乗り心地と走りのジャガー・XF
「アルミボディなのに軽くないね?」とジャガーの技術者に聞くと、「軽くできた分の質量をリアアクスル周辺に使っている。剛性アップと重量配分のため」、というのが彼らの答えだった。XFの重量配分は5シリーズよりも50対50に近いし、リアアクスルにたっぷりと質量を与えた形跡がある。ダイナミクスではメリットがあるが、1.8トンを超える重量にはブレーキの負荷がかかり、デメリットもあるだろう。ということで、XFは非の打ち所がないドライバーズセダンだと思っていたが、意外なことにブレーキ性能に難があった。初期の効きが少し弱く、フェード現象も見られた。
そうはいってもXFは魅力的なセダンだ。しなやかなサスペンションによる乗り心地は往年のジャガーXJを彷彿とさせるし、高速走行ではサスペンションのダンピングがグッと高まり、見事な安定性を示してくれる。この乗り心地と高速安定性の両立は、昔のジャガーではできなかったことだ。横Gが大きいワインディングを走ると、ステアリングに適度な重さを感じ骨太の走り味が楽しめる。舵の効きは5シリーズほどシャープではないが、ツイードのジャケットを着ていても軽快に走れそうだ。