ニュース&トピックス

【世界初公開】フェラーリが“MT”を復活!? 新型「12チリンドリ・マヌアーレ」は8速DCTで珠玉のシフトフィールを再現《LE VOLANT LAB》

フェラーリ 新型 12チリンドリ・マヌアーレ
フェラーリ 新型 12チリンドリ・マヌアーレと大谷達也氏
フェラーリ 新型 12チリンドリ・マヌアーレと大谷達也氏

限定1499台の特別なV12フェラーリ

フェラーリは2026年7月3日(日本時間4日)、新型「12チリンドリ・マヌアーレ」を世界初公開した。最新の8速DCTとバイ・ワイヤ技術を駆使し、V12エンジンの圧倒的なパフォーマンスと、MTさながらの珠玉のシフトフィールを両立させた世界限定1499台の特別なモデルだ。この新時代のスーパースポーツに秘められた驚愕のメカニズムを、モータージャーナリストの大谷達也氏が早速、詳細に解説する。

【画像53枚】V12とMTの至高の組み合わせ。美しきHパターンゲートを備えた「12チリンドリ・マヌアーレ」の全貌はこちら

「マニュアルでは性能を引き出せない」というジレンマ

シフトレバーとクラッチペダルを備え、両手両足でマニュアルシフトの醍醐味を堪能できるニューモデル、フェラーリ12チリンドリ・マヌアーレが誕生した。なお、マヌアーレは英語のマニュアルに相当するイタリア語である。

エンスージャストの間で根強い人気を誇るマニュアルシフトだが、そうした声が製品に反映され、実際にマニュアルシフトを備えたニューモデルが自動車メーカーから発売される例はまれだ。その理由のほとんどは「熱狂的なファンの存在は承知しているが、実際に発売しても販売台数は思ったほど伸びない」というもの。つまり、売り上げが開発や生産に要するコストに見合わないというのだ。

フェラーリ 新型 12チリンドリ・マヌアーレと大谷達也氏

フェラーリ 新型 12チリンドリ・マヌアーレと大谷達也氏

しかし、フェラーリは異なる。いや、「マニュアルが欲しい」という声はマラネッロにも再三届いていた。ただし、それらに対するフェラーリの回答は、決まって「マニュアルトランスミッションでは現代のフェラーリのパフォーマンスを引き出せない」というものだった。

考えてみてほしい。最新フェラーリのフラッグシップモデルにも位置付けられる12チリンドリの0-100km/h加速は2.9秒、0-200km/h加速は7.9秒を切る。ただし、12チリンドリはローンチコントロール・システムを備えた8速DCTを搭載。この8速DCTにオートマチックでシフトアップできる機能が備わっているからこそ、このような驚異的な加速タイムが可能なのだ。

仮に、もしも12チリンドリがマニュアルトランスミッションを積んでいて、1回シフトアップするごとにコンマ2秒、コンマ3秒とロスしていたら、こうした加速データは決して実現できない。つまり、現代的なフェラーリのパフォーマンスを実現するうえで、オートマチックモードが選べるDCTは必要不可欠な存在なのである。

また、一般的なマニュアルトランスミッションでは6.5L V12エンジンが発揮する最高出力830ps、最大トルク678Nmというパフォーマンスを受けとめきれなくなっているのも事実。これもまた、スーパースポーツカーでDCTが主流になっている理由のひとつといえる。

8DCTをベースにホンモノの操作感を生み出す驚異のメカニズム

では、フェラーリはいかにしてこの課題を乗り越えたのか。

端的にいえば、12チリンドリに搭載されていた8速DCTをそのまま活用しながら、これをシフトレバーやクラッチペダルにより“バイ・ワイヤ”でコントロールできるようにモディファイしたのである。

「なんだ、そんなことか」というなかれ。なぜなら、フェラーリはホンモノのマニュアルトランスミッションと瓜二つの操作感を生み出すために、恐ろしいまでのこだわりで12チリンドリ・マヌアーレ用のシフトレバーやクラッチペダルのメカニズムを作り上げたからだ。

この記事はLE VOLANT LAB会員限定公開です。
無料で会員登録すると続きを読むことができます。

Photo: Ferrari S.p.A.
大谷達也

AUTHOR

大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌「CAR GRAPHIC」の編集部員へと転身。同誌副編集長に就任した後、2010年に退職し、フリーランスの自動車ライターとなる。現在はラグジュアリーカーを中心に軽自動車まで幅広く取材。先端技術やモータースポーツ関連の原稿執筆も数多く手がける。2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員、日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本モータースポーツ記者会会員。

注目の記事
注目の記事

RANKING