520ps×専用エアロ。世界限定10台の特別仕様車がテストを完了
アルファ・ロメオは2026年5月20日、世界限定10台のみが生産されすでに完売となっている特別仕様車「ジュリア・クアドリフォリオ・ルナ・ロッサ」が、イタリアのバロッコ・プルービンググラウンドでのテストセッションを完了したと発表した。最高出力520psのエンジンと量産比5倍のダウンフォースを誇るこの究極の高性能セダンは、セーリングチームであるルナ・ロッサとのパートナーシップから誕生した初のモデルだ。
【画像33枚】史上初の赤いエンブレムと実際の帆の素材を使った内装。美しき限定車「ジュリア・クアドリフォリオ・ルナ・ロッサ」のディテールを確認する
伝説のサーキットが引き出す「究極のクアドリフォリオ」
アルファ・ロメオの高性能車開発の聖地として知られるバロッコは、1962年の開設以来、数々のレーシングカーやF1、DTMなどの競技車両のチューニングが行われてきたサーキットである。今回、ジュリア・クアドリフォリオ・ルナ・ロッサの最終テストが行われたのもこの場所だ。市販モデルのクアドリフォリオの潜在能力を極限まで引き上げたこの限定車にとって、バロッコはまさに唯一の舞台であった。
コンピューターによる仮想空間での空力計算に続き、実際のサーキットを走行することで計算上のデータを運転の喜びへと変換していく作業は、アルファ・ロメオのDNAにおいて不可欠なプロセスである。最高出力520psを誇る2.9L V6ツインターボエンジンを搭載したこの特別なマシンは、サーキットという自然な生息地でこそその真価を発揮するのだ。
300km/hで140kgのダウンフォース。ヨット由来の空力制御
ボッテガ・フォーリセリエというカスタマイズプロジェクトのもとで開発されたこのモデルは、アルファ・ロメオとルナ・ロッサの協業による最初の成果物である。技術面における最大のハイライトは、新開発のカーボンファイバー製空力キットにある。
フロントバンパーの付加物、アンダーボディのプロファイル、専用サイドスカート、そしてルナ・ロッサのヨット「AC75」の水中翼から着想を得た壮大なリアウィングを備えることで、ダウンフォースは量産モデルの約5倍に達する。300km/h走行時には最大140kgのダウンフォースを発生させ、卓越した安定性を実現している。フロント荷重を40%に設定した最適なバランスにより、極めて精密なドライビングダイナミクスが追求された。
ヨットクルーの装いをコクピットへ。水上レースとの完璧な調和
内外装のデザインは、2024年のアメリカズカップに参戦したルナ・ロッサのヨットの世界観が色濃く反映されている。ボディには光で色合いが変化する真珠光沢の専用ペイントが施された。ボンネットやルーフ、リア部分はブラックで仕上げられ、グレーとのツートーンがかつてないスポーティなエレガンスを醸し出している。情熱と競争心を象徴するブランド史上初の赤いアルファ・ロメオのエンブレムや、内装と調和するよう赤く塗られた19インチホイールも特別感を強調している。
室内空間には、クルーが着用する救命胴衣から着想を得たグラフィックと素材を採用するスパルコ製シートが装備される。さらにダッシュボードには、実際のヨットの帆から切り出されたオリジナル素材が極薄フィルムとして使われており、水上レースとの確かな相乗効果を感じさせる。
海と陸のパートナーシップが指し示す、美しき闘いの始まり
世界でわずか10台のみが限定生産されるこのモデルは、すでに全車両が完売となっている。5月21日から24日にかけてカリアリのゴルフォ・デッリ・アンジェリで開催されるプレリミナリー・レガッタ・サルデーニャの期間中、本車両はルナ・ロッサのベースキャンプにおいて、2隻のAC40とともに展示される予定だ。
アルファ・ロメオとルナ・ロッサの協力関係は、ナポリで開催される第38回アメリカズカップへの共同挑戦を見据えたものである。今回のテスト完了は、イタリアの卓越した技術と美意識が根付くマシンを生み出すという哲学の結晶であり、両者が共に挑む新たな戦いへの序章と言えるだろう。
【ル・ボラン編集部より】
かつてジュリア・クアドリフォリオを試乗した際、常に踏みたい誘惑と戦うほどの過激な官能性に圧倒された。今回の限定車は、その野性をさらに研ぎ澄ませている。最高出力520psのV6が放つ熱情と、ヨット「AC75」由来の空力制御。水上のエレガンスと、聖地バロッコで鍛えられた陸の狂気が見事に共存しているのだ。官能と論理を両立させるアルファ・ロメオの凄みを示す一台といえる。
【画像33枚】史上初の赤いエンブレムと実際の帆の素材を使った内装。美しき限定車「ジュリア・クアドリフォリオ・ルナ・ロッサ」のディテールを確認する




































