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【国内試乗】スタイリッシュなデザインとスポーティな走りが魅力!「スズキ・スイフト」

世界累計900万台もの販売台数をマークしているスズキの人気コンパクトハッチ、スイフトが5代目へとバトンタッチした。既存のユーザーからの代替え比率も高いスイフトだが、今回はZ世代もターゲットにして開発が行なわれたという。

Z世代にもマッチするコンパクトハッチへと変貌

スズキのBセグコンパクトハッチ「スイフト」が、第5世代へとフルモデルチェンジ。これを一般公道で試乗することができた。

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エクステリアは、歴代のワイドで重心の低いスタイルを継承しつつ、ラウンドしたショルダーや張り出したフェンダーなどで、走りのイメージを彷彿させるデザインとされた。

ジャパンモビリティショーでお披露目されたそのデザインは、改めて間近で見ると鮮烈だ。その目元とグリルでスイフトであることを示しながらも、丸みを帯びたボディはジムで鍛え上げたかのように、シャープに絞り込まれた。一番の特徴はクラムシェルタイプのボンネットで、これが作り出す水平ラインをボディサイドまでラウンドさせて、力強くも現代的で、シンプルなスタイルを表現した。

パワートレインは、最高出力82ps、最大トルク108Nmを発生する新開発の1.2L直3ユニットに、3.1ps&60Nmのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドをラインナップ。トランスミッションはCVTとなる。

エンジンは先代の1.2L直列4気筒(91ps/118Nm)から、新開発の1.2L直列3気筒(82ps/108Nm)へとスイッチ。今回の試乗車は、これに3.1ps/60Nmの直流モーターを組み合わせたハイブリッドモデルの上級グレード「MZ」だった。
乗り味は、先代と比べてハッキリと硬め。その主軸となるのはエコタイヤの剛性だが、サスペンションもここにトーンを合わせて燃費と走りを両立させようとしている。ちなみに試乗車のカタログ燃費はWLTC総合24.5km/Lだが、小一時間の試乗をストレスなく走らせても20km/Lをマークした。

コクピットのデザインは、インパネとドアトリムを繋げることでドライバーとクルマの一体感を強調したものに。

硬いといいつつ感心したのは乗り心地の良さで、確かに突き上げは感じるが、その入力は素早く減衰されていた。またフロアや足周り取り付け部の低級振動がよく抑えられている。プラットフォームはキャリーオーバーだが、その剛性は未だに健在だと感じた。
直列3気筒となったエンジンも、予想以上の出来映えだ。マイルドハイブリッドゆえにコールドスタート時こそ“ブルン”と始動するが、走り出してしまえば1気筒あたりのトルクが厚く、CVTの制御も秀逸。さらに街中ではモーターが細かくアシストするから、実に静かに走ってくれる。回したときの滑らかさは確かに4気筒が有利だが、むしろほどよく若々しさが増しており、3気筒も好印象だ。

フロントシートは表皮を立体的な三角形柄とすることで、精密さを印象付けている。ACCを始めとする運転支援機能も充実。

またこうした味付けだから、街中からその走りが楽しい。操舵レスポンスはリニアで、コーナーでのライントレース性が良好。曲率がきつくなるほどにフロント荷重を高める必要は出てくるが、それこそがダンパー減衰力を高め過ぎていない証拠で、ブレーキングで荷重を移動させながらの運転は「スイフトスポーツいらずではないか?」と思えるほどだった。「MX」グレードには5速MTも設定されるとのことで、こちらの試乗も期待が持てる。

コンソールにはスマートフォンのワイヤレス充電も新たに装備された。

高速巡航もシッカリ感のある足周りのおかげで直進安定性が高く、ACCを効かせても操舵支援が正確に働く。高速巡航時のエンジン音も低く抑えられており、コースティングからアクセルを踏み足した際の加速もいい。唯一残念なのはパドルシフトのダウン側レスポンスが鈍いことだが、ラバーバンドフィールのないCVTは通常時の制御が秀逸で、普通に走らせていて十分に快適だと思えた。

フロントには、シャープな印象のLEDヘッドランプを装備。

新型スイフトがここまで大胆に変貌を遂げた理由には、先代が「走りのモデル」として認知され過ぎてしまった側面があるからだという。要するに「スポーツ」のイメージが肥大化しすぎ、ターゲットユーザーが気後れしてしまうケースが少なからずあったのだ。
対して新型はその乗り味が先代以上にスポーティで、一見矛盾したモデルチェンジにも思われるのだが、実はそれは正しい。開発陣はスイフトを日常から気持ち良く走れるコンパクトハッチとブランディングしており、この良さをわかってもらうためにデザインを現代的にまとめてきたのである。

リアのLEDコンビネーションランプは、ワイド感を強調したデザインだ。

そして筆者も、この進化には賛成だ。先代よりも元気になったスイフトは、Z世代にマッチするコンパクトハッチになったからだ。

MZには、5スポークの16インチアルミホイールが標準装着される。組み合わされるタイヤは、ブリヂストン・エコピアEP150となる。

荷室は265Lの容量が確保されている。

【Specification】スズキ・スイフト・ハイブリッドMZ
■車両本体価格(税込)=2,167,000円
■全長×全幅×全高=3860×1695×1500mm
■ホイールベース=2450mm
■トレッド=前:1480、後:1485mm
■車両重量=950kg
■エンジン型式/種類=Z12E/直3DOHC12V
■総排気量=1197cc
■エンジン最高出力=82ps(60kW)/5700rpm
■エンジン最大トルク=108Nm(11.0kg-m)/4500rpm
■モーター最高出力=3.1ps(2.3kW)/1100rpm
■モーター最大トルク=60Nm(6.1kg-m)/100rpm
■燃料タンク容量=37L(レギュラー)
■燃費=JC08:28.9km/L、WLTC:24.5km/L
■トランスミッション形式=CVT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前後:ディスク
■タイヤ=前後:185/55R16

問い合わせ先=スズキ TEL0120-402-253

フォト=山本佳吾 ル・ボラン2024年4月号より転載

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