ランボルギーニ

ランボルギーニ・ジャパン代表に訊く、ファイティングブルのイマとミライ

世界中でランボルギーニが販売好調だ。それは日本も例外ではなく、2023年納車された1万112台(前年10%増)のうち、日本は世界6位の660台を記録。好調の理由、今後の展望などを訊いてみた。

2018年にデビューしたウルスをランボルギーニはスーパーSUVと表現。真横のフォルムはカウンタックを想起させる。

SALES:世界的に販売好調

―世界的にも日本でも、販売好調が続いています。日本で好調の要因をどう分析されていますか?

ダビデ・スフレコラ氏(以下S):昨年(2023年)、アウトモビリ・ランボルギーニは創立60周年を迎え、年間で1万台を超える納車を初めて達成しました。最終的な販売台数は1万112台となり、2022年比で10%の増加を記録しました。昨年は、日本で660台を販売し、アウトモビリ・ランボルギーニにとって日本は世界で5番目の販売台数を誇る市場となり、大変満足しています。当社のチーム、ディーラー、そして当然ながらお客様を含め、この偉業に関わったすべての皆様に心より感謝いたします。

Automobili Lamborghini Head of Japan Davide Sfrecola アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン代表 ダビデ・スフレコラ氏=2016年にランボルギーニ入社。シンガポールのアジア太平洋地区オフィス東南アジア担当のエリアマネージャーを務め、2020年より現職。

ランボルギーニはどのモデルも非常に高い評価を頂き、日本市場においてはスーパースポーツカーとスーパーSUVのウルスを非常にバランスよく納車させて頂いております。これは、ニーズに応じて、純粋なドライビングプレジャーを満喫したい、あるいはドライブを楽しみながら、同時に快適性を追求したい、あるいはスーパーSUVを選択したいなど、ニーズに応じて幅広いお客様にランボルギーニを提供できるのは、こうした背景があるからだと思います。

加えて、クルマのカスタマイズレベルも高まり、これは私たちのビジネスの大きな柱のひとつとなりました。どのランボルギーニもすべて高度にカスタマイズされており、それぞれお客様の個性、スタイル、好みに応じて独自の構成に基づいて作られています。

1963年にフェルッツィオ・ランボルギーニがイタリア・ボローニャ郊外の小さな町、サンタガタ・ボロネーゼで創業したランボルギーニ。2023年で創業60周年を迎えた。

―日本のオーナーは、どんな特徴があると思われますか?

S:日本のオーナーの皆さまは、スーパースポーツカーとランボルギーニ・ブランドに深い情熱を注いでくださっていると感じます。日本におけるスポーツカー文化には長い歴史があり、長年にわたって育まれてきた多くの知識と愛があります。特に、アウトモビリ・ランボルギーニに対しては非常に好意的な姿勢を示してくださいます。誰もがランボルギーニのオーナーとしての誇りを持っておられ、私たちはお客様やファンの方々と良い関係を築くことができています。また、もうひとつの特徴は、それぞれが際立った個性を持ち、自分が所有するクルマに情熱を注いでいることです。アジアパシフィック地域では、日本はカスタマイズの度合いが最も高い市場のひとつと認識しています。

ランボルギーニにとって、カスタマイズはこれまでも、そしてこれからも、お客様に喜ばれるサービスのひとつです。ランボルギーニを購入することは、通常、感情的な要素と結びついています。私たちのお客様は、ランボルギーニが提供するドライビング体験、感情を高く評価していただいております。アド・ペルソナム・プログラムは、すべてのお客様に夢のクルマ、他にはないクルマを創造していただけるので、今後も人気が続くでしょう。ランボルギーニのお客様の多くは複数台のクルマを所有しており、そのほとんどが自分のスタイルや好みに合わせて夢のランボルギーニをカスタマイズしています。

