国内試乗

【試乗】航続距離771kmを実現! メルセデス・ベンツ新型「CLA」BEV版が2速トランスミッションと後輪駆動で手に入れた「極上の滑空感」と走りの楽しさ

電動化とデジタル化を推進する新世代アーキテクチャー

ICE版からやや遅れて国内導入がスタートしたBEV版のメルセデス・ベンツCLA。最新世代のプラットフォームをはじめ、パワートレインやシャシー、デジタル体験までを刷新した今度のCLAにとっては、むしろこちらが本命。では、その完成度の高さとは?
【画像18枚】FFから後輪駆動へ。BEV版「メルセデス・ベンツCLA」が2速トランスミッションで手に入れた極上の滑空感とスポーツ性
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メルセデス・ベンツの新世代コンパクトモデル、CLAのBEV版「CLA with EQ Technology」が日本に導入された。新開発のMMA(メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャー)を採用し、電動化とデジタル化を大きく進めた意欲作だ。

ICEと同様にボディタイプは4ドアクーペとシューティングブレークの2種。スタイリッシュなボディは空力特性にも優れ、特にBEV版のwith EQテクノロジーはCd値0.21を達成。771kmと足の長い航続距離にも大きく貢献している。

試乗したCLA250+は最高出力200kW、最大トルク335Nmのモーターをリアに搭載する後輪駆動モデル。85.5kWhのバッテリーを搭載し、WLTCモードで771kmという長い航続距離を実現している。

2速トランスミッションがもたらす伸びやかな加速

技術的な見どころは800Vの高電圧システムと、リアアクスルに組み込まれた2速トランスミッションだ。低速側では力強い加速を、高速側ではモーターの回転数を抑えて効率を高める。単速ギアが主流のBEVで、高速電費改善を狙って2速化したのが特徴だ。

BEVを主軸としつつICEにも対応する新世代プラットフォーム(MMA)を採用。仕向け地からのニーズに合わせた柔軟なパワートレイン展開を可能にしている。

アクセルを深く踏み込めば、BEVらしい鋭いレスポンスと力強い加速を披露する。通常走行では変速をまったく意識させないほどスムーズだが、強い加速時に注意深く観察してみると、100km/hを超えたあたりでシフトアップの瞬間を感じ取れる。とはいえ加速の滑らかさが損なわれることはない。速度が高まっても伸びやかに加速が続くのが印象的だ。

BEVの恩恵を「運転する楽しさ」へ昇華

ハンドリングも想像以上によかった。BEVならではの低重心と良好な前後重量配分を活かし、サスペンションを必要以上に硬くすることなく、高い操縦安定性を実現している。ステアリング操作に対して素直に向きを変え、FFのエンジン車のようなノーズの重さがまったく感じられない。

BEV版のフロントグリルは142個のLEDで表現したスターパターンを採用。

さらにコーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込むと、後輪からグイッと押し出されるような感覚が気持ちいい。駆動と操舵の役割が分かれたRWDらしい素直さがあり、加速しながらも高い旋回性能を発揮する。安定性だけではなく、積極的に走らせる楽しさも備えているのだ。

前後ライトのスリーポインテッドスターをモチーフとしたライトシグネチャーも新しい試みだ。

優れた静粛性とグライダーのような「滑空感」

それでいて乗り心地も上質だ。高速道路の継ぎ目を通過すると、タイヤが段差を乗り越える音は聞こえるものの、身体に伝わる突き上げはごく小さい。入力を巧みに吸収し、その後の車体の動きも落ち着いている。ハンドリングと乗り心地を高い次元で両立している。

まず目を引くのは左右一杯に広がるMBUXスーパースクリーン。さらにドアセンターパネルやセンターコンソールをフローティングデザインとすることで、全体にモダンで軽快な室内空間を演出する。自社開発となるOSとMBUXにより、最新のデジタル体験を提供。

静粛性についてはメルセデスBEVのフラッグシップ、EQSのように外界から隔絶された感覚ではない。速度が高まれば風切り音も聞こえ、路面の違いによってロードノイズの音質も変わる。しかし、いずれも耳障りではなく、走行音全体のバランスがいい。何もかも遮断するのではなく、不快な音を抑えながら自然な走行感覚を残している。

荷室容量は通常時で405L、最大で1290Lまで拡大可能。

もうひとつ印象的なのが、アクセルを戻したときの振る舞いだ。回生ブレーキの設定をD+にするとコースティングが主体となり、まるでグライダーが滑空するようにスーッと転がり続ける。機械的な抵抗がきわめて小さく感じられ、速度がなかなか落ちない。この滑走感からは動的質感の高さが感じられ、じつに気持ちいい。

さらに便利なのがD Autoで、前方にクルマがいなければコースティングし、先行車との距離が縮まれば自動的に回生減速を行う。高速道路はもちろん、市街地で交通の流れに乗って走るときにも使いやすい。

新デザインのホイールは18インチが標準で、パッケージオプションで19インチも選べる。

CLAの魅力は、単に電費性能が優れているだけではない。効率を高めるために磨き上げた駆動系が、抵抗感のない滑らかな走りという感性的な価値にもつながっている。さらにBEVならではの資質を活かして高いシャシー性能も実現した。電動化のメリットを運転する楽しさにまで結びつけたところに、新世代メルセデス・コンパクトのポテンシャルの高さが表れているのだ。
【画像18枚】FFから後輪駆動へ。BEV版「メルセデス・ベンツCLA」が2速トランスミッションで手に入れた極上の滑空感とスポーツ性
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【Specification】メルセデス・ベンツCLA 250+ with EQテクノロジー

■車両本体価格(税込)=7,750,000円
■全長×全幅×全高=4725×1835×1470mm
■ホイールベース=2790mm
■車両重量=2040kg
■駆動方式=RWD
■モーター種類=交流誘導電動機
■最高出力=272ps(200kW)/5750-10000rpm
■最大トルク=335Nm(34.1kg-m)/0-5635rpm
■バッテリー容量=85.5kWh
■一充電走行距離(WLTCモード)=771km
■サスペンション形式=前:3リンク、後:マルチリンク
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ=前:255/40R18、後:255/40R18

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photo=望月浩彦/H.Mochizuki

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