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トイ風プラモを本気で仕上げたらこうなった!フジミ製「いすゞビッグホーン」をあの手この手でリアリティアップ【モデルカーズ】

ボディを拡大、ゆったりサイズの2代目

1970年代後半から1980年代にかけての日本では、RV市場が盛り上がりを見せていた。もはや古い言葉だが、RVとは「レクリエーショナル・ヴィークル」の頭文字で、ワンボックスの乗用ワゴンやステーションワゴン、ピックアップトラック(特にレジャー用途に向けた4WD)などを、まとめてそう呼んでいたものである。未だトラック専業メーカーではなかった当時のいすゞは、1981年、このニーズに合わせてバン・タイプの4輪駆動車ビッグホーンを送り出した。
これは、4WDのピックアップであったロデオをベースにしたもので、当初はロデオ・ビッグホーンと呼ばれていた。60系のランクルやサファリには先を越されているが、パジェロやハイラックス・サーフよりもデビューは早く、これをもってビッグホーンをSUVの元祖と評することもある。当初はバンのみであったが1984年には5ナンバーのワゴンを加え(このとき車名から「ロデオ」が落ちる)、1985年にはロングボディを4ドア化。そして1991年に登場したのが、2代目ビッグホーンである。
2代目モデルも初代と同じく、英国のレンジローバーを思わせる重厚なスタイリングであったが、全車3ナンバーのワイドボディとなり、どっしりとした安定感により磨きをかけた。ボディ形式は4ドアのロングと2ドアのショート(1992年に追加)、全車3ナンバーであるからバンの設定はない。エンジンは3.2L V6 DOHC(ガソリン、200ps)と3.1L 直4 OHV(ディーゼル、125ps)の2種類を用意、4WD機構はパートタイム方式となっていた。

バリエーションはベーシックモデルの他に、ハンドリング・バイ・ロータスとイルムシャーがあったが、前者は4ドアのみに設定、またイルムシャー仕様にはショートのみにイルムシャーRSも用意されている。1993年にはフロントグリルを格子状のものに変更、本革シート装備のハンドリング・バイ・ロータスSEもラインナップに加わった。その後もディーゼルエンジンのインジェクションポンプを電子制御化、電子制御トルクスプリット4WDの導入など、改良が続く。

1998年のマイナーチェンジではフロント周りを大きく変更、若干スラントした立体的な顔つきとなったが、こののち2002年に販売を終了している。このように、バブル期のクロカン四駆ブームにあって存在感を示したビッグホーンであったが、プラモデルはフジミの1/24スケールのみであった。ここでお見せしているのもそのキットの完成品だが、ただ素組みした作品ではない。フジミのキットはボディ形状は良いもののモーターライズのトイライクなものであったため、様々な手法で再現性を高めたのがこの作例なのだ。

ビークロスのシャシーとサーフの内装を流用!
フジミのビッグホーンは再販版には走行用部品はないが、もともと走行用シャシーはかなり割り切ったもの。写真の上下に並べた上のパーツがキットのものだ。そこで、タミヤのビークロスからシャシー(下)と足周りを流用。実車のビッグホーン・ショートとビークロスはシャシーを供用しているのだ。ロングボディに合わせるため中央部でシャシーを切断、プラ板で延長。前後の形状はビッグホーンのボディに合わせプラ板を継ぎ足した。リア側のみボディ内側にツメのハマる受け部分を自作(フロントはキットのモールドを利用)。

マフラーはシャシーの延長に合わせて、プラ棒やランナーでパイプを伸ばした。このシャシー流用で車体裏面のリアリティが向上したが、きちんとした資料に基づいた加工ではないため、実車と異なる部分もあるかもしれない。足周りはどちらのシャシーも、ホイールに金属シャフトを通す方式。ビッグホーンのホイール内側は強度を増すためのリブがモールドされていて、ビークロスのサスペンション部品と干渉するので、うまく収まるように削った。タイヤはビークロスのもの(写真の左側)を使用している。

インテリアはモーターや電池ボックスのスペースを確保するため上げ底となっている。そこで、シートの形状が似ているアオシマのハイラックス・サーフからパーツを流用することとした。フロントシートは、ハンドリング・バイ・ロータスでは肘掛が付くので、プラ板の積層で自作し接着。裏側が肉抜きされているのでプラ板で塞ぎ、ディテールを追加した。折り畳み式のサードシートはプラ板の箱組みで自作。ドア内貼りもプラ板の貼り合わせでそれらしく作った。

センターコンソールはビッグホーンのフロアから切り出し、側面をプラ板で補って使用している。なお、リアシートはプラ板を追加して拡幅、ヘッドレストはプラ板の積層で作り直した。ボディ周りでは、キットのままではフロントグリルのバーの本数が少ないのが気になる。グリル内側を切り取り、0.3mmプラ板を貼り重ねたものに置き換えた。中央の「ISUZU」ロゴはキットから丁寧に切り出して、新しく作ったグリルにはめ込んでいる。

ボディのメインカラーはクレオスのGXメタルグリーンにブラックを混ぜたもの、下部のシャンパンシルバーはMr.カラーのシルバーとゴールドを混ぜたもので塗装した。再販版では版権の関係かロータス関連のデカールが付属しないので、作例では自作デカールを起こして対処している。スナップキットではないのだが、ヘッドライトレンズに取り付けピンがあるので削除し、中央のヒケは瞬着+硬化剤で埋めて成形、コンパウンドで磨いて仕上げた。ロータス仕様はヘッドライトワイパーが付くので、自作品を取り付けている。

作例制作=棚瀬和重/フォト=服部佳洋 modelcars vol.232より再構成のうえ転載

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