
最先端技術とスカンジナビアンデザイン、快適性の融合
デビューが予告されていたボルボのニューモデル、「ES90」が発表された。この新型車は同車のEVの中でも最上級セダンと位置づけられるが、これについてボルボは「セダンの洗練されたエレガンス、5ドアクーペの汎用性、SUVの広々とした室内空間と高い最低地上高を兼ね備え」たものだと説明している。
【画像44枚】ボルボ最新フラッグシップEVの全貌を細部まで確認する
ES90はボルボのラインアップにおいて、EX90、EM90、EX40、EC40、EX30に続く6車種目のEVであり、同社では「完全な電動化へ向けて着実に歩みを進めるもの」としている。受注はオーストリア、ベルギー、チェコ共和国、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国で開始され、その他の市場では今年後半から2026年にかけて順次展開予定とのこと。
自信に満ちあふれ、際立つ個性
ボディ全体のプロポーションについては、「流れるようなルーフラインは、エレガントな外観と室内空間をバランスよく融合させ、優れたエアロダイナミクスを実現することで、総合的な効率性と航続距離を向上」させるものだとボルボは説明している。
フロントにはトールハンマーのヘッドライトデザインを採用し、ボルボのアイデンティティを表現。リアにはC字型のLEDリアランプが装着され、リアウィンドウのLEDランプとの組み合わせで、ウェルカム&フェアウェルライトのシークエンスを演出する。エクステリアカラーは7色と、ホイールは20インチから22インチまでの4種類を用意。
大きく開くテールゲートを持った荷室は、最大424Lの積載スペースを確保。3つのリアシートは個別に折り畳め、すべてを倒すと積載スペースは733Lに拡大。フロントには22Lのトランクが備わり、充電ケーブルの収納に最適とされる。
キャビン全体に広がる快適性と機能性
車内のデザインは「プレミアムな快適性、本物の素材、そして目的にあったデザイン」を重視したとのことで、「ボルボの真髄であるスカンジナビアのアイデンティティとデザインの原則に沿っています」と説明されている。3.1mのロングホイールベースにより、2列目シートにも広々とした足元スペースを確保し、快適な移動空間を実現したとのこと。6種類のアンビエントライトテーマが感覚的な心地よさを演出するほか、シート素材のオプションも多数用意され、自分好みにパーソナライズすることが可能だという。
最大99.9%のUVカット付きパノラミックルーフも装備されるほか、エレクトロクロミック(電気調光)仕様を選ぶとガラスの透明度を調整することも可能。さらに、4ゾーンクライメートシステムと最先端の空気清浄機能を搭載、このシステムは喘息やアレルギーに効果的と認定されているとのこと。PM2.5微粒子のキャビン内への侵入を最大95%防ぎ、草、木、花粉のアレルゲンを99.9%除去するとしている。
静粛性にもこだわって作られたとのことで、「これまでのボルボ車で最も静かなキャビンの一つ」だという。これにより一層楽しむことができるというサウンドシステムは3つのレベルを用意。最上位モデルにはBowers & Wilkinsサウンドシステムを搭載、ヘッドレストや天井のスピーカーを含め、キャビン全体で25スピーカーとなる。Bowers & Wilkinsシステム限定の特別モードでは、あのアビーロードスタジオのサウンドが再現されているという。
Google内蔵の新世代インフォテインメント・システムも搭載されており、これにはGoogleマップ、Googleアシスタント、Google Playの各種アプリなどのサービスが含まれる。5G対応で応答性に優れるというこのシステムは、Qualcomm Technologies社のSnapdragon Cockpit Platformを搭載、9インチのドライバーディスプレイとヘッドアップディスプレイを通じて、運転に不可欠な情報を必要なときに提供するとのこと。
14.5インチのセンタースクリーンディスプレイでは、ナビゲーション、エンターテイメント、空調、電話などにアクセスが可能。また、狭い駐車スペースでの運転では360度カメラに対応した新しい3Dビューが必要に応じサポートするという。
継続的な改善を標準装備
ES90はSPA2アーキテクチャーをベースに構築されており、EX90と同様、ボルボ・カーズ・スーパーセット・テックスタックを基盤としているとのこと。これは統合型のハードウェアとソフトウェアのモジュールセットで構成されたもので、今後発売される同車の全EVの基盤になるという。
これにより、ライフサイクル全体を通じてクルマの総合的な性能と安全技術を向上させ、スーパーセットをベースとするすべてのモデルで無線アップデート(OTA)が迅速に展開できるとしている。
ボルボではこれについて、「スーパーセットは、コアコンピューティングによって実現され、ES90は、ボルボ車として初めてデュアルNVIDIA DRIVE AGX Orinコンフィギュレーションを搭載しています。コアコンピューティングの能力という点では、我々がこれまでに開発した中で最もパワフルなクルマです。これにより、データやソフトウェア、AIを通じて、安全性と総合的なパフォーマンスの水準をさらに引き上げていきます」と説明している。
電気システムとバッテリー技術
ES90には、ボルボの新しい800ボルトテクノロジーがES90で初めて搭載されており、より高速な充電、より優れた総合的な性能、さらに高い効率性を実現しているという。その結果、従来の同車EVよりも航続距離が長く、より高速充電できるクルマが実現したとしている。350kWの急速充電ステーションにおいて10分間で300kmの航続距離を追加でき、WLTPテストサイクルで最大700kmの航続距離を可能にしたとのこと。
ボディ全体のプロポーションも「クルマの効率性に貢献」するとされており、空気抵抗係数(Cd値)は0.25、これによってエネルギー消費の低減と航続距離の延長が可能になったという。
車内と車外におけるセーフ・スペース・テクノロジー
ボルボならではの安全への取り組みはES90においても同様で、同社の厳格な安全基準を満たすよう開発されたとのこと。この安全基準は、55年にわたる現実世界(実際の道路上)における安全調査に基づき策定されており、公的な試験要件を上回るものとされている。
具体的には、強力なセーフティケージ、最先端の乗員拘束システム、最適化された変形ゾーンが採用されており、アクティブセーフティシステムは、LiDAR 1個、レーダー 5個、カメラ 7個、超音波センサー 12個を含む、高度なセンサー群によって支えられているという。このセンサー群により道路上の衝突や危険の回避をサポート、また、ドライバーを把握し理解するシステムも標準装備され、ドライバーの注意が道路から逸れていることを検知するとサポートに入るとのことだ。
また、ES90のドア・オープニング・アラートは、ドアを開ける時に脇を通り過ぎる自転車や歩行者を検知し、保護するのに役立つという。また、ユーザーがクルマから離れる際には、フルキャビン乗員センシング機能が乳児の置き去りなども防ぐようサポート、このセンサーは、赤ちゃんの小さな呼吸のような0.1ミリレベルのわずかな動きまで検知するという。
※ES90の日本での導入時期は未定。