356“No.1”から続く究極の形
「最新こそ最良」を謳うポルシェの新世代911カレラの試乗記は既報だが、規定路線のバリエーションとはいえ、間髪入れずにカブリオレが投入された。スポーツカーでオープンエアを楽しむという根源的な欲求は満たされるのか? エーゲ海を臨む絶好のシチュエーションでの国際試乗会から報告しよう。
ポルシェ911にオープンモデルが加わったのは誕生から20年が経過した1981年である。当時、ポルシェは業績不振による経営危機に陥り、911自体の存続も危ういほどの状況だった。そんな時にアメリカ人のペーター・シュッツ社長の英断によって誕生したフルオープンモデルが、今日のポルシェを支える大きな柱の一本になるとは、誰も想像できなかったに違いない。
事実、現在ポルシェから出荷される全スポーツモデルの3分の1がカブリオレ、あるいはタルガといったオープンモデルという、まさにSUVや5ドアモデルとともに屋台骨の一角を支える存在だ。無論セールス面だけではなく、フレッシュエアドライブを提供するオープンモデルとは、ポルシェブランドへのシンパシー、すなわちエモーションを喚起する格好のアイテムといえるだろう。
そして今回、最新992型の911カレラをベースにしたカブリオレが誕生したのを機に、まさにピッタリのロケーションといえる、エーゲ海に面したギリシャでテストドライブが開催された。
タイプ992の911カブリオレでは、とりあえずカレラSとカレラ4Sがラインアップされるが、いうまでもなく基本的なメカニズムは992のカレラ(クーペ)とまったく同じで、筆者がテストしたカレラSカブリオレは3Lツインターボ水平対向6気筒エンジンを搭載、最高出力450psと最大トルク530Nmを発生する。そのダイナミック性能は、スポーツクロノと8速ダブルクラッチのPDKとの組み合わせで、0→100km/hが3.5秒、最高速度は6速で306km/hに達するとアナウンスされる。