メルセデス・ベンツ

メルセデスとビーエム、2台持つとしたらどんな組み合わせ?

05 T.Watanabe’s Choice/渡辺敏史・BMWは週末のドライブに、メルセデスは平日の足に

この2社はやはりガチなライバル

メルセデスとBMWの2台持ち……というのもかなりベタ筋だなぁと思いつつ、いざ考え出すとなかなか考えがまとまりません。
そりゃあそうです。モデルラインナップを確認すると極めて近接していて独自色の強いものは少ない。今に始まったことではありませんが、この二社はやはりガチもガチなライバルなんだなぁと改めて思い至ります。
というわけで、まずは2台をどう使い分けるのかということを考えてみると、僕の場合、やっぱりBMWは持ち前のスポーティネスが満喫できる週末のドライブに、メルセデスは時間に追われる平日の諸々に使いたい。これすなわち、僕が抱いている両社のプロダクトのイメージと重なります。昔のクルマ好きはメルセデスが本妻ならBMWは愛人って感じ? とか言ってたわけですが、どこから弾が飛んでくるかわかったもんじゃない今日この頃、なかなか口は滑らせられませんね。

BMW M2/M2のトランスミッションには、7速DCTのほかに6速MTモデルも用意。

そういう視点でBMWのラインナップを確認しますと、改めて思い出すことがあります。それは誰もが一目でそれとわかる明快なスーパースポーツがないということです。たとえばメルセデスAMGにはGTシリーズがありますが、BMWでそれに該当するモデルといえば、レース要件の側からみて8シリーズが該当するかなというところです。
実はこれは今に始まったことではなくて、ビジネス的には芳しくなかったM1やZ8なんかの例も鑑みるに、世の多くのお客さんは、BMWのスポーツカーといえば先の尖った流麗なカッコよさよりも、どんとハコ然とした佇まいの方を期待してしまう、日本人がGT-Rに相対するものとよく似たマインドが刷り込まれちゃっているのかもしれません。思えば物心ついた頃の強いBMWといえばバットモービルの3.0CSLだったり、DRMのマルニターボだったりと、ことごとくご立派なハコですし。
今のBMWのラインナップでいえば、個人的にはi8も好きですが、まぁ話が週末のお楽しみとなると、内燃機にまだ未練がある身としてはちょっと物足りない。というわけで、若干消去法的にM2を選びました。
グレードはCSだなんだと贅沢言わずともコンペでもうゲップが出るほどのパフォーマンスですし、それこそ往年のマルニターボ的なブサカワ感もあって、眺めて愛でるにも向いていそうです。しかしM2ほどの馬鹿力はいらんので、M240iくらいのエンジンをi8に積んでシャシー整えてMTで乗れるスキッとしたMRに仕立てたら現代のM1として……いやいや、やっぱり売れませんよね。もう生産も終わってますし、戯言として聞いておいてください。
方やM2となれば、もうひとつの側に期待するのは極上の日常性でしょうか。メルセデスのラインナップにおいてはある意味、究極の実用車でもあるSクラスがすぐに思い浮かびます。巨体を意識させない取り回しの良さもさることながら、ゆるトロの乗り心地に気づけばヨダレを垂らしながら走っていそうな鉄壁のADASのコンビは、目的地が月でもなんとかなるんじゃないかと思いほどです。
でもどうせ月に行くなら、そこでモリモリ走れるクルマも悪くない……ではありませんが、いくら日常を支える役割のクルマとはいえ、何らかのお楽しみがあるに越したことはないと思えば、思い浮かぶのがGクラスです。

メルセデス・ベンツG350d/新型Gクラスには機能性と居住性も大幅にアップデート。

新しいGクラスは前側が独立サスになって、乗り心地やハンドリング、直進性といった都市部で求められる動的質感が劇的に向上しました。その上で見た目や触感的なところにGクラスの普遍性はしっかり残してある。ひいてはそこにメルセデスの普遍性を感じるなら、選択肢は他のSUVよりこっちということになるでしょう。
おまけに昨年末には待望の直6ディーゼル搭載グレードが導入開始。クルマのキャラクターや実際の使われ方、車両代含むトータルコストを鑑みても350dこそがベストであることに疑いはありません。おかげでGクラスになんとか夢が抱けるようになりました。

ルボラン2020年8月号より転載
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CARSMEET web編集部

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