海外試乗

【海外試乗】ポルシェ911 GT3 S/C|最後の4L自然吸気か? 開発陣が極秘裏に仕立てた「屋根開きGT3」の真実《LE VOLANT LAB》

ポルシェ911 GT3 S/Cと藤原よしお氏
ポルシェ911 GT3 S/C

911の歴史に刻まれる「屋根開きGT3

2026年4月に発表されたポルシェ911 GT3 S/C。S/T譲りの軽量ボディとGT3の心臓部を併せ持ちながら、ルーフを開け放つことができるこの異端のモデルは、いかにして誕生したのか。今回はモータージャーナリストの藤原よしお氏がドイツ南部のワインディングに連れ出し、その真価を徹底的に検証。最後の4L自然吸気フラット6エンジンとなるかもしれない1台の素顔に迫る。

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秘密で製作されたプロトタイプと「S/C」の正体

ドイツ南部で行われた911 GT3 S/Cの国際試乗会で、面白いエピソードを聞いた。

実はこのプロジェクトを始めるにあたり、通常はレンダリングなどを用いて取締役会を説得して開発資金を調達するのがセオリーであるところを、開発陣は秘密裏に実車のプロトタイプを製作し、直接プレゼンしたというのだ。

しかしながら試乗を終えた今となっては、当時のポルシェ役員会の英断も素直に納得できる。そう、コイツはただの「屋根開きGT3」じゃない。乗った人すべての魂に直接語りかけるエモーショナルなスポーツカーだ。

かつて991の時代にも、GT3のエンジンを搭載したスピードスターがそのフィナーレを飾るモデルとして1948台限定で販売されたが、今回の911 GT3 S/Cはあくまでレギュラーモデル。S/Cとは「スポーツ・カブリオレ」の略で、911 GT3をベースに911 S/T譲りのカーボンファイバー製ボンネット、ドア、フロント・フェンダー、フロント20インチ、リア21インチのセンターロック鍛造マグネシウムホイール、軽量カーペットなどが奢られたことが、その名の由来になっている。

ちなみにボディパネルで911カレラと同じなのはリアフェンダーくらいで、軽量化を優先してトランスミッションも6速MTのみとした結果、車重は911 GT3ツーリングパッケージとほぼ同等の1497kgに収まっている。

クーペと同等の剛性。最高出力510psの自然吸気をオープンで味わう贅沢

驚くのは、60km/h以下なら12秒で開閉可能な電動ソフトトップをはじめ、オープン化に関する部分は911カブリオレと共通で、特に補強などは行っていないことだ。改めてGTカー・ボディ担当プロジェクトマネージャーのマーカス・ブルナー、そしてGTモデルラインのプロジェクトマネージャーであるヨルグ・ユンガーに話を聞いてみたが、2人からは「991から992へ進化する際にクーペ、カブリオレともにボディ剛性が25%向上している。だから今回特に補強する必要はなかった」と同じ答えが返ってきた。

一方、最高出力510ps/最大トルク450Nmを誇る4L自然吸気フラット6ユニットと6速MTも、992.2世代の911 GT3とまったく同じものを使用。フロント:ダブルウィッシュボーン、リア:マルチリンクのサスペンションも、車重が近い911 GT3ツーリングパッケージと同じセットアップのものを装着しているという。

まさに911 GT3ツーリングパッケージをベースに、911 S/Tとカブリオレの要素を合体させた1台というべき911 GT3 S/Cだが、その実態は1+1+1以上のモノになっていた。

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Photo: Porsche AG

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