ランボルギーニのカスタマイズはアド・ペルソナム・プログラムと呼ばれ、ディーラーなどに専用のコーナーがある。

―ランボルギーニ・ジャパン代表になられてから、4年目に突入していますが、その間に日本市場で力を入れたことと、これからさらに力を入れていきたいことがあれば教えてください。

S:アウトモビリ・ランボルギーニは創立60周年を迎えた昨年度、さまざまなチャレンジをしてきました。60周年を記念したセレブレーションは、日本から始まりました。CEOであるステファン・ヴィンケルマン氏が日本を訪れ、鈴鹿サーキットで開催された記念イベントに参加しました。そこでは『Largest parade of Lamborghini cars(最大のランボルギーニ車パレード)』のギネス記録に挑戦し、見事に達成しました。

2023年2月23日に鈴鹿サーキットで、世界に先駆け60周年イベントを開催。パレードランでは251台が走行しギネス認定を受け、来日したステファン・ヴィンケルマンCEOが認定証を受け取った。

ランボルギーニは憧れのクルマとして誕生し、すべてのお客様にとって常に夢のような素晴らしいクルマであり続ける必要があります。ランボルギーニは日本でとても人気があることは知っていましたが、ランボルギーニ・ブランドに対する日本のお客様の強い情熱は、特にイベントなどでお客様と接し、関わっているときに本当に感じます。ランボルギーニのオーナーの皆さまだけでなく、幅広い年齢層の方々に愛されていることを、日本で開催した多くのイベントから実感しています。

特に日本にある、ランボルギーニ・ラウンジ東京はランボルギーニのライフスタイルへの最初の入り口であり、新しいランボルギーニのオーナーへのパーソナルな引き渡しの場でもあります。2階と3階は、ビジネスやプライベートの両方で使用できるイベントやミーティング向けの特別なスペースとなります。ご利用いただくすべての方にユニークな体験をお約束し、ランボルギーニのアイコニックなブランドのユニークなスタイルとデザインの特徴を体現しています。

六本木にあるランボルギーニ・ラウンジ東京。我々にとってはプレスイベントの場としてお馴染みで、オーナーにはランボルギーニのライフスタイルの入り口として、様々な役割を担っている。

東京の中心部にありながら、サンタガタ・ボロネーゼの魂を感じるこの空間で、本物のイタリア・ランボルギーニの雰囲気を楽しんでいただきたいと考えています。これは、当社のブランドDNAとイタリアの文化的アイデンティティを維持しながら、革新に対する当社の姿勢を反映しています。ラウンジの洗練された親密な環境は、ランボルギーニの本質を表現しており、ゲストの皆さまとの強力かつ熱狂的なつながりを築き、一人ひとりにランボルギーニ・ブランドの比類のない魅力を垣間見ることができます。

そしてもちろん、クラス最高のアフターセールス・サービスを通じてクルマを完璧な状態に保つことも夢の一部であり、これは非常に重要なことです。

私たちはカスタマージャーニーにおけるこの分野をシームレスかつ優れたものにすべきであると確信しています。当社の取り組みの証拠として、当社は既存のパートナーと協力して、昨年北海道に新しいサービス施設を開設し、日本全国でアフターセールスの存在感を強化しています。

2023年7月に北海道エリア初の拠点としてランボルギーニ札幌が誕生。日本で10ヵ所目となり、北海道のオーナーをサポートする。

ランボルギーニは、お客様との関係をクルマを販売して終わりにするのではなく、ランボルギーニを所有する旅のあらゆる段階で、常にお客様に寄り添い、比類のないオーナーシップ体験をお約束します。ランボルギーニは、最高のパフォーマンスとハンドリング、個性的で先見性のあるデザインを備えたモデルを提供するだけでなく、正規サービスセンターでは、イタリア本社のトレーニングプログラムを受けたテクニシャンによるメンテナンスを行い、クルマの性能を最大限に引き出し、お客様に常に最高のドライビングエクスペリエンスを提供します。

MODEL:電動化が着実に進行

―今年は新たなプラグインハイブリッドモデル、2028年にはランボルギーニ初のフルEVモデルが登場します。ハイブリッドや完全電動モデルであってもランボルギーニらしさを維持していくためには、どんな要素(DNA)が必要だと思われますか?

