ブレードから直接ウォッシャーが噴霧。さらにブレード自体も30℃まで加熱する「ヴィジオブレード」ワイパーシステム
フォードグループのラグジュアリーブランド、リンカーンはこのほど、2020年モデルの「アビエーター」に画期的なワイパー「ヴィジオブレード」ワイパーシステムを採用したことを発表した。この装備はパッケージオプションに含まれる1アイテムとして設定される。
このワイパーシステムは、ボンネット部分などにノズルを設置してフロントガラスに噴霧する一般的なウインドーウォッシャーとは異なり、ワイパーブレード自体にノズルを組み込んでいることに加えて、ワイパーブレード自体を発熱させて、凍結や積雪したウインドーを溶かし、速やかに良好な視界を確保するというもの。
ウォッシャーノズルをワイパーブレードに組み込むことで、ウインドーへの噴霧効率が上がり、ウインドーをクリーンナップするのに使用するウォッシャー液の消費量は、従来の一般的なものより最大50%低減できるという。
また、ワイパーブレードは発熱体によって、起動から約4分で30℃まで加熱。ウインドーデフロスターによって凍ったガラス面を溶かす場合は、良好な視界を得るのに最大で15分を要していたが、この「ヴィジオブレード」ならその時間を短縮することができるとリンカーンは主張している。さらにこのシステムはブレード自体に積もった雪も解凍。雪国でのドライブ時には、エンジンの始動から走り出すまでの時間を大幅に節約することが期待できる。
米国ミネソタ州の冬は、最大170cmの積雪に見舞われ、気温はマイナス60℃まで下がることがあるという。そんな厳しい雪国で暮らすユーザーには、魅力的な装備といえるだろう。
ブレードから直接ウォッシャー液が噴霧されるワイパーとしては、すでにメルセデス・ベンツがSLから採用した世界初のシステム「マジック・ビジョン・コントロール」があるが、ブレードそのものが発熱する機構を組み合わせた「ヴィジオブレード」は珍しい。ちなみに、フロントウインドーガラスの内部に熱線を組み込むことでガラス面を解凍する機構としては、ランドローバーがすでに採用している。