タイヤ

ハリアー&GLCで検証。SUV特有の“揺れ”を消すブリヂストンの最新タイヤ「ALENZA LX200」

SUV特有の「揺れ」と「濁点のある音」がおさまる!

ブリヂストンは用途ごとに多彩なタイヤブランドを展開するメーカーである。日本の道路環境を前提に性能を磨き込み、ユーザーの使い方に即した商品を送り出してきた点は同社の大きな特徴と言っていい。今回はそのなかでもプレミアムSUV向けとして人気を集める「ALENZA」シリーズの最新作「LX200」を、日常域に近い条件で試す機会を得た。

【画像21枚】これが次世代技術「ENLITEN」の実力。プレミアムSUVに上質な静寂をもたらす「LX200」の全容を見る

プレミアムSUVに求められる「快適」と「安心」の追求

その開発背景にはプレミアムSUV市場の拡大がある。現在、新車販売の3割強をSUVが占めるともいわれるなかで、ユーザーが求める価値は単なる走行性能だけではない。「快適な移動」と「安心・安全」を両立したタイヤへの期待が高まっているという。ALENZAはこれまでSUV専用ブランドとして「001」と「LX100」を展開し、そのポジションを確立してきたが、LX200はその最新世代にあたるモデルである。

コンセプトとして第一に掲げられたのは「上質なドライビング体験」の提供である。そのもとで、プレミアムクラスの重量級SUVにふさわしいハンドリング性能や静粛で快適な車内空間、雨天時の安心感の高い制動・操縦性能、さらに低燃費と再生資源の活用による環境負荷低減という4つの価値の実現を目指して開発された。

分子レベルでのゴムの構造最適化や新パターンの採用などにより、ハンドリングや快適性のほかにも(LX100比で)転がり抵抗は18%低減され、ウェットブレーキも15%短縮されたという。

次世代技術「ENLITEN」がもたらす革新的なアプローチ

その技術的な核となるのが、ブリヂストンの開発思想を包括する「ENLITEN(エンライトン)」技術である。これはタイヤの基本性能を総合的に高めながら、車両特性や用途に応じて性能要素を最適化していくという考え方だ。

今回のLX200では、開発目標である上質さと洗練を実現するため、「空気の張力を活かした柔軟性」に重点が置かれた。重量級SUVの高荷重を支えるには高い剛性を備えた構造が求められるが、LX200ではケース構造をしなやかに保ちながら空気圧の張力を積極的に活用することで剛性を成立させるというアプローチを採用。形状を均一に保ちながら路面入力を滑らかに受け止めることで、上質な乗り味を狙ったという。

トレッド面では消音性能の向上を目的にパターン構成を最適化。さらにゴム材料の構造最適化や新パターンの採用などにより、LX100と比較して転がり抵抗は18%低減、ウェットブレーキ性能は15%向上したとされる。

巨体を感じさせない素直なハンドリングと静粛性

その効果は、駐車場に設けられたパイロンスラロームの特設コースで試すとすぐに感じ取ることができた。先に試したLX100と乗り比べると、違いはステアリングを切り込んだ瞬間の応答に表れる。LX200では初期応答が軽く、巨体のSUVでもノーズがすっと向きを変える。スポーツカーのような鋭いクイックさとは異なるが、車体が外へ膨らむような感覚は抑えられ、姿勢は終始安定している。速度域は高くないものの、操舵に対する素直な反応と安定感は十分に感じ取ることができた。

乗り心地の面でも段差を越えたあとの収束が早く、余計な揺れを残さないのが美点だ。荒れた舗装路でもキャビンに伝わるざらつきは抑えられており、タイヤがしなやかに変形して振動をうまく吸収している印象である。

SUV向けとして専用設計されたこともあり、全体的な実力の底上げに成功したといえるLX200。特に快適性を重視するプレミアムSUVユーザーにとっては、現時点での最適解かもしれない。

静粛性の向上も見逃せないポイントである。LX200ではシングルブランチ型消音器と突き通しタイプを組み合わせることで消音・吸音性能を向上。結果としてロードノイズは16%低減されたというが、実際に走らせてみても段差を乗り越えた際に聞こえるドスンッドスンッという音の濁点がなくなり、路面から伝わる鈍い衝撃音や振動がうまく抑えられている印象を受けた。

車格を問わず引き出される「上質さ」と「余裕」

快適性に定評のあるメルセデス・ベンツGLCとの組み合わせでは、その持ち味をさらに引き出す方向に働いていた。一方でトヨタ・ハリアーやレクサスNXでもその傾向は共通している。操舵初期の応答は穏やかで、SUVらしい安定感を保ったままノーズが自然に向きを変える。段差通過後の収束も早く、路面のざらつきを穏やかに受け流す印象だ。車格の異なるモデルで試してみても、LX200の持ち味であるしなやかな乗り味と安定した挙動は共通して感じられた。

タイヤはクルマと路面を結ぶ唯一の接点であり、その性格は走りの印象を大きく左右する。その点でLX200は、快適性を軸にSUVの走りを穏やかに整えるタイプであり、日常域での移動に余裕をもたらし、派手さよりも質感を重んじるユーザーに向くタイヤといえる。

同日に試した「FINESSA」は幅広い車種をカバー(全55サイズ)するモデルだけあって、転舵時の抵抗が少なく、タイヤそのものがスッと走るような素直さと軽快感が備わっていた。

■問い合わせ先=ブリヂストン TEL0120-392936 https://tire.bridgestone.co.jp/

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フォト=ブリヂストン
桐畑恒治

AUTHOR

1973年生まれ。滋賀県出身。幼少の頃から自動車やオートバイに慣れ親しみ、気づけば自動車専門誌のスタッフに。以来、20年以上にわたり編集記者として国内外での取材を担当したのちに独立。軽トラックからスーパーカー、オートバイまで、とりあえずなんでも乗ってみる雑食系、もとい好奇心旺盛なモータリングライターとして活動中。

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