フォルクスワーゲン

【海外試乗】PHEVやMHEVをはじめ、多彩なパワートレインをラインナップ。デザインも一新、ユーティリティも進化!「フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント」

フォルクスワーゲンの基幹モデル、パサート・ヴァリアントがフルモデルチェンジを受けた。今回はワゴンのみだったが、デザイン、ユーティリティ、インフォテイメントといった全ての領域で大幅な進化を遂げていた!

卓越した静粛性の高さに加えて利便性も向上

パサート・ヴァリアントは実用的なワゴンに質実剛健な走り、質にこだわるクルマづくりで、成熟した価値観をもつオーナーに支持されてきたロングセラーモデルだ。
電動化に積極的な姿勢をみせるフォルクスワーゲンだが、昨今の状況を顧みて、若干の方向修正を行なっている。それはBEVだけでなく様々な電動化モデルをラインナップするということであるが、ある意味、意外なタイミングで内燃機関を搭載するパサートをフルモデルチェンジしてきた。今回はそんな新型の走りを確かめるべく、コート・ダジュールで行なわれた国際試乗会を訪れた。

電動化時代を迎えるパサートを印象づけるリアコンビネーションランプの新しいデザインに。左右のランプユニットを水平に繋ぐデザインはよりワイドに見せる視覚効果も。

進化したトピックスは3つ。一新された内外装、品質を磨き上げたクルマづくり、パワーユニットの刷新が挙げられる。外観はパサートらしいクリーンなイメージを受け継ぎながらも、ホイールベースは先代比で50mm拡大。ボディは全長と全幅が拡大され、さりげなく力強さが増しているが、エレガントな雰囲気を崩さない絶妙なさじ加減で存在感を高めている。

1.5 eTSIグレードでは、1.5L TSI evo2エンジン+48V駆動式スタータージェネレーターで発進加速をサポートし、コースティングで燃料消費を低減。PHEVは19.7kWhのバッテリーを搭載し、モーターで約100kmの航続距離を実現する。

知的な表情を印象づけるI.Q Lightはメインビームの照射範囲を大幅に拡大。ボディサイドは前方に傾斜したDピラーとシャープで伸びやかに描かれたガラスエリアが広い荷室を包むリアセクションを野暮ったく見せない。

コクピットは全面的に刷新。欧州仕様はChatGPTと統合し、日常会話に対応するボイスコントロール機能が備わる。内装のクオリティも高く、前席はヘッドレスト一体型で座り心地も良好で、マッサージ機能も用意されている。後席の膝回りは先代比で50mm拡大し、居住性能は向上している。

パサートとしてはかつてないほど空力へのこだわりを見せており、リア周りには大型のスポイラー、テールゲート上部にサイドエアガイドを装着。バンパー下のディフューザーは乱気流を軽減して航続距離の拡大に貢献するという。

インテリアはフラット化されたデジタルメーターと第4世代のインフォテイメントシステムが採用されている。
試乗車には15インチのモニターが配置されているが、PCほどの大画面に圧倒された。最近のフォルクスワーゲン車のインターフェイスは直感的に扱いづらいケースも見られたが、最新のものはエアコンを操作するスライダーがサクサク動いてくれて、ストレスが少ないものに進化していた。

試乗は「1.5 eTSI(MHEV)」、「2.0 TDI 4モーション」、「1.5 eハイブリッド(PHEV)」のステアリングを握ったが、個人的に気に入ったのはパサートに初搭載された48VのMHEVである。
4気筒のうち2気筒を休止/再稼働しながら走るアクティブシリンダーマネージメント付きで、加速時にはエンジンの動力にモーターアシストが加わり、変速レスポンスに優れた6速DSGとの組み合わせで、リズミカルな駆け出しを披露する。

空力性能ではcd値が従来の0.31から新型は0.25に向上。先進性を意識させるヘッドライトは上部にLEDデイタイムランニングライトが細くなぞるようにして描かれ、水平基調のデザインを際立たせている。

これは高速で流す上でも十分なパフォーマンスを発揮するほか、コーナーではスイスイと姿勢を変えて軽快なハンドリングを楽しませてくれるのが嬉しい。
走行モードに応じて特性を変化させる電子制御式ダンパーを装着した「DCC Pro」は、従来の1バルブ式から2バルブ式に変更されている。伸び側と縮み側の減衰力を個別に制御することで、操縦性安定性と乗り心地の良さを高い次元で両立させていた。

eハイブリッドは重量感を感じさせるものの、角のある突き上げは意識させず、しっとりとした乗り心地を与える印象だ。
ゆとりのトルクを求めるなら、2.0TDIが魅力的に映ったが、ディーゼルエンジンが苦手としがちな低回転域で嫌な振動を感じにくかった。

荷室容量は標準状態で690L(+40L)、最大1920L(+140L)に拡大された。

どの仕様も静粛性レベルは上級サルーンさながらの印象である。何より、パサートに期待する乗り味の良さが追求されていることに、最近薄まりがちだと感じていたフォルクスワーゲン魂を見た気がして嬉しく思えた。

【SPECIFICATION】フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント 1.5 eハイブリッド
■全長×全幅×全高=4917×1849×1497mm
■ホイールベース=2841mm
■エンジン型式/種類=─/直4DOHC16Vガソリンターボ+モーター
■総排気量=1497cc
■エンジン最高出力=150ps(110kW)
■エンジン最大トルク=250Nm(25.5kg─m)
■モーター最高出力=115kW
■モーター最大トルク=56Nm
■トランスミッション形式=6速DCT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:4リンク/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
【SPECIFICATION】フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント 2.0 TDI
■全長×全幅×全高=4917×1849×1497mm
■ホイールベース=2841mm
■エンジン型式/種類=直4DOHC16Vディーゼル+ターボ
■総排気量=1968cc
■エンジン最高出力=150ps(110kW)
■エンジン最大トルク=360Nm(36.7kg─m)
■トランスミッション形式=6速DCT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:4リンク/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
問い合わせ先=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン 0120-993-199

リポート=藤島知子 フォト=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン ルボラン2024年5月号より転載

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