お手本のようなFRの身のこなし
C200のキャラクターはきわめてオーソドックスだ。いや、派手さや強さばかりが表層的にクローズアップされる世の中で、あえて頑なに中庸を貫こうとしている気さえする。走り始めから感じる重厚感。それが下地となって積み重なる安心感。足長なサスペンションは路面の凹凸をインフォメーションとしては拾いながらも、衝撃はきっちりとダンピングする。
よって操舵応答性はかなりスロー。3シリーズのようなダイレクト感はなく、A4のようにキレのあるアスリート的な身のこなしをするわけでもない。しかしその運転感覚に慣れてくると、これが驚くほどに操りやすくなるのだ。
基本通りにカーブの手間では減速し、焦らずじっくりと少し早めからステアリングを切り始める。するとC200は忠実に向きを変え、アクセルオンで美しく立ち上がることができる。その動きは実にゆっくりとしているのだが、お手本のようなFRの走りである。こうした質の高い走りに対し、C200はエンジンだけが唯一トーンを異ならせている。1.5Lの小排気量ターボ(184ps/280Nm)は単体で見れば快活で、アクセルをフラットアウトすれば突き抜ける爽快感がある。
しかし、Cクラスのユニットとして考えるとサウンドはゴロゴロしており回り方も忙しない。ベルトドリブン・スターター・ジェネレーターによる+14ps/+160Nmの出力アシストを得ているからトルクは十分なのだが、せっかくの9速ATとのマッチングも細部までは煮詰め切れていない気がする。だからACCが車間調整を行うときなどは、ちょっとギクシャク感が出てしまう。
とはいえこれもC200が未来へ挑戦をしている証であり、気づかぬうちに熟成は進むだろう。C200のライバルは3シリーズやA4ではなく、身内のAクラスであり、Eクラスである気がした。