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【Tipo】イタリアの風を感じて走りたい! 痛快なヤングタイマーイタ車オープン『マセラティ・スパイダー・ザガート』編

オープンカーほど趣味性が高く、なおかつ各モデルのキャラが濃いクルマも無いだろう。それゆえ旧モデルでも、いや、だからこそ得られる快楽もまた格別だ。ここではイタリアのヤングタイマーなオープンに着目してみよう。後編はマセラティ・スパイダー・ザガートをピックアップ!

前編の『アルファ・ロメオ・スパイダー・ヴェローチェ』はこちら

往時の最高峰の仕立てと技術を今、味わう贅沢

一方のマセラティ・スパイダー・ザガートは、クーペのビトゥルボをベースにカロッツェリアのザガートがオープン架装をした一台。ホイールベースをクーペより114mmも短縮することで、コンパクトにまとめられている。直線基調で角張った独特のスタイルは、スポーツを全面に押し出していないところがかなりシブく映る。

そんな感覚をさらに加速させるのがエンジンだ。V6 2.8Lのツインターボを搭載し、ミッションはマニュアルときている。見た目とは裏腹に中身は本気なままなのだ。エンジンをスタートさせれば野太いエキゾーストノートが展開され、力強い走りが予感させられるものだった。風にさらされてそれを聞けば期待は膨らむ。

【写真10枚】優雅さの中に豪快さを秘めた“羊の皮を被った狼”『マセラティ・スパイダー・ザガート』の詳細を写真で見る

しかし、残念ながら撮影当日はコンディションがイマイチで街中を流すのが精一杯だ。けれども、そんな状況下であってもこのクルマの良さは伝わってくる。ウッドを配したインパネや金縁のアナログ時計、心地良い肌触りが伝わってくる革シート、さらにはクッション性抜群のアームレストなど、高級感はハンパじゃない。スポーティさだけでなく優雅な空間演出もこのクルマの魅力だろう。

そしてドッシリとした重みが伝わるステアリングや、カチッとした節度感とストロークが短めに抑え込まれたシフトフィールなど、走りを意識した仕上がりがこれまたいい。オープンボディを言い訳にしない骨太な感覚は、もちろん現代のクルマに比べれば貧弱ではあるが、この時代のオープンカーとしては充実している部類と言える。

本調子ならそこに豪快な加速が加わるというのだから……。ゆっくり流してもすっ飛ばしても楽しめそうな仕上がりは、さすがはマセラティ。その分、お値段は450万円(取材時)とお高いが、控え目な格好ながらも、実は中身が凄いというイタリア版“羊の皮を被った狼”は、かなり魅力的に映る。

ただ、今回のマセラティのように、経年劣化によるトラブルはある程度覚悟しておいたほうがいいだろう。今回のクルマはおそらくタービンブローとのこと(売るまでには直すそうです)。タービンも消耗品なのだからそれも仕方なし。それ以外にもウインドーレギュレーターが曲線を描いているのに、ガラスが真っ直ぐで、動かすたびにレギュレーターに負担がかかって壊れるといったトラブルもあるらしい。アルファについてはATが壊れることも多いと聞く。ただ、そこときちんと向き合い、クルマに負担をかけない走りでも十分に楽しめるのがオープンモデルの良いところ。街中をちょっと流すだけでも十分に満足できる、それがイタリアン・オープン中古車の世界。完璧を求めず、ユルくクルマと向き合えば、いつまでも楽しめるだろう。全体的にちょっとヌケているところもカワイイと思える、許せるという方々に、ぜひトライして欲しいクルマ達だ。

【Specification】マセラティ・スパイダー・ザガート
■全長×全幅×全高:4040×1710×1310mm
■ホイールベース:2400mm
■トレッド(F/R):1460/1455mm
■車両重量:1100kg
■エンジン:V型6気筒SOHCツインターボ
■総排気量:2790cc
■最高出力:250PS/5600rpm
■最大トルク:39.2kg-m/3600rpm
■サスペンション(F/R):ストラット/セミトレーリングアーム
■ブレーキ(F/R):Vディスク/ディスク
■タイヤ(F/R):205-50VR15/225-50VR15

撮影:山田真人 協力:GAISYA-YA ティーポ361号より転載

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