メルセデスAMGが過激なFRクーペ「CLE 646 シュペツィアル・アンフェルティグング」を発表
メルセデスAMGは2026年9月11日、ドライビングダイナミクスを極限まで追求した公道走行可能なハイパフォーマンスクーペ「Mercedes-AMG CLE 646 Spezialanfertigung(シュペツィアル・アンフェルティグング=特別製造の意味)」を発表した。最高出力646psを発揮する4.0L V8ビターボエンジンを搭載し、四輪駆動から純粋な後輪駆動へと変更された過激なFRスポーツである。大幅な軽量化や専用のワイドボディを採用したこのモデルは、超限定生産の「ミトス」シリーズとして世界でわずか30台のみが生産される。
【画像30枚】カーボンパーツとロールケージが語る本気度。純粋なFRクーペへと進化した「CLE 646」の全貌
アファルターバッハで再構築された646psの心臓とFRレイアウト
現在のCLEクーペをベースに、アファルターバッハのAMG本社にて最高のマヌファクトゥール基準で全面的に作り直されたのがこの特別仕様車である。その心臓部には、車名にも表れている通り、最高出力646ps(475kW)を誇る大幅に強化されたAMG M177 EVO 4.0L V8ビターボエンジンが搭載されている。最大トルクは850Nmに達し、2500~4500rpmという幅広い回転域で発生する。
この大パワーを受け止めるドライブトレインには根本的な変更が加えられた。ベース車両の四輪駆動システムは完全に取り除かれ、動力を後輪のみに伝達する純粋なFRレイアウトへと変更されているのだ。この後輪駆動への変更は軽量化に貢献するだけでなく、車両のダイナミックなキャラクターを根本的に変えている。トランスミッションにはAMG SPEEDSHIFT TCT 9Gが組み合わされ、0-100km/h加速は3.9秒、0-200km/h加速は11.4秒をマークし、最高速度は310km/hに達する。
170kgの削ぎ落としと専用サスペンションがもたらす極限の対話
開発にあたっては、ベース車両と比較して約170kgもの大幅な軽量化が図られた。サスペンションには、メルセデスAMGとKWオートモーティブが共同開発したスチール製のコイルオーバーサスペンションシステムが採用されている。これは低速域と高速域の縮み側と伸び側を独立して設定できる4ウェイ調整式ダンパー技術を備えており、極めて正確なチューニングが可能となっている。
さらにブレーキには、AMGカーボンセラミック・ハイパフォーマンス・コンポジット・ブレーキシステムが搭載された。フロントに420mm径のディスクと6ピストンキャリパー、リアに360mm径のディスクを組み合わせ、過酷なサーキット走行でも安定した制動力を発揮する。
250kg超のダウンフォースを生む空力と、快適性を排した潔い室内
ボディワークも徹底的に強化され、フロントとリアともに60mmずつ拡幅された独自のワイドボディを採用している。フェンダーやボンネット、ルーフなど多数の部品にカーボンファイバーが用いられ、リアウィンドウ類にはポリカーボネートが使用された。
エアロダイナミクスもサーキットでの使用を主眼に開発されており、「ストリート」と「レース」の2段階に手動調整可能なフロントディフューザーやフラットなアンダーボディにより、最高速度域では250kgを超える強大なダウンフォースを発生させる。
室内においてもドライビングダイナミクスへの揺るぎないこだわりが貫かれている。後部座席や遮音材は取り外され、超軽量のハイエンドレーシングバケットシートとロールオーバーバーが標準装備されるなど、快適装備を削減したストイックな空間に仕立てられている。
非合理なる夢を具現化した「ミトス」シリーズ第2弾は早くも完売
このCLE 646 シュペツィアル・アンフェルティグングは、極めて生産台数が限られた希少なコレクターカーで構成される「ミトス」シリーズの第2弾モデルとして位置づけられている。
メルセデスAMGの取締役会会長であるステファン・ヴェックバッハ氏は、「このクルマは、極めて合理的なエンジニアたちが、極めて非合理的なクルマを夢見たことから誕生しました。私たちはその夢を、最大限のドライビングダイナミクスと比類のないドライビング体験という形で現実のものにしました」とコメントを寄せている。
また、メルセデス・ベンツ グループAGのチーフデザインオフィサーであるバスティアン・バウディ氏も、「カーボンファイバーを多用することで、特に際立った外観を作り出すことができました。その大胆なプロポーションとグリルの巨大さは、究極の車両を提示するという野心を示しています」と語っている。
世界限定わずか30台のみの生産となるが、ワールドプレミアを前にしてすでに全車完売となっているという。
【ル・ボラン編集部より】
電動化と四輪駆動化が標準となった現在のアファルターバッハにおいて、この「CLE 646」は異端にして原点回帰だ。かつてのC63やブラックシリーズが放っていた、V8の荒ぶるトルクを後輪のみでねじ伏せる危うい魅力を、現代のシャシー技術で再構築している。170kgの削ぎ落としと専用ダンパーがもたらすのは単なる速さではない。電子制御に守られた現代のクルマでは味わえない、ドライバーの腕と理性が試される濃密な対話の世界である。この非合理な野心作は、AMGの魂の在処を克明に示している。
【画像30枚】カーボンパーツとロールケージが語る本気度。純粋なFRクーペへと進化した「CLE 646」の全貌

































