シュコダ史上最速の365km/hを記録。「オクタヴィアvRS」ボンネビルでの金字塔から15年
シュコダは2026年8月、「オクタヴィアvRS」による陸上での最高速度記録の樹立から15周年を迎えたことを発表した。2011年8月19日、米国のボンネビル・ソルトフラッツにて、特別仕様の「ソルト・スペック」が時速227.080マイル(約365km/h)を記録。当時の2.0L過給機付き市販車の記録を塗り替えたこのマシンは、15年が経過した現在でもシュコダ史上最速のモデルとして君臨している。
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広報車からの大抜擢と立ちはだかる壁
シュコダUKが主導した最高速チャレンジは、当時広報車両として稼働していたコリーダ・レッドの「オクタヴィアvRS 2.0 TSI」を借用する形でスタートした。当初の目標は最高速200マイルの壁を越えるという控えめなものだったが、初期のテスト走行であっさりと目標をクリアしたため、当時の世界記録である時速216マイル(約348km/h)の更新を視野に入れるようになったのである。
記録挑戦へ向けた車両製作は困難を極めた。他チームが何年も前から準備を進めるなか、シュコダUKはわずか数週間で車両を完成させる必要があったのだ。また、ベースの2.0 TSIエンジンは当時最新モデルであり、社外品のチューニングパーツが市場にほぼ存在せず、競技協会の厳しい規定内で独自に改造を施す必要があった。
最高速を求めたパラシュート搭載の特殊改造
ベース車両は完全に分解され、最高速を極めるための特別なチューニングが施された。エンジンには、8つのインジェクターに大量の燃料を送る新設計のインジェクションシステムや、10Lの大型ラジエーターを備えた冷却系を採用。さらに限界域でのスピードを伸ばすため、エコモデルである「オクタヴィア・グリーンライン」のハイギアードなトランスミッションを移植した。
スピードを追求する工夫は、足回りや安全装備にも及んだ。空気抵抗の低減と軽量化のため、車高を下げて研磨されたホイールカバーを装着。従来のブレーキ一式はすべて撤去され、代わりに車内のレバーで展開するパラシュートが搭載された。徹底的に軽量化された車内には競技用ロールケージや専用シート、消火設備が備えられ、チューニング専門業者の支援のもと厳格な出力テストをクリアした。
10年以上破られなかった記録と博物館での余生
完成した特別なオクタヴィアは、自動車ジャーナリストのリチャード・ミーデンに託され、ボンネビルの5マイルコースに挑んだ。2011年8月18日の1回目で225.513マイル(約363km/h)を記録し、翌19日の復路では228.647マイル(約368km/h)に到達。この2回の走行から認定された平均速度227.080マイル(約365km/h)という公式記録は、その後10年以上にわたって誰にも破られることはなかった。
偉業を成し遂げたマシンは、その後イギリスへと戻り完全な修復を受けた。2021年にテストコースでメディア向けに走りを披露したのち、歴史的車両コレクションに加わる形で引退生活に入った。現在、この記録破りの名車はシュコダの故郷であるチェコ共和国に帰還している。ムラダー・ボレスラフにあるシュコダ・オート博物館に常設展示され、ブランド史上最も並外れた車の魅力を今に伝えている。
【ル・ボラン編集部より】
フォルクスワーゲングループにおいて、シュコダは堅実で大空間を誇る実用車としてのイメージが強い。しかし、その根底には戦前からの色濃いモータースポーツへの情熱が脈打っている。プラットフォームを共有する兄弟車・パサートが、最新の電子制御で快適性と安定性を極めているのとは対照的に、広報車をベースに突貫作業で最高速記録を打ち立てたオクタヴィアvRSの逸話は痛快だ。実用車としての高い理性を保ちつつも、いざとなれば狂気的なポテンシャルを引き出せる。これこそが、チェコの名門が持つ真の魅力である。
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