用意されている1.6L 4気筒ターボで21kWhの駆動用バッテリーを備えるPHEVにありそうだが、日本ではまだ先代のC5エアクロスSUVのPHEVが販売中で、導入はこの販売、在庫状況との兼ね合いといったところか。
冒頭に車幅の話をしたのも、このボディサイズに1.2Lエンジンとは想像しにくいこともあってだ。これは、EU委員会の策定によって、BEVの開発に注力せざるを得なかった欧州メーカーの多くがICEの開発を凍結あるいは後回しにしたことで、ICEのパワートレイン選択に皺寄せが生じている感は否めない。
ステランティスはその典型で、シトロエンでいえば、日本向けはC3もC4もC5エアクロスも3気筒1.2Lターボ+48Vマイルドハイブリッドを搭載する。ただ、チューニングレベルは異なり、C3は最高出力101ps、最新のC3エアクロス、C4、C5エアクロスは136psだが、それにしてもC3とC5エアクロスの車重差は、グレードにもよるが最大で360kgにも達する。
走りに関していえば、燃費も含めてそこがハンディとなるのではと思えるし、加えて同じくステランティスの最新プラットフォームであるSTLA-Medium(ステラ ミディアム)とともに、パワートレインも同じ3気筒1.2Lターボを採用するプジョー3008や5008との、ブランドにおける走りの味付けの違いも気になる点だ。
ちなみに、プジョー3008ハイブリッドに関しては、先日2000kmを超える試乗を終えてきたので、これは後日また詳しく、このル・ボランWebにてご報告する予定だ。
実用性と新しさが融合。秀逸な「置くだけ充電」トレイ
新型C3にも見られる、全体として直線基調の立体的でソリッドな面で構成されるエクステリアデザインは、2022年発表のコンセプトモデルの「Oli」で表現されたデザインモチーフを市販ベースに落とし込んだということだが、かつてのシトロエンのような好き嫌いが明確に分かれるものではない。ただ、ラギッドな感じも与えるのは近年のSUVの流れに則ったところだし、その中に機能としての空力性能を備えただろうフィン形状に突き出したテールランプに新しさを見せ、存在感もそれなりに備えている。
インテリアは、ほどよく近代的雰囲気を醸し出し、最近では多くの新型車が視界性能や車両姿勢の把握のしやすさから採用する水平基調のインパネ形状と、センターに縦型13インチの大型モニターを配する。
その名も「ウォーターフォールスクリーン」だが、なんでもかんでもこの中で画面をスクロールしたりアプリ選択をし、さらにそこから求める機能を操作していくというものではなく、このスクリーンの下に空調系の物理スイッチをまとめて配していたり、さらにその下にはオーディオのオン、オフ、ボリュームにドラム式回転ボタンも与えている。
さらにその下に配されるシフトセレクター、ドライブモードスイッチ、パーキングブレーキレバーなどは、プジョーでも見かける共用部品だが、操作感をきっちり備えるのは好ましい。また、これらの横側にある大きな面積でワイヤレスの「置くだけ充電」を備えたトレイは、強い横Gでもすっ飛んでしまうことのない形状と、ドライバーが軽く視線を落とすだけで画面の確認が可能なレイアウトで、この種のものの中でも実際の使い勝手の良さにおいて秀でていると感じた。
あえて上下動を許す。PHCサスが誇る「極上ライド」
この記事はLE VOLANT LAB会員限定公開です。
無料で会員登録すると続きを読むことができます。
- ログイン(続きを読む)
- パスワードをお忘れの方
- 今すぐ無料で会員登録する
- LE VOLANT LAB会員とは




