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【写真211枚】2万ユーロ切りの衝撃。ルノー新型「トゥインゴ」がいち早く低価格EVを成立させた開発と生産のカラクリ

世代を超えて受け継がれるトゥインゴ魂

ルノーはAセグメントの新型EV「トゥインゴ E-TECH エレクトリック」について2025年12月16日、欧州での正式価格と受注スケジュールを発表している。すでに宣言されていた「2万ユーロ以下」という目標価格は、ベースグレードの「エボリューション」における1万9490ユーロ(約355万円)という設定で見事に達成された。今回は、これを実現できた理由について迫っていきたい。

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多くのメーカーが撤退したAセグメントで

1992年に発売された初代トゥインゴは、Aセグメントの変革を成し遂げ、自動車業界のアイコンとしての地位を確立したモデルと言ってよい。陽気でカラフルなトゥインゴは、「トゥインゴに合った生活を発明しましょう」とすべての人を誘い、世代を超えて25カ国で410万台以上を販売する大きな成功を収めた。

現在、Aセグメントは欧州市場のわずか5%を占めるにすぎないが、これは需要の低さを反映しているわけではなく、欧州のドライバーは依然としてコンパクトで手頃な価格の車を求めている。しかし、競争力の維持や規制適合などの困難から、多くのメーカーがこのセグメントから撤退してしまった。ルノーはこの状況を大きな成長の機会と捉え、ゲームチェンジャーとなる「トゥインゴE-TECH エレクトリック」を開発した。

トゥインゴ4代目となるこのモデルの最大のハイライトは、エントリーモデルの「Evolution(エボリューション)」で2万ユーロ(政府の補助金を除く)を下回るという価格設定である。低価格モデルの復活を求める欧州の家庭からの強い要望に応えたこの電動シティカーは、いかにしてこの競争力のある価格を達成したのか。その背景には、3つの大きな目標に基づいた抜本的な改革がある。

理由1:バッテリー技術と車両設計の根本的な見直し

低価格化を実現するための第1の鍵は、設計と生産のプロセスを完全に再考したことであるという。ルノー・グループとして初めて、レアメタルではなく鉄やリン酸など豊富に供給されている材料を利用したLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーを採用した。これをセル・トゥ・パック(Cell-to-Pack)アーキテクチャと組み合わせることで、バッテリーの全体的なコストを約20%削減することに成功した。

さらに、最適化されたモーターと微調整された空気力学により消費電力を非常に低く抑え、より小型で軽量なバッテリーの搭載を可能にしたことで、ランニングコストの削減にも貢献している。

理由2:開発期間の半減とグローバルな開発体制

第2の要因は、開発プロセスの劇的な効率化である。開発期間はキックオフから生産までわずか100週間であり、これまでの電気自動車モデルの2倍の速さで、ルノーの歴史上どのモデルよりも早く開発されたという。ルノーはアンペア(Ampere)、ACDC、ノヴォ・メスト組立工場の3つの柱を中心とした独自の組織を設立し、欧州のノウハウと中国のイノベーションを組み合わせた。

フランスのテクノセンターでは、AおよびBセグメント向けに特化して開発されたRGEVスモールプラットフォームを用いて設計が開始され、電子機器、ソフトウェア、マルチメディア、運転支援機能の開発が行われた。合理化されたガバナンス構造により迅速な意思決定が可能となり、ルノーの電動化戦略との完全な統合が保証されたとされる。

一方、2024年に上海に設立された研究開発センターであるACDCでは、約100人のエンジニアがシステム統合とプロジェクト管理を担当。現地の迅速な開発体制や競争力のあるコスト、エコシステムを活用し、新たな産業パートナーに支えられることでプロジェクトのスピードと効率を高めた。

ここでは、通常よりも車両の部品数を削減したことや、協力的で部門横断的なアプローチにより、同等モデルの開発期間から丸1年短縮し、投資を半減させることを可能にした。このプロジェクトは、上流工程で16%、開発で41%、生産で26%の期間短縮というルノーの目標を実証しており、今後のグループの将来のプロジェクトにおけるベンチマークとなるとのことである。

