F1初勝利の記憶を宿す、究極のV12搭載トラックカー
英国のゴードン・マレー・オートモーティブは2026年6月18日、来たる7月に開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにて4台のモデルを披露し、その中で「T.50s ニキ・ラウダ」の記念すべき量産第1号車を世界初公開すると発表した。ヒルクライムでの走行も予定されており、複数台のV型12気筒エンジンが奏でる唯一無二のサウンドを響かせるという。この特別なイベントに登場するゴードン・マレーのラインナップに迫る。
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妥協なきスーパーカー「T.50」から、サーキット専用の極北「T.50s」へ
ゴードン・マレーは、グッドウッドのヒルクライムにおいて「T.50s ニキ・ラウダ」の顧客向け量産1号車を走らせる。このモデルは、2020年8月に発表され、すでに世界中のオーナーへ100台が届けられたスーパーカー「T.50」をベースに開発されたものだ。
先行するT.50が妥協のないスーパーカーとして設計されたのに対し、今回登場するT.50sはサーキット走行専用モデルへと進化を遂げている点が最大の特徴で、生産台数はわずか25台に限定されている。それぞれの車両名には、マレーが過去に異なるサーキットで挙げた24のグランプリにおける初勝利と、特別な耐久レースでの勝利の記念日が冠されており、彼の豊かなレースの歴史を称えるものとなっている。
1974年のF1初勝利へ捧ぐ。栄光のナンバー「7」を刻むシャシーナンバー1
グッドウッドのヒルクライムを駆け抜けることとなるこのT.50sのシャシーナンバー1は、マレーが1974年にキャラミで飾ったF1初勝利を称える仕様となっている。白いボディの上には南アフリカの国旗にインスパイアされたカラーリングが施されている。
さらに、ブラバムBT44から着想を得たという光沢のある黒いレーシングナンバー「7」があしらわれており、これは当時カルロス・ロイテマンが駆り優勝を果たしたマシンへのオマージュである。すでに製造が開始されているこのモデルは、マレーの設計・エンジニアリング哲学の限界を探求した一台と言える。
歴史的意匠の「S1 LM」や、オープンエアの「T.33スパイダー」も集結
会場にはT.50sに加えて、魅力的な3台のモデルも姿を現す。まず、デザインモデルである「S1 LM」が欧州での初公開を迎える。同モデルは昨年カリフォルニアで世界初公開されたのち、ラスベガスのオークションにてチャリティ目的を除く新車として史上最高額となる2063万ドルという記録的な価格で落札されたことで知られており、マレーがかつて手がけたル・マン優勝車の美しさに敬意を表したデザインが特徴となっている。
また、24台の限定生産が予定されている実験的プロトタイプ「ル・マン GTR XP1」もヒルクライムを走行する。マレー自身のロングテール・ル・マン・レーサーなどに着想を得ており、空力性能と時代を超越したデザインを融合させている。
さらに、印象的なグリーンの塗装が施された「T.33スパイダー」の検証用プロトタイプ「VP12」も世界で初めて公の場に姿を見せる。自然吸気の3.9L V型12気筒エンジンを搭載しており、オープントップの形状を活かした没入感のあるドライビング体験を提供するモデルである。
グッドウッドに響くV12の饗宴。ゴードン・マレーが貫く哲学
スーパーカー・パドックを拠点とするゴードン・マレーのチームは今年、複数のV型12気筒エンジンが奏でる独特のサウンドをグッドウッドで共有することに重点を置いている。同社のエグゼクティブ・チェアマンであるゴードン・マレー教授は、T.50の発表からわずか6年で100台の顧客への納車を達成し、さらに専門性の高い車両群を開発して愛好家と共有できることは僥倖であると語っている。
軽量化やドライビングの完璧さなど7つのコアブランド原則に従い、妥協のないクルマ作りを続ける同社の姿勢が、このラインナップに凝縮されている。ダリオ・フランキッティも、これらの車両がグッドウッドのヒルを走る姿や音をファンと共有できることの喜びを強調しており、他にはない雰囲気を楽しめるイベントとなるだろう。
【ル・ボラン編集部より】
電動化が加速する現代において、自然吸気V12の純内燃機関モデルを4台揃えるゴードン・マレーの姿勢は痛快だ。マクラーレンF1の精神的後継「T.50」を先鋭化した「T.50s」は、最新の空力思想と古き良きアナログな官能美を高い次元で両立させている。シャシーナンバー1に刻まれたブラバム時代へのオマージュは、彼のレース哲学の結晶である。究極のノスタルジーと最先端技術の融合が、グッドウッドのヒルクライムでいかなる咆哮を上げるのか興味は尽きない。
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