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【ヨーロッパ現地試乗】ゴルフのGTIが圧倒的なパフォーマンスを得て戻ってきた!!【VW GOLF FAN Vol.2】

稀代のFFハンドリングカー

エンジンはどうか。
驚くのは、そのトルクフルさだ。通常、ターボエンジンであれば、低回転域でトルクの細さを感じさせるはずだが、それをまったく意識させない。FSIだからこそ可能になったと思うが、ターボ装着にもかかわらず、10.5という高圧縮比を実現していることが、この低回転での扱いやすさをもたらしているようだ。それに、1800rpmから5000rpmの幅広い回転域で28.5kg-mという最大トルクを発揮するというのも、トルクフルな印象を強めている。ほんの少しアクセルを踏み込めば、すぐに最大トルクに達して、力強い加速を展開する。ターボの悪癖であるアクセル操作に対するタイムラグを感じさせないというのも、このエンジンの美点。

アルミが光る足もと。のアクセルペダルはオルガン式になって、ヒール・アンド・トゥーがとてもやりやすくなっている。

ただし、その回転上昇、吹け上がりは少々ストーリー性にかける。実にスムーズに吹け上がっていくが、あまりにも直線的な吹け上がり方で、たとえば高回転になるとさらに活発になるとか、より一層回りたがるとかの変化がなく、表情に起伏がない。ターボであるなら、ブーストが本格的にかかってきて、グイグイとトルクが盛り上がってきそうなものだが、それもない。もっとも、フォルクスワーゲンのエンジンは、昔から自身の存在を主張しない縁の下の力持ち。GTIであっても、これでいいのかもしれないが。

GTIの伝統の復活。シートのセンター部分は格子模様のパターンが採用された。昔を知っている人にとっては、魅力的に映るだろう。

シート表皮は通気性の高い“インテルラゴス”という新しい繊維が使われていて、コンフォート性はさらに向上している。

といいつつ、ポール・リカールのコースを覚えてしまうと、そんなこともすっかり忘れて、ドライビング夢中になっていた。1速と2速、いや3速までの加速はきわめて鋭く、ともすると、タコメーターの針がレッドゾーンに達してしまってからシフトアップするというような、遅れがちの操作になる。レッドゾーンの始まる6500rpm近くまで引っ張ると、2速で約100㎞/h、3速で約140㎞/hに達し、4速になってようやく加速が鈍る感覚だ。ともあれ、3速までなら、どの回転域にあっても、アクセルひと踏みで猛然と加速していくのである!

6速マニュアルミッションのシフトノブ。シフトストロークが適度に短く、ゲート感も明確。アルミを多用した凝ったデザインだ。

標準の17インチのタイヤ&ホイール。試乗車は、BSのポテンザ050を装着していた。乗り心地とのバランスはこの17インチだ。

そのハンドリングには、いい意味であきれてしまう。こういってしまうと語弊があるかもしれないが、どこまでいってもきわめて安全なのである。もちろん、基本的にはアンダーステア傾向で、ステアリングの角度を一定にしておくと、クルマの軌跡は次第に外側に膨らんでいく。が、たとえば、オーバースピード気味にコーナーに突っ込んでいって、途中アクセルオフすると、一瞬オーバーステア気味になって、ノーズがインを向いてくれる。

グリルはハニカム。「この構造は強度があるとされて、高性能車に多く使われてきました」と、イメージ面のメリットを強調する。

ヘッドライトのインナーがブラック塗装されるのも、数少ないGTIの特徴のひとつ。鋭い目つきになることは確かだ。

GTIには、細身の黒い樹脂製のサイドステップが付加される。これも、やの時代のGTIを彷彿させるもので、巧みな演出。

といって、リアのマルチリンクはシッカリと踏ん張ってくれて、これまでのリアがツイストビームだったGTIでは少なからず感じられたスピンモードに陥る気配をまったく見せない。こうしてラインを修正した後、再びアクセルを踏んでやれば、実に安定した姿勢でコーナーを抜けていくことができる。この抜群のスタビリティは、ESPを解除しても基本的には変わらない!!!

大型化され、ノッチが付いたルーフエンドスポイラー。完璧にボディデザインに溶け込んで、これもあまり目立つ存在ではない。

デュアルのテールエンド。ここから叩き出されるエキゾーストノートは、外で聞いていると、けっこう勇ましいものだ。

リアには、左サイドにGTIのエンブレム。フロントに比較すると、リアのGTIであることの主張は控え目。好ましくもあるが。

リポーターは、建物や人の影が長くなる夕方まで、6MT仕様を含め、2ドア、4ドアと、とっかえひっかえ、サーキット走行を繰り返した。そうして存分にに走って得た感触は、「この新しいGTIは“稀代のFFハンドリングカー”」というものだ。

クラウチングスタイルが強調されるスケッチ。前号でインタビューを掲載したペーター・シュライヤー氏によれば、「かなりエモーショナルな方向に振ることができた」とのことで、大いなる自信を持っているようだった。

VW GOLF FAN Vol.2から転載

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