理由3:欧州の生産拠点とサプライチェーンの最適化

第3の要因は、生産およびサプライチェーンの最適化である。最終的な組み立ては欧州スロベニアのノヴォ・メスト工場で行われ、品質と信頼性を保証。ACDCは組み立てラインへの投入に先立ち、同工場と緊密に連携した。ルノーは同工場に大規模な投資を行い、バンパーの射出成形や塗装、シートやフロントクロスメンバーの組み立て用新ラインの導入など、生産チェーン全体のシステムを近代化した。

また、従業員に対してデジタルノウハウやEV技術の集中的なトレーニングを実施している。さらにコストダウンに直結する要素としては、多くのサプライヤーが工場のすぐ近くに位置している点が挙げられるだろう。さらに、顧客の75%が工場から1000km圏内にいるため、物流コストとカーボンフットプリント、双方の削減にも役立っているという。

妥協のない機能性、走行性能、環境への配慮

徹底したコスト削減を行いながらも、車両の機能や魅力において妥協はない。2026年モデルのトゥインゴは初代のDNAを受け継ぎ、手頃な価格で高い顧客価値を提供するモダンな電動シティカーとして、Aセグメントの基準を塗り替えるものであると言ってよいだろう。

まずパッケージングと装備という面では、5つのドア、左右独立したスライド式リアシート(全モデル標準装備)、折り畳み可能な助手席シートバックなどを備え、広さとモジュール性を実現している。室内空間はあらゆるニーズを満たす最適化が目指されており、この価格帯ではかつてないレベルの多用途性を実現している。

また先進機能という面では、排出ガスゼロの静かな走りを実現し、上位クラス・モデル並みの運転支援機能や、セグメント初のGoogle内蔵マルチメディアシステム「OpenR Link」を搭載。電気自動車をより運転しやすいものとし、多くの人に乗り換えを促すことを目指しているのである。

WLTP航続距離最大263kmのLFPバッテリーは、軽量な60kW(82ps)のモーターとともにこのモデルの根幹を成す。ワンペダル機能が日常の渋滞を楽なものにし、都市部やその周辺での運転に最適であると言えるだろう。

ルノー5やルノー4 E-Tech エレクトリックと同じRGEVスモールプラットフォームは日常使いに適応させたものとなっており、1200kg少々という軽量さと正確なステアリングが相まって機敏で反応が良く、都市を離れて高速道路を走行する際にも安定した快適な乗り心地を提供するという。消費電力もWLTP基準で12.2kWh/100km(8.20km/kWh、認可申請中)と低く、維持費も安価であろう。

さらに環境性能も特筆すべきものだ。車両は環境負荷を抑えることを最初から想定して設計されており、ライフサイクル全体でのカーボンフットプリントは、同等の内燃機関シティカーと比較して60%小さくなったとされる。

また、ホワイトボディの板金には初めて、電気炉で生産され、75%が循環型経済の素材(ISO 14021で定義されるリサイクル材料、および工場内の製造プロセスに直接再統合された製造スクラップや端材)で構成された欧州産低炭素鋼を38kg組み込んでいる。これにより、予測販売台数の通年平均に基づき、2850トンのCO₂換算排出量を回避できるという。

生産拠点であるノヴォ・メスト工場自体も、Plant Connect(産業用メタバース)や太陽光発電所などのソリューションを導入し、環境的・デジタル的移行を進めているとのことだ。

新型トゥインゴ E-Tech エレクトリックは、ルノーと初代トゥインゴのパイオニア精神に忠実でありながら、Aセグメントの新たな基準を打ち立てたものと言えるだろう。革新性と楽しさ、そして環境への責任を兼ね備え、街に楽観的な雰囲気をもたらすとともに、欧州中の顧客の期待に十分に応えてくれるであろうモデルである。

【ル・ボラン編集部より】

新型トゥインゴの真髄は、その痛快な「割り切り」にある。急速充電をあえてオプションとし、標準を普通充電に留めた決断は、都市での使われ方を熟知したルノーならではの合理的な設計思想だ。スペック至上主義から脱却し、日常の足としての適正解を導き出したことで、かつてのエントリーカーにあった安っぽさは微塵もない。兄貴分たるメガーヌE-TECH譲りの、重さを感じさせないしなやかな走りの系譜がこの小さなボディにどう息づいているのか。大人の日常を彩る、フランス流の小粋な一台の到着が待ち遠しい。

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※画像はいずれも上位モデル「テクノ」

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。

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