V12の優雅さをモーターで超えるか。新生ジャガーの挑戦
ジャガーは2026年3月31日、現在開発中の次世代フル電動モデルである「新型ラグジュアリー4ドアGT」に関する、最新の開発状況とスペックの一部を明らかにした。これまで1000ps超という最高出力がアナウンスされていたが、今回は新たに1300Nmを超える最大トルクや驚異的なシステム応答速度が判明したほか、正式なワールドプレミアが本年9月に行われることが明言された。
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1300Nmの奔流を「1ミリ秒」で御する、極めて知的なトルク制御
世界中の極端な条件や環境、そしてデジタル空間で過酷なテストを経て鍛え上げられているジャガーの新型4ドアGTだが、今回の発表で最も注目すべきは、その圧倒的なパフォーマンスの詳細だ。3モーターによる1000ps以上の最高出力に加え、1300Nmを超える強大な最大トルクを発揮することが新たに公表された。
インテリジェント・トルクベクタリングを搭載し、必要な時に必要な場所へパワーを配分する組み込みソフトウェアは、最短1ミリ秒という驚異的な速度で反応し、魅力的で満足感のある走りを提供するという。さらに、ダイナミック・エアサスペンションとツインバルブ・アクティブダンパーが連携することで乗り心地を洗練させ、いかなる状況でも妥協のない落ち着きを実現しているとのこと。
新たな伝説の羅針盤となった「スピリット・オブ・ジャガー・ドライブ」
驚異的なスペックを生み出す開発過程において、エンジニアたちが取ったアプローチも今回初めて明らかになった。彼らは新型GTの開発にあたり、ジャガーのダイナミックな本質を理解するため、2023年5月に過去の象徴的な名車を運転する「スピリット・オブ・ジャガー・ドライブ」を実施したのである。
JLRのビークル・エンジニアリング・ディレクターであるマット・ベッカーは、過去の偉大なモデルのハンドルを握るという珍しいアプローチをとった理由を、真のジャガーの証であるパフォーマンスと快適さの完璧な調和を新モデルに実装するためだと語っている。
V12エンジンの余裕と包容力。名車が示した電動GTへの道標
エンジニアたちはXK120、Eタイプ、XJクーペV12、XJS、そしてXJシリーズIといった数々の名車をテストに持ち込んだ。それぞれのモデルが直感的な証明を果たしたなかでも、新型4ドアGTのドライビングダイナミクスに最も大きなインスピレーションを与えたのが、パフォーマンスと快適さを高次元で融合させたXJクーペであったという。
V12エンジンによる常に余裕のあるパワーと、高級サルーンのようにドライバーを包み込むシャシー性能が、新たな電動GTの指針となった。また、EVデザインの常識に挑む長いボンネットと低いルーフラインの採用も、これら過去の偉大なモデルとの明確な視覚的つながりを示すものとされている。
「運転は喜びであるべきだ」創設者の哲学を体現する新生GT、9月デビュー
ジャガーの創設者であるウィリアム・ライオンズ卿の「運転は義務ではなく喜びであるべきだ」という哲学を現代に蘇らせる新型4ドアGTは、今年9月にその全貌が公開されることが正式に予告された。
2024年12月に披露されたコンセプトモデル「Type 00」で示された大胆で豊かなモダニスト的デザインと、今回明らかになった先駆的な技術および直感的なドライビングダイナミクスは、今後のすべてのジャガーモデルの基盤となっていく。他に類を見ないインスピレーションを与える新生ジャガーの幕開けに、大いなる期待が寄せられている。
【ル・ボラン編集部より】
1300Nmという途方もないトルク。数字だけを見れば暴力的なハイパーカーのようだが、開発陣が指標としたのが名車「XJクーペ」である点にジャガーの矜持が見える。かつてのV12がもたらした余裕あるパワーと、サルーンのしなやかな乗り心地。それらを3モーター の緻密なトルクベクタリングと最新のサスペンションで現代に再構築しようという試みだ。かつてI-PACEで「EVでもジャガー」と我々を唸らせた彼らが、1000ps超の領域で描く新たな「極楽至極」のGT世界。9月の全貌公開が待ち遠しい。
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