S:レヴエルトの驚異的な成功によって、ランボルギーニらしい方法で電動化を実現できることが証明されています。動力と感動的な自然吸気(NA)V12エンジンに、パワフルな3基のモーターを組み合わせたこのモデルは、日本のお客様に広く評価されています。

今年は、スーパーSUVであるウルスに初のハイブリッドモデルを、またウラカンに代わる2台目のPHEVを発売する予定です。昨年のモントレー・カー・ウィークで発表したコンセプトカー、ランザドールに先駆けて、初の完全電気モデルの発売は2028年に予定されており、続いてランボルギーニ初の完全電気スーパーSUVは2029年に発売される予定です。フル電動ランボルギーニは、ブランドのDNAである、クラス最高のパフォーマンス、個性的でピュアなデザイン、エモーショナルな動的挙動といった核心を維持しなければなりません。つまり、目隠しをして車内に座らせても、それがランボルギーニであることがはっきりとわかるものです。

2023年8月に発表された第4のモデルを予感させるコンセプト、ランザドール。2+2GTのピュアEVで、2028年市販予定。そのシルエットは、カウンタック愛で知られるデザイナー、ミィティア・ボルケルト氏(写真)らしい部分。

ランボルギーニは夢のクルマとして生み出され、私たちは継続的にアイコニックな製品をお客様に提供するために全力を尽くしていきます。進化し続ける性能、運転する楽しさ、時代を超えたデザインを備え、あらゆる世代のお客様に愛されるスーパースポーツカーを作り続けるというDNAを忠実に守りながら今後も取り組んでまいります。

―21世紀に突入後のランボルギーニの躍進は、ヴィンケルマン氏の功績が大きいと思います。ヴィンケルマン氏をどんな方だと感じていらっしゃいますか?

S:ヴィンケルマン氏の先見の明と強力なリーダーシップの下で、アウトモビリ・ランボルギーニが長年にわたり大きな成功を収めてきたことは否定できません。『コル・タウリ(Direzione Cor Tauri)戦略』は、ヴィンケルマン氏のビジョンと、全従業員の献身的な努力の結果のひとつです。

ヴィンケルマンCEOが掲げるランボルギーニの未来戦略は、『コル・タウリ』と呼ばれる。今年2月には2030年までに企業のCO2総排出量を、自動車1台あたり40%削減することを目指すと発表した。

コル・タウリ戦略に沿って、電動化と脱炭素化に向けた道筋をさらに具体化しながら歩んでいます。ランボルギーニは今後も日本に限らず、すべての市場でこの戦略に従った活動を実行します。

―2024年日本市場のモデル計画、予定されているイベントなどがあれば教えてください。

S:先ほど申し上げたとおり2024年は、スーパーSUVであるウルス初のハイブリッドモデルをまずは上半期に、そして、全モデルでの電動化を実現する戦略の一環として、ウラカンに代わる2番目のPHEVを発売する予定で、言うまでもなく、日本のお客様やメディアの皆様にお披露目させて頂きます。さらに間もなくレヴエルトの納車が始まります。V12エンジンと3基の電気モーターの組み合わせで最高出力1015HPを発揮するレヴエルトは、日本の路上を走る準備を整えています。

またこの4月には、ランボルギーニのオーナー様が愛車と共に日本全土の美しいロケーションを巡るドライビングツアーとして恒例となった『Lamborghini GIRO JAPAN』を開催します。今年は沖縄を訪れ、参加者の皆様が、青い海の美しい景色を眺めながら、爽快なドライブを楽しむ極上のひとときを過ごされることでしょう。

