ホンダ

【国内試乗】すでに“横綱相撲”的完成度の3代目!「ホンダ・N-BOX」

近年の国内販売台数は盤石のトップ。もはや「国民車」と言っても過言ではないN-BOXが3代目にスイッチした。乗り手や家族、さらには日本もハッピーに、というコンセプトを持つこの新型。その進化のほどは?

熟成のハードウェアで日常域の快適性が向上!

もはや、空間効率の追求は極限の域と言ってもいい軽のスーパーハイトワゴン。また、モデル末期まで販売が衰えなかったヒット作の後継とあって、新型の佇まいに極端な変化はない。だがベース仕様、カスタムともにシンプルな造形としたことで、むしろクルマとしての質感は着実に向上している。

先代と比較すると、外観はシンプルな仕立て。ベース車とカスタムではバンパーやライト回りの意匠などでイメージを差別化する。カスタムはシーケンシャルウインカーやLEDヘッドライトなどで精悍な風情を演出。

シンプル、という表現は室内に目を転じても変わらない。視界、あるいは安心感を追求したというインパネ回りは水平基調のすっきりした意匠でまとめられ、煩雑な感があった先代と比較すればこちらも見ため品質は向上した。

自然吸気(写真)、ターボともにエンジンは基本的に先代を踏襲。とはいえ、細部を煮詰めることでカタログ燃費は僅かだが向上している。

一方、独自の低床レイアウトがもたらす強みは健在で、荷室回りにおけるアレンジの多彩さは引き続きライバルの追随を許さない。座面をチップアップさせることで背の高い荷物を立てたまま積載できる後席も、フロアとのクリアランスが大きく取れることで良好な座り心地を両立している。また、この新型では車椅子のまま乗車できるスロープ仕様車の機能を一層強化。5年連続トップという販売実績に応える進化を遂げたことも要注目のポイントと言える。

ホンダの軽自動車では初の7インチディスプレイをメーターに採用したインパネ回りは、シンプルにして使い勝手も上々。後席は引き続き座面のチップアップが可能で、背の高い荷物も立てたまま収納できる。

搭載するパワートレインは基本的に自然吸気、ターボともに先代を踏襲。シャシー回りも、評価が高かったという先代のそれを熟成させる手法が採られているとあって走りの完成度は高い。今回は自然吸気版に試乗したのだが、とりわけ印象的だったのは前後席を問わず静粛性が高いこと。乗り心地も入力を穏やかに丸め込む仕上がりで、特に日常域では快適なライド感が確認できる。動力性能は必要にして十分という水準だが、負荷を掛けた際も不当にノイズが高まることはなく、ベーシックな日常のアシとして何ら不満はない。その全体にソツのない仕上がりは、まさに日本のベストセラー乗用車に相応しい、横綱相撲的な出来栄えと言えそうだ。

天地方向のゆとりが際立つ荷室は、クラス最大級の広さでアレンジも多彩。ベース車、カスタムともにスロープ仕様も選択可能。

【Specification】ホンダ・Nボックス・カスタム(FF)
■車両本体価格(税込)=1,849,100円
■全長×全幅×全高=3395×1475×1790mm
■ホイールベース=2520mm
■車両重量=920kg
■エンジン形式/種類=S07B/直3DOHC12V
■内径×行程=60.0×77.6mm
■圧縮比=12.0
■総排気量=658cc
■最高出力=58ps(43kW)/7300rpm
■最大トルク=65Nm(6.6kg-m)/4800rpm
■燃料タンク容量=27L(レギュラー)
■燃費(WLTC)=21.5km/L
■トランスミッション形式=CVT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ドラム
■タイヤ(ホイール)=前後:155/65R14

問い合わせ先=本田技研工業 TEL0120-112-010

リポート=小野泰治 フォト=宮越孝政 ルボラン2024年1月号より転載
LE VOLANT web編集部

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