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マツダ次期ロードスター(NE)の実像。EV化回避と「トヨタ協業」が導く次世代の生存戦略

次期マツダ・ロードスターの予想CG
次期マツダ・ロードスターの予想CG
次期マツダ・ロードスターの予想CG

次世代マツダ・ロードスター「NE」の実像。GR86との協業、そして「軽さ」を守るための決断

2015年のデビュー以来、軽量スポーツの金字塔として君臨し続ける現行型ロードスター(ND)。2020年代後半までの存続が見込まれる一方で、次代を担う「NE」型の開発は水面下で確実なフェーズへと移行している。最終的な仕様は未定ながら、すでに初期プロトタイプが完成したとの情報も浮上した。そこから見えてきたのは、「トヨタ(GR86)との協業」や「EV化の回避」といった、かつてない抜本的な決断の数々である。迫り来る環境規制の荒波に対し、マツダはいかにして「人馬一体」と「軽さ」というロードスターの魂を継承するのか。関係者の証言をもとに、孤高のライトウェイトスポーツが選択した生存戦略の全貌を紐解く。

【画像6枚】GR86とのプラットフォーム共有!? パワートレインは? 次期ロードスターはどうなるのか?

次期トヨタ「GR86」とのプラットフォーム共有というサプライズ

次期型の開発において最も衝撃的なトピックが、トヨタ「GR86」との協業だ。スポーツカーの専用プラットフォーム開発には莫大なコストがかかる。当初はプラットフォームを共有する兄弟モデルになることは想定されていなかったが、約3年前からマツダのエンジニアが次期GR86の開発に関与しているという情報もあり、現在では次期GR86とプラットフォームを共有する可能性が高まっている。単独開発の壁を、メーカーの垣根を超えたタッグで乗り越える構えだ。

EV化は回避。「合成燃料×電動アシスト」という最適解

次世代スポーツカーにとって最大の課題が環境規制への対応だが、次期ロードスターは完全なEVにはならない。マツダ・ヨーロッパのデザインディレクター、ジョー・ステヌイト氏は、ロードスターのアイデンティティである「ドライビングプレジャー、軽量化、価格の手頃さ」は絶対に譲れない要素であると明言する。もしEV化すれば、バッテリーだけで車両重量の半分を占めてしまい、車両のアーキテクチャを根本的に変更する必要に迫られるからだ。

そこで欧州R&D責任者のクリスチャン・シュルツ氏が「最も明白な解決策」として提示するのが、合成燃料(e-fuel)の活用である。合成燃料を使用すれば、クルマのコンセプトを大きく変えることなく既存の内燃機関を使い続けることができ、ロードスター本来の「軽量構造、バランス、機械の純粋さ」を維持できるという。
ただし、純粋なエンジンのままというわけではない。マイルドハイブリッドは最小限の選択肢としつつ、「何らかの形で電動パワーアシストが搭載される」見込みであり、PHEVやEREV(レンジエクステンダー)といった、より高度な電動化を採用する可能性も示唆されている。

心臓部のジレンマ:2.5L新エンジンか、1.5L/2.0Lの熟成か

パワートレインについては、現在2つのシナリオが想定されている。ひとつは2.5L直列4気筒ガソリンエンジン(SkyActiv Zベース)で、昨年、CTOの梅下隆一氏が言及したエンジンの搭載だ。しかし、排気量拡大はフロント部分の重量増を招き、ロードスターの命であるバランスやステアリングレスポンスに悪影響を及ぼすため、採用のハードルは高い。

一方、1.5Lおよび2.0Lの改良版は徹底的な軽量化を優先する現実的なプランといえる。次期型は全長4000mm(+85mm)、全幅1700mm(+15mm)、全高1240mm(+5mm)とボディが拡大される予想だが、この小排気量路線を維持できれば、車重1000kg以下のキープも夢ではない。

先鋭化するデザインと、2028年のワールドプレミア予想

プロトタイプをベースに製作された予想CGでは、スポーツ感と立体感を融合させたボンネットや、シャープなヘッドライトが目を引く。また、ディフューザーと一体化した迫力あるアンダーグリル、Aピラーラインに合わせたドアラインなど、より躍動感あふれるスタイリングへの進化が見て取れる。

次期型ロードスター「NE」のワールドプレミアは2028年と予想されている。気になる価格は、ベースモデルが320万円程度から、RFが410万円程度からとなる見込みだ。電動化の波に抗いながらも、「人馬一体」の走りをどう昇華させるのか。マツダの回答に期待が高まる。

【ル・ボラン編集部より】

環境規制とコスト高騰という受難の時代において、「純血」だけが正義ではない。次期型で囁かれるGR86との協業や電動化の導入は、一見すると孤高の美学を薄める妥協にも映るだろう。しかし、常に絶賛されてきた「人馬一体」の濃密なハンドリングと、1000kg以下の軽快感を死守するための決断ならば、これはむしろクレバーな生存戦略である。環境適合という至上命題と、内燃機関の純粋な快楽。この相反する矛盾を「合成燃料と徹底した軽量化」でいかに昇華させるか。制約すらも味方につけるマツダの哲学の真価が問われる。

【画像6枚】GR86とのプラットフォーム共有!? パワートレインは? 次期ロードスターはどうなるのか?

LE VOLANT web編集部

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