昨年、鈴鹿のパレードを起点に、3日間かけて50台以上が京都と奈良を巡るGIROを開催。今年は4月に沖縄で開催となる。

今年もランボルギーニはエキサイティングなアクティビティや特別なイベントを通じて、お客様との交流を深めていくとともに、日本のランボルギーニ・ファミリーの一員として、より多くのオーナーの皆様をお迎えしていきます。

―最後に、個人的に好きなランボルギーニを1台だけ選ぶとしたら、どれになりますか? 理由も合わせて教えてください。

S:ランボルギーニ従業員のお気に入りのモデルは、いつでも”次のモデル”なのです。私たちは、常に未来に向けて全力で取り組み、より優れた製品と体験を皆さまにお届けするため努力しています。

とはいえ、ランボルギーニの歴代モデルでは、個人的にはカウンタックに惚れ込んでいますし、このクルマがランボルギーニだけではなく、スーパースポーツカーの世界全体にとって偉大な存在であることが素晴らしいですね。

ランボルギーニ・カウンタック、こちらはそのファーストモデルであるLP400。

そして現時点で運転したいのは、レヴエルトです。このモデルは、過去と未来、レガシーとイノベーションの完璧な融合によって誕生し、ランボルギーニの象徴である自然吸気式V12エンジンの感動と最先端の電動駆動を両立させています。これは、古くから伝わる慣習や歴史が、イノベーションや現代性と一体化している日本と完全にマッチするコンセプトであり、魅力的なルックスを備え、非常に楽しくドライブできるクルマとなっているからです。

Lamborghini Urus Performante:最強のスーパーSUV

ウルスのハイパフォーマンスモデル、ペルフォルマンテに今回初めて乗って思ったのは、作り手が『ランボルギーニはこうありたい』という理想を具現化したのではないかということ。力強く、マッシブで、誰にも負けないという競争心があり、巨大な体躯は背の低いV12やV10モデルよりもむしろ猛牛(ファイティングブル)と呼ぶに相応しいと感じた。

現在スーパーSUVのウルスは、進化版のウルスSとウルス・ペルフォルマンテの2グレード構成。ペルフォルマンテのパワーユニットは4リッターV8ツインターボで、666HPを計上。0→100km/h加速は3.3秒。47kg軽量化されたほか、ダートトラック用にラリー・モードを新設した。

Lamborghini Revuelto:ランボルギーニのDNAを体現

2023年3月にワールドプレミアとなった新世代V12モデル、レヴエルト。その特徴は何と言ってもランボルギーニ初のハイパフォーマンスEVと呼ばれ、3基のモーターを組み合わせ1015HPもの出力を発揮すること。もちろん歴代モデルのDNAを体現するスタイルも有し、発表わずか数ヵ月で2年を超える生産枠分の受注を獲得。日本での納車開始も迫っているという。

6.5リッターV12は、フロントの駆動を左右2基のモーターが担うためプロペラシャフトが不要となり、搭載方向を180度回頭。アヴェンタドールよりも17kg軽量化されたのも特徴だ。モーターはリアにも1基搭載するPHEVとなる。トランスミッションは8速DCTを組み合わせた。

Campaign:6月30日までアフターセールスキャンペーン実施中

アウトモビリ ランボルギーニ ジャパンは、6月30日までふたつのアフターセールスキャンペーンを実施中。まず『WELCOME BACK TO LAMBORGHINI』は正規ディーラーで購入し、2022年10月1日以降正規ワークショップに入庫していない車両が対象で、無料点検、引き取り&返却などを特別提供するもの。一方の『LAMBORGHINI ORIGINAL』は工場出荷時に戻したい方に特別価格でパーツ提供などを行うものとなる。詳しくは以下まで問い合わせを。
TEL=0120-988-889(9:00~19:00/土日も受付)

取材協力=アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン
https://www.lamborghini.com/jp-en

フォト=内藤敬仁、ランボルギーニ photo=T.Naito、Automobili Lamborghini S.p.A.
平井大介

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