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マッスルは裏切らない!レベル製プラモで見つめ直す「1968年型ダッジ・チャージャーR/T」【モデルカーズ】

凄味のあるルックスが魅力の二代目

復活したマッスルカーとして、ダッジ・チャレンジャーとともに長らく人気を集めてきたダッジ・チャージャーだが、ガソリン車としては現行モデルが最後となることがアナウンスされている。電気自動車としてのマッスル(武闘派)とはどんなものであるか非常に興味深いところだが、ここではあらためて、チャージャーの黄金時代を象徴するモデルを模型で振り返ってみよう。

【画像20枚】1968年型チャージャーの魅力溢れるディテールを確認!

1960年代半ば、ダッジのインターミディエイトであるコロネットのシャシーを流用し、流麗な2ドア・ボディを載せて登場したのが、初代チャージャーである。これは1966年シーズンの途中に1966年型として登場したもので、ボディ腰下前半はコロネットと共用しつつ、格納式ヘッドライトのフロントグリルとファストバック・スタイルのルーフを持つのが最大の特徴だった。

元々マスタングのヒットに触発されて送り出されたのがこのチャージャーであったのだが、その販売成績は2年目にガタ落ちとなった。基本部分は地味なデザインであるボディに販売不調の原因を見たためか、1968年型にてフルモデルチェンジ。二代目チャージャーは専用のスタイリッシュなボディを採用、販売台数は前年の6倍以上に跳ね上がったという。この二代目チャージャーは、『ブリット』など多くの映画で活躍したためか、日本での人気・知名度も高い。

初代では完全なファストバック・ボディとなっていたチャージャーだが、この二代目ではセミファストバック・スタイルを採用。リアウィンドウの面よりもフィン状に張り出した”バットレス・ウィング”タイプのリアピラーが特徴である。ヘッドライトは初代同様にコンシールドタイプとし、スリークかつ迫力のあるルックスを獲得した。

ラインナップには、通常モデルのほかにR/Tと呼ばれるハイパフォーマンスモデルが存在。チャージャーR/T、コロネットR/T、ダートGTSの3台で”ダッジ・スキャットパック(Dodge Scat Pack)”と称した。この名称は、フランク・シナトラとその悪友たち(ディーン・マーチンやピーター・ローフォード、サミー・デイヴィスJr.など)の通称”ラット・パック”――元はハンフリー・ボガートとその一派を示す名前だった――にちなんだものと言われている。スキャットとは、「急ぐ」「速い」というような意味である。

話を戻すと、シリーズのエンジンはV8のみが搭載されており、ベースとなるチャージャーでは標準となるのが318-cid(5.2L)で、最高出力230hp。オプションで383-cid(6.3L)があり、こちらは290hp/330hp(4バレル・キャブ)の2仕様があった。R/Tで標準となるのは440-cid(7.2L)で375hp、オプションとして426ヘミ(7L)が設定されており、こちらは425hpとされている。

チャージャーR/Tはエンジンが強力であるだけでなく足周りも強化されており、特製のトーションバーやヘビーデューティ・タイプのショックアブソーバー、スウェイバーなどが装着されていた。インテリアではバケットシートや3スポーク・ステアリングホイール、エクステリアではバンブルビー・ストライプなどが標準装備となる。トランスミッションは3速の”トルクフライト”オートマチック(コラム)が標準だが、4速のマニュアル(フロア)もオプション設定されている。なお、318搭載のチャージャー(ベースモデル)のみは3速マニュアル(コラム)が標準となっていた。

細かく、よくできたキットだからこそ、組み立てには配慮が必要
さて、ここでご覧いただいているのは、レベル製1/25スケール・プラモデルの1968年型チャージャーR/Tを美しく組み上げた作品である。以下、作例の作者である周東氏の解説をお読みいただこう。

「今回は2009年にリリースされたレベルの1968年型を採り上げてみた。このキットはルーツを辿ると1997年リリースの1969年型に行きつく。これは初めプロモデラー版としてリリースされ、のちに通常のモノグラム版が発売された。さらに1999年になると、1968年型の”DICK LANDY”ドラッグ・バージョンも登場している(このときレベル・ブランドに移行)。今回作例で用いたキット(4202)は、このときの1968年型のキットとはボディが異なっており、この年式の決定版とも言える内容となっている。

ボディはチャージャーの持つラインをよく表現していて、いかにもBボディ・モパーといった印象だ。組み立てにあたっては、フロントのバランスパネルは接着シロがあまりないので、プラ板で受けを作っておいた方が良いだろう。リアパネルは左右の上カドに隙間ができるので、ここもプラ板等で調整が必要。

インテリアはドア内張り、シート等、メリハリの利いた表現で、満点を与えてよい内容だ。ただひとつ気になるところはシフターの位置。そのまま組むとシフトノブの位置が不自然なので、実車カタログを参考に修正している。

エンジンは合いが良くなく、特に上面カバーとシリンダーヘッドには隙間ができる。パテ等で簡単に修正できるので、塗装前に行っておこう。また、このキットではエンジンブロックとミッションが別パーツとなっているので、それぞれの接着面を整えておかないと、エンジンとミッションが一直線にならなくなるので注意が必要だ。オイルポンプもフロントサスパーツに干渉しないよう、仮組み調整してから接着しよう。

シャシー、足周りはそのまま組んでもOKだ。ただしシャシーとボディのセットはとても難しい。ラジエターが付いたラジエターウォールを先にボディへ接着してしまうと、エンジンをセットしたシャシーを入れるのは困難となり、逆にシャシーを先にセットすると、ラジエターウォールを入れるのに苦労する。ここは先にラジエターウォールをボディへセットして(接着はしない)からシャシーを入れ、各部を調整してから接着するとよいだろう。

ボディカラーはコード33-1”CHARGER RED”としてみた。クレオスC158スーパーイタリアンレッドにC79シャインレッドを少量ブレンドしている。インテリアはブラックトリムとした」

 

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars vol.172より再構成のうえ転載

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