30数年ぶりに加わった新しい柱「FJ」。一般道から過酷なオフロードまで、現行ランクル全4車種の比較で迫る
トヨタが2026年5月、より気軽に「移動の自由」を提供するランドクルーザー第4の柱として発売した新型「ランドクルーザー“FJ”」。扱いやすいサイズゆえに単なる小型版と見る向きもあるが、その認識は早計だ。今回、一般道での試乗に加え、兄貴分の70・250・300と同一オフロードコースで直接乗り比べる機会を得た。過酷な悪路で4台を走らせて浮き彫りになった、末っ子ならではの驚くべき走破性と独自の存在意義に迫る。
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「行って帰ってこられる」信頼はそのままに。Freedom & Joyを掲げた新時代のランクル
2026年、ランドクルーザーは誕生75周年を迎えた。その始まりは1951年のトヨタ・ジープBJ。当初から求められたのは、快適なレジャービークルではなく、道なき道でも人や荷物を運び、目的地までたどり着き、そして帰ってこられることだった。
以来、世界中の過酷な環境で使われながら進化してきたランドクルーザーだが、現在は300、250、70、そして新たに加わったFJという4車種を揃える。75年間守り続けてきたのは特定のメカニズムやスタイルではなく、「このクルマなら行って帰ってこられる」という信頼。そのために時代や用途に応じて姿を変えてきた、とトヨタは説明する。
300は最新技術を取り入れるフラッグシップ、70は耐久性と整備性を重視するワークホース、250は本格的な悪路走破性と日常での扱いやすさを両立する中核モデル。そしてFJには、ランドクルーザーの能力をもっと身近に、自由に楽しむという役割が与えられた。車名のFJにも「Freedom & Joy」という意味が込められている。
じつはランドクルーザーに新しい柱が加わるのは、プラド以来30数年ぶりだという。それだけに開発陣は「このクルマがランクルにふさわしいか」を慎重に検討した。コンパクトでカジュアルになっても、ランドクルーザーとしてのブランド価値や性能は守る。それがFJ開発の大前提だった。
単なる小型版ではない。オンロードの取り回しと悪路の機動力を高めた骨格とメカニズム
FJの成り立ちも興味深い。ベースとなったのは、ハイラックスなどで実績を積んできたIMVシリーズのプラットフォームだ。ランクル伝統のラダーフレーム構造で、FJではそのまま流用するのではなく、コンパクトなボディに合わせて刷新。ホイールベースを短縮するとともにブレースを追加してフレームの横剛性を高めた。さらに高張力鋼板をボディ骨格に用い、床下のスポット溶接も増し打ちして、操縦安定性と振動収束性、乗り心地を高めている。
ボディサイズは全長4575mm×全幅1855mm×全高1960mm、ホイールベース2580mm。250よりホイールベースは270mmも短く、最小回転半径は5.5mに収まる。それでいて地上高やアプローチアングルは250同等、ディパーチャーアングルは250を15度上回り、ホイールアーティキュレーションは70同等を確保したという。単純な「小型版ランクル」ではなく、コンパクト化そのものをオンロードでの取り回しとオフロードでの機動力に利用しているのだ。
サスペンションはフロントがハイマウント・ダブルウィッシュボーン、リアがラテラルロッド付き4リンク・リジッド。パワートレインは2TR-FE型2.7L直列4気筒自然吸気ガソリンで、最高出力163ps、最大トルク246Nm。これに6 Super ECTとパートタイム4WDを組み合わせる。華やかな最新メカニズムというより、実績や信頼性を重視した構成といっていい。
ちなみに2TR-FE+6 Super ECTという組み合わせ自体は250のガソリン車にも使われている。ただしFJでは、発進から低速域でのスムーズさや下り坂での車速コントロールなどを改善しているという。
デザインでも目指したのは「これなら自分でも運転できそう」と思わせることだった。スクエアなキャビンを基本に、フロントフェンダーとキャビンを視覚的に分けた構成には40系にも通じるランクルらしさがある。250や300は大きすぎると感じるユーザーにも届くランドクルーザーにしたかったという。
一般道で光る圧倒的な扱いやすさ。70との比較でわかったステアリング形式の違いと快適性
実際に一般道へ連れ出してみると、まず印象に残るのは扱いやすさだ。全幅1855mmだから絶対的に小さなクルマではないが、スクエアなボディは車両感覚をつかみやすい。ホイールベースの短さと最小回転半径5.5mも効いていて、大柄なランクルを動かしているという緊張感がない。
乗り心地もラダーフレーム構造のSUVとしては悪くないレベルだ。大きな凹凸ではそれなりの突き上げがあるものの、入力の角は丸められていて、不快なほどの鋭さはない。また、ラダーフレーム車にありがちな、フレームとボディが別々に動いているような感覚もかなり抑えられている。フレームやボディの剛性を高めた効果も表れているのだろう。
70と乗り比べると、日常での扱いやすさを重視したことはステアリングにも表れている。ともに油圧式パワーステアリングだが、70は昔ながらのリサーキュレーティングボール式なのに対し、FJはラック&ピニオン式。70が前者を採用し続けるのは、信頼性と整備性を重視しているためだ。一方、ラック&ピニオン式は一般に機構上のフリクションが少なく、滑らかで自然な操舵感を得やすいため、とくにオンロードでの快適性に適している。FJはステアリングの切れ角も大きく、取り回しは明らかに優れている。
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