毎月編集部員がこれは! と思った趣味グルマを紹介する“100万円でドロ沼に陥る!?”。今回は、無国籍? はたまた各国各メーカーのいいとこどり? で誕生した、タルボ・サンバ・カブリオレをご紹介します。
タルボ・サンバとは?

1981年に登場したタルボ・サンバは、本誌455号の同コーナーで紹介したプジョー104との兄弟車でシトロエンLNをベースに開発された。ここで紹介するカブリオレの他、スポーツ志向のラリーなどもラインアップされている。ちなみにタルボは、1986年にブランドが消滅している。
好きモノが反応するカブリオレ
タルボ・サンバ・カブリオレ。霧雨にしっとりと濡れた実車を見ると、サンバの陽気なリズムは聞こえてきそうにないが、落ち着いた佇まいで良いモノ感が漂っている。タルボ・サンバは、タルボの親会社がPSAの時代に誕生しており、455号の“100ドロ”で紹介したプジョー104の兄弟車である。インテリアやエンジンレイアウト、そして3穴のホイールハブなどに共通項が見られる。ちなみに104は正規輸入されなかったが、サンバ・カブリオレは正規輸入されている。

ソフトトップはBピラーのロールバーのみを残して後方まで開かれる。前席は言うに及ばず、後席の解放感も抜群だ。年式を考えると、電動よりも構造がシンプルな手動は最良の選択か?
タルボといえば、前身がシムカ、いやクライスラーだったかな?と思った方は、本誌452号の『知られざるフランス“第4”のメーカー』で変遷を紹介しているのでそちらをご覧いただきたい。流転の人生を送ったメーカーだけに、“フランス車らしさ”は薄いかもしれないが、生産から30年以上が経過した個体ながら、意外なほどしっかりしているのは驚きだった。

インテリアはシンプルゆえに、必要な操作を直感的に行うことが出来る合理的な造りだ。プジョー104に似るが、メーターナセルなどはモダナイズされている。全長は3505mmとコンパクトだが、意外なほど居住性は高い。
もちろんこれは、走行2万kmとローマイレージであることと、前オーナーが大切に乗ってきたことも大きい要因だろう。

リアの佇まいから、すぐに車名を言い当てられる人がどれだけいるのだろうかと思うが、気づいた人は相当なクルマ好きと予想され、話しかけられることは必至。デザインはピニンファリーナが手がけた。
派手さはないが使いやすく開放的なカブリオレ
フルオープンのカブリオレは解放感抜群で、その恩恵はリアシートでも受けることが出来る。ソフトトップの開閉は幌前方のフックを外すだけととても簡単だ。しかも折りたたんだ幌にはカバーが用意されており、これを装着するとオープン状態でもすっきりとしている。


ソフトトップは蛇腹状に収納される。見た目を考慮してかビートル・カブリオレなどと同様にカバーが用意されている。ちなみに開閉方法は、幌前方のフックを外すだけととても簡単。
エンジンは1.4Lでトランスミッションは5速M/Tの組み合わせだ。車重は840kgと現代で言えば軽自動車レベルであり、軽快なドライブも満喫する出来ることは容易に想像できるだろう。


Bピラーには“pininfarina”のプレートが装着される。トランクリッドは、テールランプをかわすようなデザインで、意外にも収納スペースはしっかりと用意されている。
レアな物件だけに、前オーナーも好きモノの様で、しっかりとメンテナンスし、大切に乗られてきたことが伺えた。サラリと乗れるレアなコンバチ。これからの季節は目が離せない。


エンジンは1361ccの直4ユニットで、トランスミッションは5速M/T。エンジンを後方に寝かせて搭載することでエンジン高を抑え、スペアタイヤを搭載するスペースを確保している。これは、兄弟車のプジョー104と同じレイアウトだ。
1984 TALBOT SAMBA CABLIORET
車両購入価格●880,000円
レア度 ★★★★
爽快度 ★★★★
ドロ沼度 ★★★

派手さはないが、使いやすく開放的なカブリオレを楽しみたいならオススメ。残念ながら掲載誌が発売される直前に新オーナーが決まった模様だが、こんなレアなカブリオレをお探しの方はアウトレーヴまで連絡を!

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