コラム

【インタビュー】フックスジャパンが千葉に新工場を建設。BtoC展開を加速させる“世界最大”の独立系オイルメーカーの新戦略とは〈PR〉

フックスジャパン代表取締役とフックス APEC統括責任者を兼務するルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏。

年間1万トン規模の生産拠点からアジア全域へ。ルーベン社長が語る「日本最重要拠点」への熱き想い

メルセデス・ベンツとの戦略的業務提携を続けるかたわら、FUCHS(フックス)はグローバルな成長を続け、今では世界中の自動車メーカーやカスタマーへ最適解を提示し続けている。その象徴となるのが、フックスジャパンによる千葉工場建設と、日本市場へ向けたコミュニケーションの強化だ。日本法人のみならず、インド、アジア地区全体を統括するルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏は、日本を最重要拠点だと位置付け、これらの施策にあらためてアクセルを踏み込む。そんな彼が牽引するフックスジャパンの近未来像に迫る。

年間1万トン規模の新工場を日本(千葉)に新設

前編では「FUCHS(フックス)」とメルセデス・ベンツとの戦略的業務提携を軸として、両社の協力体制について述べた。しかしフックスはメルセデス・ベンツに限らず、世界中の自動車メーカーやそのユーザーたちに向けて最適な潤滑油を提供する、世界最大の独立系潤滑油メーカーだ。

なかでも日本市場には力を注ぐ。日本法人であるフックスジャパンの設立は1975年にまでさかのぼる。長らく産業用や自動車メーカー向け(OEM)といった企業間取引(BtoB)が主体だったが、近年はダイレクトに消費者へと製品を届けるBtoCを促進する。

フックスの主力である乗用車用エンジンオイル「TITAN(タイタン)」シリーズ。

フックスの主力である乗用車用エンジンオイル「TITAN(タイタン)」シリーズ。

その象徴的な取り組みが、千葉工場の新設だ。日本では、伊賀工場に続くふたつ目の製造拠点となる。すでに1万8000㎡もの土地を確保し、2027年から建設を開始。遅くとも2029年までの完成を目指す。計画される生産能力は年間1万トンほど。世界中で35以上ある製造拠点のなかでは中規模程度だというが、それでも大型工場であることに変わりはない。

生産能力の拡大と、ユーザーコミュニケーションの強化

フックスジャパンの代表取締役を務めるルーベン・エブナー氏は、新工場建設の意味と意義について、まずはこう切り出した。

「私たちは世界中どこであっても、同じクオリティのものを製造し、安定的に供給することをポリシーとしています。このたび日本での生産能力を強化することで、これまで輸入に依存していた部分も現地生産に置き換わり、迅速なデリバリーや価格安定性を含めて、供給能力の向上につながります。とくに昨今のような社会情勢の不安定さのなかでは、現地生産による安定供給は、このうえない武器となります」

フックスジャパン代表取締役とフックス APEC統括責任者を兼務するルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏。

加えて注力するのが、日本市場に特化した製品展開だ。ルーベン・エブナー氏の言葉にあるように、製品自体は世界中どこで生産したものであっても、同じ成分と品質が貫かれる。日本特化型というのは、日本に流通する一般的なパッケージ(オイル缶)に置き換えたり、物流インフラに適した荷姿に整えたりすることで、広く日本へと行き渡らせようとするものだ。自動車メーカーへの納入や、正規ディーラーへ卸すだけではない。日本の量販店などにも、より浸透させようとする意志がある。

「新工場には最新の製造インフラを導入するほか、テクノロジーセンターも併設する予定です。一般の方々に向けたプレゼンテーションや、我々の技術に触れる実体験をしていただくような施設となるでしょう。そういう場所があることによって、私たちもまたお客様からのリアルなご意見を聞くことができる。親身になって寄り添うことで、よりよい製品づくりに役立てたいと思っています」

2026年1月、カスタムカーの祭典「東京オートサロン2026」にフックスジャパンが初出展。

2026年1月、カスタムカーの祭典「東京オートサロン2026」にフックスジャパンが初出展。

こうしてユーザーとのコミュニケーションの場を設けようとするいっぽうで、2026年にフックスジャパンは東京オートサロンに初出展し、その存在感をアピールした。日本を代表し、世界的にも注目を集めるカスタムカーの祭典への出展は、今後も継続させるという。

生産能力の拡大と、ユーザーコミュニケーションの強化。この両輪を回すことでフックスジャパンは、自社の技術を、より広く、より深く日本へと浸透させようとしている。

技術、カルチャーともに、日本とドイツの橋渡し役へ

千葉の新工場建設は、ほかにも目的がある。フックスの製品は、今では約1万8000点もあるという。我々が普段は意識することのない部分――たとえばショックアブソーバーフルードなどにもフックス製が使われる事例は多々あるという。そうした多品種の製品を現地生産することで、より自動車メーカーや正規ディーラーとの関係強化を図る。

「とくに日本は技術的なリーダーであり、日本車はアジアのあらゆる国で活躍しています。だから千葉で生産した製品を広くアジア諸国へと輸出することも念頭に置いています。日本には自動車を生産する拠点も多々ありますので、そうした意味でもこの新工場はとても相性がいい。日本の自動車産業全体を活性化させる一助になりたいと願っています」

フックスジャパン代表取締役とフックス APEC統括責任者を兼務するルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏。

ルーベン・エブナー氏は、フックスジャパンの代表取締役社長でありながら、地域統括バイスプレジデントとして、インド、東南アジア、韓国も同様に担当している。常にグローバルな視点で物事を捉え、大陸を渡り歩きながら経営する彼は、確かに日本を最重要拠点だと捉えていた。その姿勢を象徴するのが、新工場の建設と、日本の消費者へ向けた新たな訴求だ。

それはドイツと日本の技術、ともすればカーカルチャー全体が融合し始めているようにも映る。その融合の鍵を握るもの――それこそがフックスの“潤滑”である。

■フックスジャパン 連載記事一覧

・「ドイツ車にはドイツのオイルを」名門フックスとメルセデスの深い縁。名店が推す公認の安心と、Cクラスで味わうシルキーな走り
・全国からメルセデスが集う埼玉の名店「オートフィールド」──愛車を末永く楽しむ賢い修理術と、プロがフックス製オイルを選ぶ理由
・走行24万km車の試乗で証明。VWゴルフ2専門店「スピニングガレージ」がフックスと築く名車維持のエコシステム
・不調の“迷宮入り”を防ぐオイル界の「メートル原器」。VWゴルフ2専門店がフックスに託す理由
・【インタビュー】メルセデス・ベンツとの「化学反応」。独・フックスが貫く「潤滑油専業」の矜持と、EV時代への“潤滑”戦略
・【インタビュー】独・潤滑油の巨人「フックス」が東京オートサロン初出展。世界最大の独立系ブランドは、なぜ今、日本の「現場」を選んだのか?

フォト=佐藤亮太/Ryota Sato、篠原晃一/Koichi Shinohara(TAS)

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